「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

52万人待機老人がいるというのに特養4分の1が空房 その矛盾

2017-03-08 05:59:50 | 2012・1・1
読売新聞の社会面の横組みの雑報欄に小さく「全国の特養4分の1が空房」という記事が載っていた。一般読者にとっては、あまりニュースバリューがないかもしれないが、僕ら老人にとってはベタ記事とは思えない。超高齢者社会、全国で52万人もの高齢者が特養老人ホーム入りを待っているというのに、その4分の1が空きベッドだというのである。

僕の周囲でも最近、老人施設に入居する友人、知人が増えてきたが特養老人ホームに入居した話は聞かない。政府や自治体の援助がある特養ホームは入居料も安く、一般に環境もよいということで入居希望者が多く、厚労省の推定では全国で52万人が待機中だという。ところが、平成25年の法改正で、入居条件が要介護3以上となっため、若干、待機数は減った。それでも大変な競争率だ。

何故、こんな矛盾が起るのだろうか。読売の記事によると、原因は”介護職員の採用が困難””職員の離職が多い”からだという。政府は”一億総参加社会”実現を目指し、”介護ゼロ”の旗を掲げているのに、実態は違う。厚労省の統計によると、全企業の平均月収は32万9000円なのに対し、介護職員は21万9000円と、10万円の開きがある。それに、一般的には介護職場は3K(きつい、きたない、危険)職場とされている。

要介護3は”日常的な排泄や食事、入浴に介護が必用で、理解力が低下し、軽い認知症”と定義されている。特養入居待機の老人の中に要介護3以上の資格者がどの程度いるのだろうか。毎日のように老々介護や認知症による悲劇が新聞に載っている。待機児童と同じように待機老人問題も政府は忘れないで欲しい。