1585年、イングランドはプロテスタントの女王、エリザベス1世(ケイト・ブランシェット)が統治していた。
しかし、国内ではカトリックとプロテスタントが混然としており、エリザベスには常に命の危険がつきまとった。
当時、最強の勢力を持つカトリックの国スペインのフェリペ2世(ジョルディ・モリャ)は、プロテスタントの台頭に脅威を感じ、イングランドを占領する機会を伺っていた。
そんな気の抜けない日々、エリザベスの心を和らげるのは侍女のベス(アビー・コーニッシュ)との他愛のない会話だった。
ある日、エリザベスの前に新世界(アメリカ大陸)から戻った航海士ウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)が現れる。
この時代、宗教間の争いが激しかったようです。
神も仏も、自分の都合のいいときに都合のいいように付き合っている私としては、ピンと来ない分野ではあります。
カトリックもプロテスタントも、結局は解釈の違い?なのかな?
しあわせを祈るはずの宗教が、戦争の種のひとつになるというのはどうしても解せないものがあります。
その点では、「罪を罰しても信仰は罰せず」という姿勢で
国内のカトリック信者に対しても、特に弾圧はしないようだったエリザベスに好感がもてます。
歴史にも宗教にも詳しくない私が、グダグダ語っても仕方がないですね(苦笑)
多少の歴史の知識があれば、こういった史実に基づいた映画はもっと楽しめるのかもしれませんが
この「エリザベス・ゴールデンエイジ」に関しては、厳然としてある史実も
まるでエリザベスという一人の女性が、自分の生き方を選ぶ上でのきっかけに過ぎないような(爆)
人生のスパイスのひとつようなもの。。に思えてしまったりして(爆)
とにかく、それほどエリザベスを演じたケイト・ブランシェットの存在感がすごい。
ヴァージン・クィーンを呼ばれるように、一生、結婚せず、子供を持たず、イングランド国民の母として生きたエリザベス1世。
しかし、その決意に至る過程では
航海士ローリーへの想いに揺れ
自分と同じ名前の侍女ベスとローリーを近づけて擬似恋愛しようとしてみたりします。
その結果、二人が恋に落ちると、今度は嫉妬と激しい怒りに苦しむのです。
その間にも、国内外では陰謀策略が渦巻き。。。
ひとりの女性として生きることへの断ちがたい未練と
女王として生きる決意をするまでの不安と苦しみが
観てるこちらにストレートにがんがん伝わってきます。
「女」であることを、賢く武器にして各国と渡りあい
「女」であるために苦しみ
それでも「女」に溺れることがなかったエリザベスの物語。
覚悟を決めた女の姿は
息を飲むほど凛々しくて美しい。
それは、エリザベスだけじゃなく
彼女の政敵として処刑されてしまうスコットランド女王メアリー・スチュアート(サマンサ・モートン)もそう。
メアリー・スチュアートもまた数奇な運命を生きた人で
この時代、高貴な生まれの女性は
波乱の中で生きていくために、苦しい選択を迫られ続けたのかもしれないですね。
ジェフリー・ラッシュなど、豪華な共演者も霞むほどのエリザベスの迫力と
冷たく殺風景にも感じる宮殿の中に映える豪奢な衣装やカツラの数々。
それだけで、もう、満足の映画でした。