ビター☆チョコ

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トーク・トゥ・ハー

2006-01-09 | 洋画【た】行
                   
青春の15年間を母の看病に費やしてしまったベニグノ(バビエル・カマラ)は、自宅の窓から見えるバレエ教室で踊るアリシア(レオノ-ル・ワトリング)に恋をする。
アリシアに自分の想いを伝えたいと悩むうちに、アリシアが交通事故で植物状態になってしまう。
そのときからアリシアの専任看護士としての幸せな日々が始まった。
アリシアの世話をし、休みの日は彼女の好きだった映画やバレエを観てはアリシアに語りかける日々。
そんな生活が4年を過ぎたころ、同じく植物状態になった恋人の闘牛士リディアに付き添うマルコ(ダリオ・グランディネッティ)と知り合う。
愛する人を看病する二人の間にはいつしか友情と信頼が生まれる。

休日の午後、時折暖かい日差しの入る静かな部屋で観た不思議な「愛」の映画。
ひとくちに「愛」と言っても、人の数ほど「愛」の形はあるのだろう。
そんなことを今さらながら気づかされてしまった。

ベニグノのとった行動は紛れもなく犯罪ではあるけれど、アリシアに捧げた献身は「愛」に他ならない。
それがなぜ、犯罪という行為に走らせてしまったのか。
きっかけとなったのがアリシアに語り聞かせるために観た映画だったというのは~ちょっと残酷。


アリシア側から見ればまったく迷惑で、ストーカーに付きまとわれる悲惨なお話になるのだけど、
アルモドバル監督はまたまた巧みにそんな危険な「犯罪」の匂いを隠してしまう。

闘牛士リディアの着る美しい芸術品のような闘牛服。哀愁を帯びたギターの音色。

そしてカエターノ・ヴェローゾが歌う、ククルク・パロマ・・・悲恋の果てに死んでしまうという歌なんだけど、これが心にゆるゆる沁みてくる。

実は評判があまりにも分かれていた映画だったので、ちょっと観るのをためらっていたと言うか・・・
観る前から軽く拒否反応を持っていた映画だったんだけど・・・観てよかった。。。

刺激的な内容の映画なのに、なぜかゆるゆると暖かな気持ちになってしまった。
ラストがこれからの「始まり」の予感を持たせているのも良かった。
主演の男性二人の静かな淡々とした演技も良かった。
リディアの力強い美しさ、アリシアの透明な美しさにも目を奪われた。
アルモドバル監督、これからもチェックします。