安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

原田マハ著「いちまえの絵 生きているうちに見るべき名画」(集英社新書)を読みました。

2021-01-27 19:37:29 | 読書

書店で、原田マハ著「いちまいの絵」が目に留まったので、購入しました。本書は、『青春と読書』内の連載「絶対絵画 生きているあいだに観るべき24点の作品たち」(2014年6月号~2017年2月号)をもとに加筆・修正されたものです。

   

(著者)

原田マハさんは、1962年東京都生まれ、関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。美術館勤務などを経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時にニューヨーク近代美術館に派遣され勤務。2005年「カフーを待ちわびて」、2012年「楽園のカンヴァス」、2017年「リーチ先生」など著書多数。

(目次=掲載作品 裏表紙帯から)

   

副題に「生きているうちに見るべき名画」とあり、26の作品が紹介されています。

(感想など)

原田マハさんのアートに関連した小説は、彼女しか書けない世界で、昨年も『デトロイト美術館の奇跡』や『サロメ』を読み、拙ブログに感想をアップしました。そういった小説を書く原動力になったり、著者の人生に影響を与えた26点の絵画とその画家について記していて、静かな興奮を覚えました。

その絵画と出会った際のドキドキ感や感激がストレートに著されているなど、著書の豊かな感受性が表出されている文章に共感を覚えました。例えば、ポール・セザンヌの「セザンヌ夫人」やギュスターヴ・クールベの「オルナンの埋葬」の章です。

26枚の絵の中には、ジョルジュ・モランディ、フリーダ・カーロ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコといった新しめの画家の絵もあり、現代絵画の面白さについて書かれていて、僕の知らない世界を知ることもできました。

以下、気になった絵(章)を掲げます。

   

セザンヌ展について『Mdame Cezanneとかれた巨大なバナーが入り口前に下がっているのを目にした瞬間、「まさか・・・!」と胸をときめかせた。そして、迷子になりそうなほど広大な美術館の中、その特別展を開催している展示室めがけて、ほんとうに一目散で飛んで行った。』と記しています。

   

『(オランジェリー美術館の)この展示室を初めて訪れた人は、必ずといっていいほど、はっとしてたちつくす。まるで、睡蓮の池にかこまれているような・・・』と書かれています。オランジェリー美術館には一度だけ行ったことがあります。

『ところが、オルセー美術館で本物を目にしたとき、私は、作品に釘づけになって動けなくなってしまった。』と書かれています。ルーブル美術館は訪れたのですが、オルセーは行ったことがないので、いつか行きたい。

   

著者が学生時代に東山魁夷の随筆集の中で初めてこの絵と出会ったそうです。その時の様子を『なんの前触れもなく現れたにもかかわらず、その絵はすうっと私の中に染み込んだ。そしてその「道」は、はるか遠くまで黙って私を導いてくれる予感がした。』と記しています。

   

新しめのもののうち、ジョルジョ・モランディ「ブリオッシュのある静物」は、気に入りました。



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