安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

佐々木譲著「図書館の子」(光文社文庫)を読みました。

2023-06-29 19:30:00 | 読書

佐々木譲著「図書館の子」(光文社文庫)が5月に発行されたので、購入して読みました。

   

表紙

(裏表紙にある本書の内容紹介)

   

(目次)

「追奏ホテル」だけ「ランティエ」2019年2月号で発表されていますが、あとの5編は、「小説宝石」で、2019年1月号~2020年4月号に発表されたものです。

(感想など)

僕は佐々木譲さんの警察小説や冒険小説のファンですが、まさか、時空を超えて、過去と現代を往き来する者を描いたSFタッチの小説を発表していたとは、知りませんでした。遡るのは、第二次世界大戦前後の時代なので、そのへんが冒険小説と共通していますが、作風の広さに改めて、驚きました。

それぞれの物語は、二重の意味で謎めいていて、読ませます。一つは、現代から過去に行った者が戻れるのかどうかという点、もう一つは、過去の時代で起きたサスペンスに満ちたできごとそれ自体です。著者の物語作りは、上手で、全く飽きません。

特に面白かったのは、「追奏ホテル」(1935年の大連が舞台)と「傷心列車」(1931年の大連が舞台)で、どちらも、街の描写や謎めいたストーリーが見事でした。

(著者略歴)

   

【佐々木譲ホームページ】

佐々木譲資料館 (sasakijo.com)