この5月に、原田マハ著「サロメ」が文春文庫で発行されたので、読みました。リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「サロメ」はDVDで観ていましたが、どんな小説なのか興味津々で読み始めました。
著者の原田マハさんは、1962年東京都生まれ、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍。2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞受賞、12年「楽園のカンヴァスで」で山本周五郎賞、17年「リーチ先生」で新田次郎文学賞受賞。著書多数。
(感想など)
「サロメ」というタイトルは、オスカー・ワイルド作の戯曲「サロメ」のことですが、本書は、ワイルドと挿絵を描いたオーブリー・ビアズリー、その姉のメイベル・ビアズリー、ワイルドの同姓の恋人のアルフレッド・ダグラスという4人の愛憎劇です。
メイベル・ビアズリーの視点から語られていますが、この女性がサロメに通じるような性格、行動で、最後の場面も彼女の踊りで終わります。メイベルは、かなりな策士ぶりで、人物の造形として現実離れしすぎていて、ちょっとやりすぎかもしれません。
原田マハさんならではの西洋文学・美術の世界を踏まえた素材がとびきり新鮮なので、読んでいて興味が持続します。虚実とりまぜていますが、どこからが史実かそうでないか、よくわからない展開も面白く、このへんはうまく作ってあるように感じました。
【リヒャルト・シュトラウス作曲楽劇「サロメ」DVD】
「サロメ」は、オスカー・ワイルドの原作をもとに、R・シュトラウスが作曲したオペラ。クリスト・フォン・ドホナーニ指揮コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ。キャサリン・マルフィターノ(S)、プリン・ターフェル(Br)など。(1997年録画)