佐々木譲著「笑う警官」(ハルキ文庫)をこの3月に読んだところ面白かったので、続けてシリーズ全8冊を読みました。佐々木譲さんは1950年札幌生まれ、「鉄騎兵、跳んだ」でオール読物新人賞、「エトロフ発緊急電」で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、「廃墟に乞う」で直木賞を受賞。著作多数。
(北海道警察シリーズ全8冊のラインナップ)
1 笑う警官
2 警察庁から来た男
3 警官の紋章
4 巡査の休日
5 密売人
6 人質
7 憂いなき街
8 真昼の雷管
(内容と感想など)
一言でいうと、北海道道警を舞台に描く警察小説です。警察内部の組織の軋轢や人間模様、事件の捜査、謎解き、恋愛などを描いています。ストーリーは謎解きが入る推理小説の形をとっていますが、実際に起きた事件を下敷きにしている部分があり、リアリティが感じられます。
文章にはテンポの良さがあり、また、札幌の街や風物詩を描き込んでいて、物語に厚みがあります。登場人物にも魅力があり、読み進みむきっかけともなりました。個人的には、文中にジャズバーが登場するので、それも気に入っています。
特に印象に残ったのは、第6冊目の「人質」と第7冊目の「憂いなき街」なので、表紙とストーリーを掲げます。
緊迫感と書いてありますが、そのとおりで、スリリングなストーリーが展開します。
ジャズピアニストと警官の淡い恋愛が描かれ、ジャズバーの「ブラックバード」も主な舞台となるので、謎解きと同時に、ジャズが出てきて、楽しめました。
(気にかかった点)
何か所で起こっている事件や事象が、最後にいって一つになり事件が完結するというプロットがシリーズ後半では目立ちますが、やや複雑なので、若干軽めにしたほうが理解しやすいかもしれないと思いました。