5月17日(火)に長野市芸術館で開催された小曽根真(p)のジャズ・ワークショップに行ってきました。終演は午後9時30分で、休憩なしの熱の入ったステージで、観客も結構多く入っていました。
話がいろいろなところに飛び、生い立ちの話も面白かったのですが、『音楽は言語だということに気づいた』という指摘がなるほどと思わせてくれました。『日本語をしゃべるときは、台本がなくてやっていて、同じことを音楽でやっている』ということを言っていました。
メロディー、ハーモニーのことにも話が及びましたが、リズムの大切さを強調していて、ディジー・ガレスピーに『音は間違えてもいいが、リズムだけは間違えるなと言われた』と話していました。足と手が別の拍子を刻んだ実演をしてくれ、緩急のつけかたも実際に弾いてみせてくれました。なぜリズム・セクションというかというと、ピアノ、ベース、ドラムスがリズムを合わせるからだとも言っていました。
最近、クラシックも演奏していて、その中でペダルなどを使った「ピアノの響き」(残響音)でカラーが変わってくることに興味をもったようです。演奏の中にもクラシックの影響が感じられる部分がありました。
演奏されたのは次の4曲です。
「ようこそこの世界へ」・・・小曽根真の自作でオープニングに弾いてくれました。バッハ風のところなど、クラシックからの影響も感じさせました。
「クバノ・チャント」・・・12歳の時に、おじさんからもらったチケットで、オスカー・ピーターソンのソロピアノの演奏会を聴きに行き、最初のこの1曲に感動して、ジャズとピアノの練習にのめり込むようになった記念の曲だそうです。『スイングの曲です』と言って弾き始めました。
「クリスタル・サイレンス」・・・クラシック曲の演奏の話やペダルを踏んだ残響音の話のあとで、チック・コリアのこの曲を演奏しました。ピアノの響きが美しく、後半はビートに乗ってダイナミックで、テクニックもすごそうでした。
「ラ・フィエスタ」・・・最後に、明日は多分これはやらないからと言って、チック・コリアのこの曲を演奏してくれました。僕も好きな曲なので、楽しめました。
長野市から頼まれたのか、今日弾いたピアノは、小曽根真がヤマハへ行って選んできて市民芸術館に入れたものだそうです。観客とのQ&Aもあり、国立音楽大学で教えている体験を交えた話も興味深いものでした。今度は、ピアノトリオで小曽根真の演奏を聴きたいと思いながら、自宅に向かいました。