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日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

松葉杖物語於いて優先席劇場

2005-06-01 01:22:35 | Weblog
 今日も仕事場との往復に使った電車の中の「優先席」を舞台にしたドラマ(?)が展開された。
 まずは、往きの電車の中でのこと。
 満員ではなかったが、学校帰りとサッカー場に向かう客で車内は混んでいた。優先席のあるドアに乗り込んだが、既に優先席には先客が座っていた。私の前の席には女子大生風と中年の男女が鎮座ましましている。彼らは私と目が合うが、席を譲る気配はない。女子大生は音楽を専攻しているのだろう、音符とにらめっこだ。中年の男女は海外旅行の話で盛り上がっている。
 降りる駅が近付いてきた。そこで私は開口一番。
 「その優先席に座る3人の方達。私は次の駅で降りますから今さら席をかわってくれとは言いませんが、イラストが見えませんか。4枚の絵の内の1枚に該当する者がここにいるんですよ。どう見てもあなた達がその席に優先的に座る人たちには見えませんが…」
 3人は予想外の展開に呆然としていた。
 「あなたたち3人は私と目が合ってますよね。つまり、目の前に『譲るべき人』がいながら座り続けています。恥かしくないんですか」
 すると、女子大生風が、「ごめんなさい。見えなかったんです。すぐ代わります」と謝ってきた。
 「もう結構です。これからそこに座るのを止めようね。でも、そちらのお2人、謝りもせず図々しいですね。恥を知りなさい」
 と言い残して私は電車を降りた。
 仕事を終えて帰る電車の中、今度は一つだけ席が空いていた。しかし、優先席はほぼ若者で占められている。まあ、そんなに立っている人はいないし、お年寄りや身体の不自由な方は見当たらない。目くじらを立てることもないかと黙っていた。すると、前に座った3人の中学生の1人が、立っている仲間に電話を入れた。この7,8人の中学生グループはどこかのサッカー・クラブに入っているようで、その練習帰りのようであった。
 すかさず私の注意が飛んだ。
 「君たちはそこに座る権利はないんだよ。それに、優先席では携帯の使用が禁止されているのは知っているだろう?電話を切って立ちなさい」
 すると、注意された中学生はすぐに電話を切り、立ち上がった。隣の子供もそれに連れて立ち上がった。しかし、1人だけ座り続ける子もいた。その座り続ける子がまた携帯を鳴らそうとしたので私は強く注意をした。すると、その子もようやく立った。
 私は下り際に最初に注意をした子の前に立ち諭すように言った。
 「な、君たちサッカー少年だろう。後輩達の模範になるように行動しようよ」
 幸いなことに少年はうなずいてくれた。恐らくこれで彼は二度と優先席には座るまい。いや、私は甘いと言われるかもしれないが、彼はもしかしたら今後仲間達に優先席に座らないよう呼びかけてくれるかもしれない。
 下車して階段を降りる私の前に「下りる」との標識を無視した大人たちが何人も駆け上がってきて私の行く手を阻んだ。たまらずに私は「こちらは下りですよ」と注意をしたが、彼らは悪びれる風も見せずにすれ違っていった。
 「こんな大人達を見ていたら子ども達は育たないわけだよね」
 私はオーストラリア人のスタッフに状況を説明しながら階段を降り続けた。