あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

アッバス・キアロスタミ監督の死から1年

2017年07月08日 | 生活
実際は7月4日に亡くなっているから1年以上経つのだが。

私が最も好きな映画監督の1人アッバス・キアロスタミ氏が死去されて、
もう一周忌か…と、時の流れの速さを感じてしまいます。
※イスラムには一周忌で故人を偲ぶ会を催す規定は無いそうですが…



ガンため76歳で亡くなったキアロスタミ氏。
映画監督で76歳ならまだ撮れると思っていただけに、非常に残念でした。

イスラム教の教えは過剰な欲望を否定し、信仰を尊ぶ崇高なもので。
敬虔なイスラム教徒には「清貧」という言葉が浮かぶ程だ。

しかし、イスラム国家では文化・表現物にまでその影響が及び、映画にも
規制が存在する。
キアロスタミ監督は、それに折り合いを付けながら傑作を作り続けた名匠
といえる。
※「規制を『どうすり抜けるか』で毎回苦心した」というコメントもあった。



しかし、それゆえに「宗教・国家・イデオロギー」を超越した人間の営み、
人間の最も深いところに根差した心の動きを表現し続ける稀有な表現者として
世界各国に知られる存在となったのも事実だろう。
※「友だちのうちはどこ?」「クローズアップ」「そして人生はつづく」と
 いった名作の数々…

日本でも映画ファンの間では圧倒的な人気があるし、カンヌのパルムドールも
獲得している。米国からも招聘される動きがあった。
※ただし、米政府がこれを受け入れず、各国の映画関係者やファンから不満の
 声があがった。トランプ大統領が誕生する以前の話です…。

キアロスタミ監督の死去から1年。
その間、私は片渕須直監督と、その作品に出会いました。

「この世界の片隅に」です。



その「宗教・国家・イデオロギー」を超越した人間の営みを描いた圧倒的な
表現に私はキアロスタミ監督との共通点を見ました。

いまやキアロスタミ監督に並ぶ存在です。

昨年末に「この世界の…」を見て、今年1月に前作の「マイマイ新子」を見た。
テアトル新宿で「マイマイ新子と千年の魔法」を見て、もう半年か…。

あっと言う間だね。応援はまだ続いているなぁ。

私にとって片渕監督はキアロスタミと同系譜にある表現者とも言えるから、
「この世界の片隅に」がイスラム圏でも上映されて、「おしん」並みの人気を
得て欲しい。そんな事も願っているのですよ…。