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辰巳水泳場は海の要塞のようだった⑤<br>森田智己、出場レース全て日本新

2005年03月06日 | 生活
競泳・日本短水路選手権の初日。

いまいちバラバラだった観客席から一斉に、どよめきの声が上がった瞬間があった。

50m背泳でのスタート直後、脅威的なスピードでコース中央に躍り出た森田智巳(20才)とM・ウェルシュの「ロケット・スタート」に、スイマーが大半を占める観客席から「うおぉ、すげぇ!!」と声が上がった。

プール底に背を向け、潜水しながら下半身の「うねり」で水中を進む「バサロ」。

水中カメラで見ると、一斉に水中を疾走する「イカの大群」に見える驚異の推進力。

最初の12、5mに関しては全競技最速じゃないかと思える程のスピードで。これには、ただただ感嘆。

50mこそ「世界最速」のウェルシュに敗れたが、解説の高橋氏に「この2人のスタートは世界中の背泳ぎ選手の見本になります」とまで言わせた森田選手のトップスピード。

そりゃ、背泳には「アーロン・ピアソル(米)」という第一人者が居るが。

それを割り引いても、この日の辰巳で「世界最高レベルでのロケット・スタート」が見れたのは間違いない。

まぁ、アテネ五輪の男子100m背泳ぎで銅メダリストとなった森田智己(セントラルスポーツ)であったが。

昨年9月の埼玉国体中には、「女性との下半身トラブル」を週刊誌にスッパ抜かれ、活動を自粛の憂き目にもあった。

その間は、体の軸となる筋肉(コアストレングス)を鍛えるトレーニングに終始したそうで。
バサロや水中での流線型姿勢(ストリームライン)を支える背筋や腹筋などを強化。バランスボールやウエイトも導入し、下半身もいじめ抜いたとか。

それが結果的には好奏し、「ワールドカップなどの試合出場はならなかったが、逆にじっくり鍛えられて良かったかも」と心情を吐露した・・・と。

まぁ、欧州などを転戦するツアーは、移動疲れなどもあり、体調管理も難しそうだから。「気まぐれ天才型」丸だしの森田選手には、不参加で良かったかも。

それを「ケガの功名」なんて書くスポ紙は、如何なモノかと思いますが。

ほんと、勝った時の「どんなもんだい」的なポーズといい、勝っても記録に不満な場合の「フテ腐れ気味」の表情といい・・・。

なにかと誤解されそうな森田選手(ちょっと感じが、ボクシング・ミニマム級王者の新井田豊選手にも似ている気がする。新井田選手は、そっち方面のトラブルは大丈夫だと思うが)。

余計な事で選手生活への影響が出ないよう、くれぐれも脇を締めて・・・と申し上げておきましょう(笑)。

ま、50mで日本新だしながら2位に終わり(まぁ、1位が世界記録保持者だから仕方ないが)、インタビューでも「もっと記録だすつもりだったから不満すね」と自嘲気味だったワケだが。

「次は200mですが」と声を掛けられても「まぁ、200mはしんどいんで苦手なんだけど。頑張り・・・ま・す」みたいに、やる気があるんだか無いんだか分からないようなコメントしてた森田選手だったが。

200mで、M・ウォルシュを降して日本新でトップ。

翌日の100mでも、自身の記録を0秒50更新する51秒85の日本新で優勝。

結局、50・100・200mと今大会出場3種目すべてで、日本新をマークする活躍となった・・・と。

100mでも、スタートから0秒50の反応の良さを見せ、直後のバサロで驚異的にスピードに乗り。
50m世界記録保持者のマット・ウェルシュ(豪)を終始リードしてのトップ。
「51秒台を出す事だけ考えていた。ウェルシュに勝てたのは驚き」と語った。

スタミナ不足で苦手だった200mも克服。筋トレで鍛えた体幹のおかげで泳ぎがブレなくなり、ラスト50mでも負けない自信がついた模様。

それでも、「世界記録に比べたら全然遅い。2008年の北京五輪までに、世界記録にどんどん近づきたい」と貪欲な姿勢を見せ。

今年4月の「日本選手権」、7月の「世界選手権(モントリオール)」を経て「北京五輪」に向けて世界記録を狙う気マンマン。

大型のウェルシュ(50mのインタビューでは森田選手の事を認識していない臭かったぞ!)に比べ、160cm代の森田選手は頭ひとつ以上小さいのだが。

ロケットスタートとバサロ、後半の伸びに磨きを掛け、ぜひ「金」を獲得して欲しい。

逸材だと思います。ほんと、色々気をつけてね(笑)。