本を読んだ
★凡人として生きるということ
著者: 押井 守
出版社: 幻冬舎
「凡人として生きるということ」ー押井 守さんー幻冬社新書
押井さんという人は「とてもナイーブ」というイメージを持っていた。インタビューなどのメッセージを読んでいてもそんな印象を与えてくれる。ところが、この本を読むと、「なんだぁ、なかなか大変な老獪オジンだぁ」とイメージ変化が起きてしまった。嘘でもいいからもう少し繊細でくすぐるような内容の文章を期待していたのに。
「自由自在なオヤジたちの生き方」の文章の中で、宮崎駿さんとの違いについて面白いことを述べている。
オヤジは大人なので、本音と建前に準じて生きていこうとする人もいる。それはそれで本人の自由である。問題は、建前に準じた生き方をしていたとしても、自分のやっていることの正体がわかっているか、ということだ。 、、、、、。
これは映画製作者としての、宮崎駿監督と僕の違いでもある。宮さんは青春を賛歌する作品を作り、僕は青春の苦味を描こうとしている.宮さんの映画に出てくる少年少女はどれも健全で、まっすぐで、若者にこうあってほしいという彼の思想があらわれている。僕の映画には、彼の作品に出てくるような若者は登場しない。
宮さんと僕の間に違いがあるとすれば、若者の姿に限って言えば、宮さんは建前に準じた映画を作り、僕は本質に準じて映画を作ろうとしているという、映画監督の姿勢の差異だけだ。宮さんだって、事の本質はみえているはずで、あえて本質を語っていないだけだ。オヤジというものはそういう生き方もできるのである。
「これって、やっぱり老獪オジンの論法だな」
どちらもオヤジだろう?
この本には映画の話はよく出てくる。
いろんなことが書かれているので、なるほどそういうことかと思う事はあるが、
問題は読後の爽快感を感じなかったことである。
むしろ微妙な屈折感にも似たものを感じてしまった。