『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「母べえ」 母兵衛は、たそがれない

2008年02月22日 | 映画
『武士の一分』でキムタクを主演にしたばっかりに大ヒットしてしまい、すっかり松竹の屋台骨を支える事になってしまった(今に始まった事ではないが)山田洋次が吉永小百合主演で、また狙いにきた映画かと思ったけど、なんのなんの山田洋次イズムあふれる集大成的な映画になってるじゃありませんか!

山田洋次世代の『ALWAYS 三丁目の夕日』的に進行してたんですが、突如降りかかった母子家庭生活にやってきた浅野忠信という状況は、私の大好きな『遥かなる山の呼び声』っぽくって、子供を通じてストイックな愛情を注ぐ姿は、“お喋り版”高倉健さんの如きで、もうそっから、めっぽう面白くなりました。
ちなみに海水浴場のシーンは、『遥かなる山の呼び声』で高倉健の見せ場やった草競馬のシーンに相対してて、ここは吉永小百合の“森光子のでんぐり返り”に相当する=“遠泳”の見せ場になってて粋な計らいでした。

親戚中の迷惑者で、デリカシーに欠ける発言をする”鶴瓶は、モロに“寅さん”で、吉永小百合の「あのおじさんにだけは本当のことを言えるの」というセリフは、吉永小百合がヒロインを務めた『男はつらいよ 柴又慕情』で「いやだ!私ったら、寅さんになら、なんでも話せちゃう」というセリフと同じでありながら、治安維持法が施行されていた当時では意味合いが深いものに変わってるのがよいです。
他にも、「子供の成長を見るのが楽しい」という『たそがれ清兵衛』での真田広之パパのセリフに対しては、ウチのパパは獄中でそれが叶わないという吉永小百合母べえの嘆きのセリフへと微妙に変化し、
《ネタバレです》
黄色いハンカチを掲げて待ち人が来た『幸せの黄色いハンカチ』シチュエーションには、黄色の葉っぱが舞い落ちる中訪れた人は、浅野忠信の死を告げに来た戦友でした。
でも、その戦友が語った辞世の言葉というのは、“寅さん”が旅先で知り合った人に、もれなく言ってた「東京に行ったら葛飾柴又のしがない団子屋を訪れてくれよ。そこには“さくら”って名前の美人の妹がいてよ~」に似てて、ここでめでたく浅野忠信は、“寅さん”になったわけです!


最後にひとつ鶴瓶がヤンタンで披露してた小話を。
鶴瓶が弟子に言いました。
「わしが、吉永さんと共演したから、お前とこに吉永さんから年賀状来てたやろ。わしが、たのんださかいな~」
「ありがとうございます。ウチのお母ん、めっちゃ喜んでました!」
「そやろ、そやろ~」

私の家にも小百合さんから年賀状届いてましたよ~ん。


★★★★