『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「親切なクムジャさん」 「今子さん」であってる?

2005年11月27日 | 映画
韓国の檀ふみ、イ・ヨンエ主演のこの映画は、類稀なリアルな女囚映画でした。
エロ映画の隠れ蓑として、18歳未満にも鑑賞させてくれた、「さそり」とか「石井輝男の映画」とか「イルザ」は、脱ぎ担当が多少不細工でも、巨乳であったり、ドロレスみたいなキャットファイトがあったりと、まぁ学生が風邪で休んだ平日の昼間にたまたまつけたTVで見る分には、もうけものって感じでした。
この映画みたいにリアルな女囚で、濡れ場をやられてしまっては、いくら清純派イ・ヨンエが石鹸でやりました「てへっ!」て微笑まれても、残る印象は牢名主のオバハンばっかり!
女囚たちが、フィルターにかけて作られてきた理由がわかりました。
泉ピン子の女囚シリーズ以外は。

と、のんきに見ていた前半なのですが、さすがはパク・チャヌク監督!
ファミリー総出演(ノーギャラでは出ないのか!イ・ビョンホン 以外)で、挑んだこの映画も一筋縄では帰してくれませんでした。
「オールドボーイ」に続き、今回のストーリーも、子持ちには不愉快極まりないものでした。

【ネタバレ】【ネタバレ】

「24」で、大統領を暗殺するために犯人グループがしたことは、特殊捜査官ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)の子供を誘拐することでしたが、私みたいな市井の一般市民の子を誘拐しても、銃の一発も撃てないから価値なし、ありえない。
「24」の誘拐は他人事、エンタティンメントのハラハラ要素として楽しめましたが、この映画の誘拐はどうだろう。
自分の子供が助かるなら・・・。
自分にできることは、なんでもするやろな~。
魂も悪魔に売りますわ。

そして、チェ・ミンシク(赤ちゃんを抱っこして煙草吸うな!)扮する犯人は、子供向けの英語教室の先生。
被害者の親も「普通の人に見えるのに・・・」と思わずつぶやく、「よかったやん、やさしそうな先生のクラスで」と言われそうな外見。
こんな人にも心に悪魔を飼ってるんだから、わからんよ。
私のムスメは水泳教室に通ってるのですが、こないだ中学生が「トライやるウィーク(職業体験)」で来ていて、途中で子供をトイレに連れて行く係りをやってました。
その間、子供と一対一。
なんてことはないのに、この映画を見た後では、そうはいきません。
最近の考えられない犯罪を鑑みても心配しすぎではないと思わざるをえない。
いやな話ですが。


「オールドボーイ」のストーリーはムスメ持ちの私にとってはアレだったので、テクニックに酔ってたのですが、一番話題となった横アクションより、むしろ点線の方に萌えてたので、今回もそういった映像テクニックに堪能しました。
特に、クムジャさんとムスメの英語での会話シーンに、韓国語テロップが流れるのですが、文法構造が違うので、会話した単語からまず先に、重要な単語が喋ると同時にテロップとして出るところにひどく感心しました。
クムジャさんの心の声を語るナレーションも、最後にその正体が明かされて、なるほどと思わすとこもナイス!
幽霊が具現化するシーンは黒沢清の映画っぽくって、ぞぞっとしました。
恨みの対象より、気にかけてくれる人の所に出るというのも怖いです。
黒沢清と言えば、後半の教室以降が、なんとなく「蛇の道」「蜘蛛の瞳」を思い出したのですが、ひょっとしてお好きですか?
対談はしたことがあるそうです。


監督は、日本の観客に「修羅雪姫」を真似てるのではと指摘されると思ったそうですが、黒レザーのジッパーを口まで隠すイ・ヨンエの姿は、包茎治療の病院の広告の青年を、
引っ張られるチェ・ミンシク犬はHGの新喜劇のオチネタ、鞄に詰め込まれる須知軍曹の影響では?と思いましたが、絶対ありえませんねー。


★★★1/2