京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

「マスクより手洗い」とは?ーWHOのわけの分からないコメント

2020年02月06日 | 環境と健康

 

   WHO(世界保険機関)が新型コロナウィルスによる肺炎を巡る記者会見で「症状が出ていない人は感染予防のためにマスク着用よりも手洗いの励行が重要だと」呼びかけた(本日京都新聞朝刊3面)。感染者は周囲にウィルスをまき散らさないようにマスクを必ず着用せよという。一方、症状がない人がマスク着用で気持ちが落ち着くというのは理解できるが、マスクで100%防げるわけではなくあまり効果はないというコメントを出した。

  その隣の新聞記事では、京大医学研究科の中山建夫教授がこのウィルスでは不顕性感染が多いと述べている。しからば、その可能性を考え飛沫感染を予防するために、誰もがマスクを着用するべきだと思うのだが?

マスク着用で咳をすると飛沫が1/10に低減される。そばにいる人がマスクをしておれば吸引も1/10になるはずである。両者のマスク着用によりウィルスを含む飛沫の量は百分の一になる。そうすれば吸い込むウィルスの数を発症閾値以下に押さえ込む確率が増える。

 

 マスクをしたからといって100%感染予防できると思っているような人は誰もいない。少しでもリスクを減らせればよいと思って着けているのである。むしろ飛沫→手→口→感染の可能性の方が飛沫→口→感染の可能性より少ないと思える。

「マスクより手洗いを」というのではなく「マスクも手洗いも」というのが常識的なアドバイスではないのだろうか? 保菌者の口や鼻からの飛沫の飛散に有効であるなる、反対に吸引防止にもある程度は役立つはずだ。マスクはコストはほとんどかからないし、喉の乾燥が防げるので菌やウィルスの感染防止になる。ただし、正しく着用して小まめに取り替え、安全に取り外すことが肝要ではある。

 WHOは楽観的体質なのか中国政府に忖度しているかよくわからないが、「緊急事態宣言」を出すのが遅かっただけでなく「渡航制限の自重」を各国に求めている。ようするにそんなに神経質になるなといっているのだが、中国国内では爆発的に感染者が増え全世界にそれが広がっているのに何を考えているのだろうか?

 この手の「マスク無効果説」はWHOだけでなく、他でもくりかえし定型的に主張されているから不思議な話である。これはたいてい医者や医療機関が垂れ流す偽情報で、患者を増やして儲けるためのプロパガンダであろう。

この人たちの主張の根拠はウィルスはマスクの隙間よりはるかに小さいので、スカスカに通るから効果がないとする。しかしウィルスは細胞内で増殖するもので、単独の粒子になって細胞や組織から空中に飛び出すなどはかんがえられない。患部の組織破片と一緒に付着した形で排出されると考えられる。マスク着用の効果ありとする疫学的な研究結果がある。(https://ci.nii.ac.jp/naid/110007543517)。我々は自分のリスクを少しでも低減するあらゆる工夫をするべきである。

 WHOのおせっかいなコメントには、うがいの話はでてこない。うがいについては効果ありと無しの両方の調査報告があるが、京都大学医学部安全保健機構健康センターの川村孝教授は、水のうがいでも風邪の予防にかなりの効果があるとしている(https://www.med.kyoto-u.ac.jp/organization-staff/research/doctoral_course/r-116/)。一方、ヨウ素入りの市販のうがい薬は、意外なことにあまり効果がみられないそうだ。

 うがいも水でやるならそれほどコストはかからないから、帰宅したら庵主はガラガラとやっている。ようするに「マスクも手洗いもうがいも」それぞれ励行すれば、新型肺炎ウィルスに感染するリスクはそれなりに減るものと思う。

 

追記 1:最近の医療機関の統計によると、インフルエンザの患者がこの10年で最少ということである。これは新型コロナウィルスの感染をおそれた市民がマスクをするなどの衛生行動につとめているためである。

(毎日ニュースhttps://mainichi.jp/articles/20200207/k00/00m/040/280000c)

 

追記2:PCR法でウィルスチェックできる設備は限られているようで、検査数が制約されている。RNAウィルスのRNAは分解しやすい事、RNAを酵素反応でDNAに転換した後にPCRにかける必要があり技術的に複雑な事があって、どこでも簡単にできる方法ではない。

原理的にはPCRサンプル中に一本でもRNA(DNA)があると増幅するので、作業回数が多いとコンタミ(よそからの混入)が起こりやすく、まちがった判定をしてしまう。ようするに試験管(チューブ)から試験管(チューブ)への”感染”が起こる。おそらく現場では限られた数の分析技術者でヘロヘロになって仕事しているのであろう。最近の報道における「身の覚えのない人」での”陽性”の異常な多さは、このような点からかなり気になるところである。

逆に、サンプルにウィルスRNAが存在していても、なにかのはずみで(例えば前処理の不備などで)検出されない事もありうる。PCR法は”魔物”といわれる。

 

追記3(2020/0512)

ウィルス専門家の西村秀一さんもマスクが日本における感染防止に果たした役割を評価している。

東洋経済Online(5月12日号)『「PCR検査せよ」と叫ぶ人に知って欲しい問題: ウイルス専門の西村秀一医師が現場から発信』

 

追記4(2020/06/08)

WHOはついに、一般市民が布製を含むマスクの着用を推薦するように、各国政府に求めた。感染拡大を効果的に進めるための改定としている。人が密集した環境という条件付きながら、感染や症状の有無を問わず対象を拡大した(2020/06/07京都新聞朝刊7面)。やはり相当、頭が悪く判断力が無い集団である。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする