五段で構成される「高蘭」と呼ばれる台上に武者が身構える(見えを切る)のが
津軽青森の人形ねぶたである。これが青森ねぶた、五所川原立佞武多へと発展
したといっていいだろう。つまり、このねぶたが大型人形ねぶたの原型なのだ。
参照:①青森ねぶた(昼ねぶた) ②五所川原立佞武多(2015)
黒石ねぷたは町内単位の参加がほぼ。そして囃子を演奏するのも町内会の子供たちが
主役なのである。大人はあくまでもサポート役。弘前ねぷたや、青森ねぶた、五所川
原立佞武多のように、豪・勇壮ではないがそれが祭を素朴で昔懐かしい物に仕上げる。
参考:黒石ねぷた囃子は「進め」「止まれ」「戻り」の三種類の調子がある。演奏は
横笛、太鼓、鉦〔てぶりがね〕。そして曳き手はリーダーに促され、行きは「ヤー
レヤーレヤ」、帰りは「ねんぷたの戻(モ)ンドリコ」と声を掛け合ながら行進。
参照:① 青森ねぶたの大規模組織化された ね ぶ た太鼓(青森ねぶた21)
② 青森ねぶたの大規模組織化されたねぶた手振鉦(青森ねぶた21)
③ 弘前ねぷたまつりの組織化された子供太鼓隊(弘前ねぷたまつり)
④ 五所川原立佞武多の組織化されたえぶり太鼓(五所川原立佞武多)
映像:扇ねぷたのお立台にはシャボン玉を吹き出し娘さんが笑顔で応える
黒石ねぷたの中型・大型では扇の上に人が乗れるスペースがあるのが多い。
もともとこれは頭上の枝払いや電線を持ち上げ扇ねぷたを守るためものだ
ったが、今では観客や曳手を鼓舞する演出用だ。祭りでは女性が華やかだ。
絵燈篭がゆらゆら目の前を通過ぎると美人画見送り絵が見返してくれる。これが
津軽の扇ねぷたの流儀だ。絵師は勿論正面の武者絵に渾身を傾けるが、見送り絵
にも細心の絵筆を振るうのだ。武者絵で感動しても見送り絵が貧相なら興覚めだ。
規定:弘前ねぷた保存基準では「見送り絵」は次の様に規定されている。
①位置・・・ねぷた本体裏面中央部
②内容・・・鏡絵や袖絵との関連等にも留意して描き、額縁内貼
③表現・・・美人画等で「静」を表現
映像:市街を練り歩く黒石ねぷたの正面。夕闇に巨大絵燈篭の列が揺らぐ(2018.8.2)
2018年夏。「 黒石ねぷた祭り」を初観戦。青森の盛大さでも、弘前の優美さでも
五所川原の仰天さでもない、古い津軽の伝統が息づいている。これは周辺の平川市
や大鰐町、田舎館村など南津軽に通じるもの。地域・住民が主体の「ねぷた祭り」。
解説:津軽地方に伝承される「ねぷた祭り」の原型が垣間見える。ねぷたを曳くの
は地域の大人・こども。囃子もそうである。そしてゆらり巨大絵燈篭が街を
練り歩く。2018年黒石ねぷたは扇ねぷた49台、人形ねぷた3台が出陣した。
規定:弘前ねぷた保存基準では正面の「鏡絵」は次の様に規定されている。
①鏡絵・・・中国の三国志や水滸伝、あるいは日本の武将や説話の
奮戦図・人情等を鏡絵の基本とし、骨組に外貼りとす
②表現・・・武者絵等の躍動感溢れる絵柄で「動」を表現
団体:弘前ねぷたは市内の①町内会がねぷたを出す。青森ねぶたは主に②企業がス
ポンサーとなってねぶた製作・出陣し、製作費も1,000万とも云われる程高額
になってきて形式化されている。五所川原立佞武多は核となる巨大佞武多は
③行政絡みで毎年一台を製作し、毎年一台廃棄で常時三台で運行する形態だ。
≪速報:ユネスコ無形文化遺産八戸三社大祭山車(十和田市) 2017.9.24≫
青森県十和田市で「あおもり10市大祭典」が開催された。八戸市の出し物が
今年世界文化遺産に指定された「八戸三社大祭」。ユネスコ無形文化遺産指定後
に始めて鑑賞した。映像は今年三社大祭で「優秀賞」の吹上山車組「~初夢狂言
一富士二鷹三茄子~矢の根五郎と七福神」歌舞伎十八番の内の矢の根の場面。
鑑賞:日本の道百選「十和田市官庁街通り」松並木に映える八戸三社大祭山車
ユネスコ無形文化遺産:国の重要無形民俗文化財33件山・鉾・屋台行事(京都祇
園祭や博多祇園山笠、唐津くんちの曳山行事、八戸三社大祭の山車行
事等国内18府県33件)が2016年にエチオピア(アディスアベバ)で登録された。
≪Mémoire:あおもりの祭 金木桜まつり(金木町芦野公園)2017.5.3≫
北国の春は桜で始まり桜で終わる。日本一の桜と称される弘前公園
の桜が散り始めるころ満開となるのが金木町芦野公園の桜だ。どこ
となく往時の弘前観桜会の雰囲気の園内の片隅で演芸手踊りが盛況。
見所:踊り手の手傘を中心に片手、片足の中腰姿勢は稽古の賜物。
≪:Memoir:青い森祭体験・十和田市秋祭り(十和田市 2014.9.6 )≫
映像:一昨年日本の道百選:十和田官庁街通りで体験した十和田市秋祭り
(撮影機材:PENTAX K200D・レンズPENTAX18-55Ⅱ)
南部町での講話の後、再度道の駅とわだに寄り店仕舞い前の産直売り場を
覗いて聞いた言葉が「今日は町の秋祭りで客もすくないので半額ですね」
だった。そうか今日は県南を代表する「十和田市秋祭り」開催日なのだ。
今日の晩酌用のツマミにと、半額となったお惣菜を数点買い求めて帰る。
●十和田秋祭りの花形はやはり、お囃子の衆、町会思い思いのスタイルだ
●十和田秋祭りの山車の締めはねぷた同様、送り山車(背後)だろう。
十和田官庁街の端正な松の街路樹、夕陽に山車が映える…豪華絢爛
≪Memoir(メモワール):青い森のの祭(黒石よされ参陣:黒石高校2008.8.15)≫
(撮影機材:「PENTAX K200D」・レンズ「PENTAX18-55Ⅱ」)
高校生の社会参加・貢献第三弾:黒石高校生による祭参加。学校行事として
校外活動をする高校生は郷土の祭の重要な担い手であり、未来の後継者でも
ある。日本三大流し踊りを全校挙げて支えるのが、黒石高校チーム:黒高隊。
受賞:平成28年度「黒石よされ」、黒石高校は黒石よされ大賞(流し踊り)部門で、
「熱演賞」を受賞。平成27年には「準黒石よされ大賞」を受賞している。
指定:黒石よされの流し踊りのメイン会場こみせ通りは「日本の道百選」に選定
温泉地:祭の時期には、黒石の奥座敷#温湯温泉#落合温泉そして#板留温泉、
#青荷温泉などの湯の里が、観光客、夏湯治客などで賑わいを取り戻す。
速報:あおもりの祭体験(とらじょサンバ 七戸高校 2016.09.03)
9月第一土曜日は県南で秋祭りが多く行われる。今回東八甲田温泉で馴染み深い
七戸秋祭りを観察。この祭の目玉は七戸高等学校全校生徒が参加する「とらじょ
サンバ」の挙行だろう。映像は名物:駒饅頭の宮金本店前で集団演舞する七高生。
参加:地域の祭に高校生が参加するのはそんなに珍しくないが、学校行事として
参加する高校は県内では少ないほうだろう。岩木高校生の「#お山参詣」、
黒石高校生の「#黒石よされ」などである。しかし、来年の春、岩木高校が
閉校、地域の担手の継続が危ぶまれる事態となる。高校生パワーが必要!
とらじょサンバ:元は盆踊り『虎丈様』で旧盛岡藩領に伝わる陽気な盆唄、元唄
は「ナニャドヤラ」、岩手県二戸市~青森県七戸町の広い範囲に渡り分布する。
≪速報・あおもりの祭:立佞武多の館 2016.8.5≫
奥津軽のランドマーク…といえば「立佞武多の館」。変貌激しい
五所川原市街地にあってこの建物が新しい顔といってよいだ
ろう。立佞武多祭期間中は山車が表に出て運行のスタンバイ。
参考:本画面の巨大立佞武多は2014年に制作されたもので
「国性爺合戦 和籐内」という作品。今年限りで見納め。
≪速報・あおもりの祭:立佞武多2016(五所川原市)2016.8.5≫
2016年(今年)制作された立佞武多の完成度は、100%と思っていたが
後続の巨大立佞武多もまた素晴らしい。つがる総合病院の窓に映える
「白髭水と夫婦梵鐘」という2015年の作品。一年に一台新作交代。
解説:五所川原立佞武多は平成10年に復活した巨大佞武多。それから
毎年、一年に一台新作を創ることとなり、2016年作、2015年作、
2014年作「国性爺合戦 和籐内」の3台の巨大佞武多を運行した。
Memoir: ベリーダンス演舞 (青森春フェスティバル2010.05.05)
映像:新青森駅開業イベントで招聘した横浜のベリーダンスチーム
ベリーダンスなるものを初めて鑑賞した。横浜の妙齢のご婦人が
肌も露わに路上で踊る様は驚きであった。しかし彼女たちの立ち
居振る舞いは魅惑的で優雅であった。これは新しい芸術シーンだ。
観察:青森市新町商店街は活性化が必要とされ開催。ご当地にあ
って、ベリーダンスを鑑賞した人々は驚きと称賛であった。
青森ねぶたは世評を反映した出し物も登場する。今年のNHK大河小説ドラマに題材を
求めたのだろう『愛』の字が鮮やかな武者人形は直江兼続。『愛』…青森ねぶたに相応
しい。短い夏、激しく燃えた祭りの後若い人々の情熱は『祭』から『愛』と移っていく。
祭りの後、夜の平和公園では闇にまみれて、浴衣の微かな鈴の音があちこちで夜通し
聞こえたものだ。やがて来る盆踊りには浴衣のカップルが誕生。熱く短い青森の夏は
厳しい冬に向かって緩やかに動き出す。 (青森ねぶた21~完~)
ねぶた豆知識(最終日):ねぶた七日(なのかび)とも云われ、白昼にねぶたが練り歩き、夜、
優秀ねぶた五台が海上運行という、幻想的なシーンで締めくくる。
参照#白昼運行の様子:2009ねぶた祭り参戦!!(昼)