3連休最終日に、映画館へ。話題作「キャプテン・フィリップス」を鑑賞しました。
2009年にソマリア沖で海賊の襲撃に遭い人質に取られた後、アメリカ海軍特殊部隊“SEALs”によって辛くも救出されたアメリカ船籍マースク・アラバマ号の船長リチャード・フィリップス氏の実話を基にした回顧録『キャプテンの責務』をリアルかつ緊張感あふれる映画にした作品です。
大型のタンカーなどが、海賊に襲われるという話は実際にあると、以前からお父さんが船長をしていた友人から聞いたことがあり知っていました。
が、リアルにその一部始終を見せられると、かなりの衝撃。ジョニー・ディップのような、古い海賊ではない。小さなボート、たった4人で、乗りこんでくる。かなりの武装とハイテクを駆使。
貧困と国内の実情から、命がけで海賊をし、莫大な金を身代金として強奪しようとするアフリカ・ソマリアの社会的背景も心が痛い。
極限状態におかれた人間を描くP・グリーングラス監督の手腕は、『ボーン・アルティメイタム』、『ユナイテッド93』でも遺憾なく発揮されていましたが、この作品でも、淡々と描かれた映像は、凄まじいリアリティと迫力に包まれています。
通常の映画なら、アメリカに残された妻や子供たちの心痛の映像を、間に挿入すると思うのですが、時間軸そのままに映像は、どんどん進んでいきます。5日間も海賊に狭い船内に閉じ込められ、海賊とのやり取り一つ一つが息苦しく、フィリップス船長の追い詰められた心情を、観客に訴えかけてきます。
トム・ハンクスは、元々演技のうまい俳優さんですが、いつも垣間見せるユーモアの一面は微塵も見られない。
海賊リーダー役のムセ(バーカッド・アブディ)の、迫真の演技がこれまたすごかった。この俳優さん(とても俳優には思えない)は、実際にソマリア出身。
このリーダー、英語が喋れるし、相当頭がいいのだが、元々貧しい漁師であり、海賊のリーダーになるしか道がないというアフリカの実情は、想像よりもかなり根が深い。
強いアメリカ万歳な内容ではありますが、日本がどれほど平和で、恵まれているのかということを再認識させられる作品でした。
現在、ロードショー中です。
◆キャプテン・フィリップス
2009年4月。ケニアへの援助物資を運ぶアメリカのコンテナ船マースク・アラバマ号。インド洋を順調に航行していたが、ソマリア沖で4人組の海賊に襲撃される。船長のリチャード・フィリップスは、船が彼らに乗っ取られる直前、数人のクルーを残して乗組員を全員、機関室に匿う。そして彼らを救うため、自らは単身で人質となり、海賊たちと共に小さな救命艇に乗り移り、アラバマ号を後にする。やがて事件の一報を受けたアメリカ政府は、海軍特殊部隊ネイビー・シールズを出動させ、フィリップス船長の救出作戦を開始するが…。