ブリコルールの日々

キャッチし、発信するアンテナ。ANTENNE アンテーヌ 芦屋・宝塚・三田よりのレアで@な情報発信基地より

ヒーローの孤独と復活「ボルト」

2014-11-07 22:06:54 | MOVIE

「アナと雪の女王」の大ヒットは記憶に新しいディズニーのアニメをDVDで鑑賞しました。




映画として作られた虚構の世界を現実と勘違いしてきたワンコを主人公にした「ボルト」という作品です。最近のCGは素晴らしく、動物たちの感情を、その表情で十二分に魅せてくれます。




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アイデンティティ・クライシスをテーマにしているわけでもないでしょうが、スタジオから外の世界へ飛び出したボルトは、自分がスーパーパワーも何も持たない、ただの犬だということを思い知ります。


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セルフイメージが崩壊して、自信をなくしているときに偶然、巡り会った野良猫ミトンズ、ハムスターのライノに助け、助けられての冒険を繰り返しながら、飼い主である、愛するペニーのところへ戻るまでのストーリー。



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窮地に追い込まれてから、自信をなくし、自己を肯定できなくなる心境からの復活は、胸がキュンとさせられます。


皮肉屋の猫と能天気なハムスターのコンビとのやり取りの中で、人間社会にも通じる相手への思いやりや気遣い、失敗を恐れず問題に立ち向かう勇気など、込められたメッセージは素晴らしい。



Bolt (ボルト) - Japanese Trailer




大人には少し物足りなさを感じられる方もおられるかもですが、子供のおられるご家庭では家族みんなで、十分楽しめる作品に仕上がっています。週末みなさんでいかがでしょう。



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◾️


白い犬のボルトはハリウッドのスタジオで育ったスター犬。TVドラマの中で、飼い主の少女ペニーを守るために改造されたスーパードッグとして無敵のスーパーパワーを発揮し、悪党たちを次々と退治していた。人間たちは、ボルトからリアルな演技を引き出すため、ドラマの中の出来事を現実と思い込ませていた。そんなある日、ひょんなことからボルトはハリウッドから遠く離れたニューヨークへと運ばれてしまう。そこで初めて遭遇した外の世界。ボルトはここにきてようやく、全てはドラマの中のことだったと知る。それでもペニーの愛だけは本物と信じ、ハリウッドを目指して長い長い旅に出るボルト。その途中でさまざまな苦難に遭いながらも、旅の仲間、やせっぽちの皮肉屋ノラ猫ミトンズやテレビおたくのハムスター、ライノに助けられながら遥か故郷を目指すボルトだったが…。




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クール・ビューティ  グレース・ケリー

2014-10-16 21:28:39 | MOVIE

気品に満ちた「クール・ビューティー」(cool beauty)と賛美されたグレ-ス・ケリーという女性をご存知でしょうか?若い方には、馴染みが薄いかも。




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人気絶頂の最中、26歳でヨーロッパの君主と結婚し女優業から引退した女優、グレースケリーほど劇的な人生もそうない。若い世代の方には、馴染みが薄いかもしれませんが。

52歳という若さで、彗星のごとくにこの世を去った彼女の半生を描いた映画が封切られます。グレース役を演じるのは、ニコール・キッドマン。




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ドラマティックと言う言葉で語り尽くせない半生。同時代の女優マリリン・モンローの明るさとセクシーさを前面に出した美貌とは対極にある気品。清楚ならヘップバーンでしょう。それぞれにタイプの違う「女性美」。




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グレース・ケリーが、人気絶頂の最中に引退して嫁いだ国、モナコが国家存亡の危機に直面してしまう。フランスのド・ゴール大統領がモナコに過酷な課税を強要し、一触即発の緊張状態に陥ってしまい国家存亡の危機に直面したとき、大国フランスを相手にやがて万策尽きるレーニエを支え、愛する家族と国家を守るため、グレースがある覚悟を胸に開始した行動とは・・。

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 特報

 


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とにかく、すべてが劇的な彼女には逸話がたくさんあります。

長女の妊娠をマスコミに悟られないよう、カメラを向けられた際、エルメスの鞄「サック・ア・クロワ」で腹を隠した。この事でバッグが有名になり、バッグは「ケリーバッグ」と改名されたという話も頷ける。


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カラー写真も。ほんとうに、魅力ありますね。

 




ロードショーは、東宝系で、10月18日から。

いまから楽しみです。

 

 

 




大統領の執事の涙

2014-08-19 21:12:05 | MOVIE

医師は、病気を治すことを生業とするが、病気がなくなれば仕事が無くなる。警官も犯罪を無くそうと日夜、努力を続けるが、犯罪者がひとりもいなくなれば転職を余儀なくされるだろう。この世界には不条理な矛盾で溢れている。


実際にそうなることは考えにくいとしても・・。




この映画の主人公も、そんなダブル・バインドの数奇な運命を辿ります。



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黒人差別のまっただ中の南部に生まれ、白人に父を殺され、母を廃人にされた黒人少年セシル・ゲインズが、ふとした運命からハウス・ニガーの道へ。努力を重ねて、ホテル勤めからホワイトハウスへと転身。


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空気のような存在となることを義務づけられ、ホワイトハウスで「見ざる、聞かざる」を基本とする大統領の執事を、7名の大統領相手に長年勤め抜いた黒人の一生を描いた作品です。




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どこがダブルバインドかといいますと、執事の息子が、黒人解放運動に明け暮れ、苦労の末入学させた大学も中退。最後には政界へと転身していくという。



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白人側として運動を鎮圧に回る大統領に、「君の息子は、黒人解放運動に参加して刑務所にいる」と告げられるシーンなど、父親として顔と、任務に忠実な執事の顔の「Tow Faces」をもつというセシルの苦悩の表情は圧巻。解放運動の歴史と白人による迫害は、目を覆いたくなるシーンも多数。



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アメリカの闇を描いた作品は数ありますが、同時に家族との絆を平行して描きつつ、不断の血塗られた努力と犠牲のうえに、現在のアメリカがあることを、再度、考えさせられました。


歴代の大統領を、先頃亡くなられたロビン・ウィリアムズ(アイク)、そして、J・マースデン(J・F・ケネディ)、リーブ・シュレイバー(ジョンソン)、ジョン・キューザック(ニクソン)、アラン・リックマン(レーガン)と、名優が脇を固めている点も見所。

黒人版「フォレスト・ガンプ」とも言えそうですが、その味わいは異なるもの。黄色人種である我々にも、西洋社会ではいまだに存在する事実であることも噛み締めたいと思いました。



 

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「別離」鑑賞

2014-07-29 09:27:41 | MOVIE

夏は早朝。

 

 

 

 

爽やかな風が首筋を撫でて通り過ぎる。ワンコと夙川沿いを行けば、ジリジリと陽が顔をのぞかせ始める。大事なことを考えるなら、夏は早朝に限る。

 

マレーシアから帰国された内田師範のお稽古。半身からの展開。全体に母指球ですり足、両手U字の形の維持を意識。意識しすぎると、肩に力が入り、上半身と下半身がちぐはぐに。やはり、足捌きと正しい立ち位置が、合気道での技の基本だとのご指導。

 

前半、身体が重かったのですが、後半には軽くなりました。

その前夜、重たい映画を鑑賞したせいか・・。

 

 

 

 

 

イラン映画と聞くと、それだけで敬遠してしまいがちだ。アメリカを中心としたキリスト教文化の国々からの刷り込みは強力。くわえて、最近は、自身の仕事や家庭のことで忙しく、劇場で鑑賞する時間もなければ、ハッピーエンド、あるいはスカッとする内容の作品を選んでしまう傾向。

まして、「家族の別離」を題材にした作品だと聞くと、自ら手に取ることは稀に。後で調べると、世界中で映画賞を総なめした有名な作品でした。

 

結論から書かせていただくと、この映画、「ぜひ、もう一度観たい」と思わせる秀逸な作品。自分自身の現状と照らして、胸に刺さるものがありました。

今回、シネマ部で初めてのDさまのご担当。

 

 

 

冒頭から、夫婦の離婚調停の場面から始まり、その顛末を軸に、誰にでもおこりえる小さな事件を積み重ねて物語りは進んでいきます。

 

 

 

同時に父親の介護(アルツハイマー発症)、父権社会での女性の地位(社会進出が困難)、イスラム教の厳格な戒律(女性は勝手に、男性の体に触れてはならない)、中流と下層家庭の貧富の差、幼年期の子供の心理など、演技、三段落ちの見事な脚本、効果的な場面の切り替えにより、最後まで張り詰めた緊張感の心理サスペンスとして、観るものを引き込んでいきます。時系列で、物語は進行し、回想シーンはまったくありません。ゆえに、観客は自らの記憶をたどり、スリリングな展開に引き込まれるのです。

 

 

 

イランというとイスラム教の厳しい戒律、父権社会風習が頭に浮かびます。イスラム社会もまた、西側諸国と同様に成熟度を増すと壁にぶつかっているのです。子供、夫婦、高齢者、それぞれの立場で抱える様々な問題は、文化や宗教の違いこそあれ、万国共通、東西の差異なく存在し、劇中で描かれているのは、人間に共通する普遍的な心理。

 

 

 

 

それにしても、二つの別階層の家庭に育つ女の子が、大人の事情に翻弄され、重大な選択を強いられる場面には胸が締め付けられました。

アルツハイマーの父を抱えた銀行員の主人公ナデルと英語に堪能な教師の妻シミン、そして彼らの娘テルメー。イランの知識人階級の極めて現実的な人間ドラマは、ラスト・シーンも秀逸。脚本の見事さは、驚き以外の何物でもありません。

 

 

映画『別離』予告編

 

 

シネマ部F様のお話しでは、続編も存在するようです。

近いうちに、再度、見直したくなる作品でした。

 

担当のDさま、素晴らしい作品をありがとうございました。

 

 

 

 

 

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『BAGDAD CAFE』 .「Calling you」 Jevetta Steele

2014-06-14 21:48:44 | MOVIE

過ぎ去りし時間は、感受性のセンサー機能を一新してしまうのだ。





旅行中のドイツ人の中年女性が、「ファースト・ペンギン」よろしく、ご主人との喧嘩というきっかけから、乾き切った砂漠のごときコミュニティをオアシスに変えていく物語、「バクダットカフェ」をシネマ部にて。








24~5年前、当時、レーザーディスクにはまっていた時期で、「グランブルー」、「ディーヴァ」、「ベティ・ブルー」、そして、本作品などを友人たちに無理やり鑑賞させるというイベントを頻繁におこなっていた。そう考えると、現在も同じようなことをやっている・・進歩していないなぁ。


びっくり仰天する驚きはなかったものの、当然のことながら、当時感じた作品に対しての想いは、自分自身が驚くほどに、時間と経験により、大きく変化している。


常々、書かせていただいていますが、「人生は、『人間』を知る旅」だと思う。それだけ、多種多様の人に出会い、刺激を受け、触発され、頭を打ち、生きてきたというところ。




男女にたがわず、ホンジャマカ石塚であろうが、マツコ・デラックスであろうが、太っている人からは「ある種の癒し」を感じるのは私だけではないだろう。

ジャスミン役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトには、言葉でいいあらわせないオーラがある。この作品以降、「パラドールにかかる月」、「ロザリー・ゴウズ・ショッピング」と続けて鑑賞した思い出があり。どの作品でも印象はかわらず。



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人は人を無理やり変えることはできないが、その生きざまは確実に人に何らかの影響を与えることに異議を唱える方はおられないはず。



日々の仕事や生きることに疲れを感じている方には、干からび、乾いたカフェの住人や、たまたま居合わせた旅行者たち、近隣の住民にジャスミンの生き様が、どのように変化をもたらしていくのかは、「いい薬」としての効能が期待できるかもしれません。




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共演の黒人女性、ブレンダ役のCCH・パウンダーの歌とダンスの旨さは特筆もの。「オール・ザット・ジャズ」の印象が鮮烈に残っている。「ER」にも出ていたんですね。優れた女優さんです。生活に疲れ切った女性の変貌、オーラの変化にご注目を。

ジャスミンにプロポーズするルーディ役のジャック・パランスは、この作品に出会うまで、その個性的な風貌、「シェーン」に代表される作品から、超悪役というイメージ。実はインテリで、舞台役者としても活躍していた方なんですね。


最後に監督のパーシー・アドロン。マリアンネ・ゼーゲブレヒトと同じくドイツ人。前述の「ロザリー・ゴウズ・ショッピング」でもメガホンをとっていますが、ドキュメンタリー畑の方なんですね。乾いた空気感、夕陽の空の藍色、音を立てて回転するブーメランと、ドイツ人らしからぬカメラワーク。現在も、ご健在のようです。
 

映画『バグダッド・カフェ〔ニュー・ディレクターズ・カット版〕』 http://youtu.be/Vv2EsAxLe4c



主題歌の“Calling You”に関しては、誰もが耳にしたことのある、哀愁のあるメロディ。久しぶりに聴き直し、涙ものでした。

 


http://youtu.be/UHkW0Cw5w94



シネマ部メンバー8名で、思い出話を含め盛り上がりました。

 

 

 

担当のI上K恵さま。心に沁みる、なつかしい作品をありがとうございました。






◆マリアンネ・ゼーゲブレヒト インタビュー

http://eiganomori.net/article/395415863.html

 

 

 


青いパパイヤの香り

2014-05-11 12:22:42 | MOVIE

決まった条件やフレームの中に、「美」、「洗練」や「新鮮さ」や「躍動感」を、いかにリズムや調和をもって収めるかが、ファッションの世界では常に課題となります。


しかも、凡庸に浸かり切ってしまっては「革新」や「斬新さ」からは遠く離れていき、平凡という名の海に没する。

 

 

 

 

 

 

『青いパパイヤの香り』予告編




芦屋のオ・ブリコルールのメンバーと、トラン・アン・ユン監督の映画「青いパパイヤの香り」の鑑賞会を。

 

 

 

 

甘いレーズンとピーマンの苦味。

手料理ですが、ピリリと辛いドライカレーを用意しての夕べ。




別の店でも企画し、それぞれ鑑賞会を開催していただいているはず。

スタッフには、簡単な感想文を書いていただくようにお願いをしています。




そのわけは・・・来週、21.22日とお休みをいただき、社員研修旅行へ。

その目的は、同じアジアの国にて、現地のリアルな生活、国民性や感性を学んで欲しいから。

行き先は、ベトナム、ホーチミン(サイゴン)。

サービスされる側となり、ホテルマンやCA(キャビン・アテンダント)の方々のサービス、身のこなしを見てもらうことも目的ですが、アジアの国から、改めて日本をみると、「日本は、なんと素晴らしい国だ」と肌で感じて欲しいからです。

 

幼いころには、両親やまわりの大人がイベントを計画し、連れて行ってくれて、幸せを分け与えてくださいました。

そして、大人になった今は場の主催者として、企画立案し、実施していかねばならない立場に・・。

 

楽しいことは、ただ待っているのでなく、自ら作るべし。 

 

 

 

 

旅行会社の方と折衝し、企画を練り、旗を振って先導して、搭乗口へと。

それはそれ、楽しくもあります・・が。

 

 

 

 

常に鳥のさえずりや虫の声が、バックに響く。

 

アジア特有の湿度、熱帯植物の揺らぎと静寂…

 

 

 



劇中、セリフ(言葉)は最小限に。それゆえ、画面には現れていない感情や雰囲気を、五感で感じ取ることが出来なければ退屈に感じるかも。

年輩の女中さんの作るお料理の味や匂いさえも、鼻腔に伝わってくる感じ。

 

 

 




この映画、シンデレラ・ストーリーでありながら、貧しい家に生れ落ちた少女の成長がこと細かに描かれていきます。後半部分では、ほのかなエロスさえも・・。

 

いまのホーチミンは、バイクとクルマのクラクションと排気音の騒々しい街ですが、古きよき時代のベトナムの文化を知るには、秀作です。ぜひ。









◆青いパパイヤの香り

 




サイゴンのある資産家の家に、10歳の少女ムイが奉公人として雇われて来た。その家には優しい女主人と根無し草の旦那、三人の息子たち、そして孫娘を失って以来二階にこもりっきりのお婆さんがいた。ムイは先輩女中に教えられ、一家の雑事を懸命にこなしていく。そして彼女は、ある日長男が連れてきた友人クェンに恋心を抱く……。ドキュメンタリー出身のベトナム系フランス人、トラン・アン・ユンが初めて劇映画に挑戦した作品で、1951年のベトナムを舞台に、一人の少女の成長を瑞々しい映像で淡々と綴った小品。フランスのスタジオにセットを組んで作られたその絵造りは、時として演劇的な空間や演出を用いながら、水や光、草木(当然その中にパパイヤもある)、さまざまな小動物といった極めて自然なオブジェを融合させる事でユニークな印象をもたらしている。カンヌ映画祭でカメラ・ドール賞(新人監督賞)を受けたのも納得する力量だ。物語は後半で10年後に移りムイも成長した姿を見せるが、少女時代を演じた、ほのかなエロティシズムを醸し出すリュ・マン・サンの存在感は他を圧する魅力。彼女なくしてこの作品の成功はなかったろう。

 

 

 


クロアッサンで朝食を

2014-04-17 19:43:49 | MOVIE

「靴を脱いで家に上がる」は、ヨーロッパにもあるのだ・・。

 

 

 

 

 

 

80歳を優に超えたジャンヌ・モローが、自前のシャネルを着て、わがままでスノッブなマダム・フリーダを演じる映画「クロワッサンで朝食を」を鑑賞しました。シネマ部、F田さんの担当作品。原題は「パリのエストニア人」。

 

  

観終わった直後、「最高のふたり」、あるいは「小説家を見つけたら」、はたまた「セイント オブ ウーマン」などの作品が頭に浮かびました。年齢差のあるふたりが、はじめは敵対するが、最後にはこころ通じ合わせていくという展開。ですが、長編映画初監督となるエストニアの俊英イルマル・ラーグが、母親の実話をもとに描く映像は、一味ちがう深いものを感じさせます。

 

 

 

 

 

ソ連がエストニアに侵攻した時代、合唱団の一員としてパリにやってきたフリーダ。たくさんの男と浮名を流し、現在は瀟洒なパリの高級アパルトマンに独り暮らし、何人もの家政婦を泣かせて、辞めさせてきたプライドの高い女性。仲間のエストニア人からも嫌われ、彼女の心を支えるものは、かつての若き恋人・ステファンだけ。しかし、そのステファンの心も既に自分から離れている。

 

 

そこへ、年老いた母を看とったあと、ひとりエストニアから憧れていたパリに家政婦としてやってきたライネ・マギ演じるアンヌ。靴を脱いで家に上がろうとしたり、スーパーで潰れたクロワッサンを買ってきたりするアンヌを、はじめは撥ねつけるフリーダ。

 

年老いて、プライドだけを支えに生きるフリーダは、いつしか懸命にパリで生き抜こうとするアンヌの姿に、かつての自分を映しだす。次第に心を開いていくフリーダでしたが、ある事件が・・。

 

 

 

フランスを代表する大女優、ジャンヌモローの辛辣な演技は、なかなか板についていて、私生活を想像してしまいました。

歳を重ねることへの不安と、プライドの裏に隠された望郷の念。最後に放つフリーダのひと言は、含蓄あり。

 

 

自由恋愛の国、フランスならではの、お洒落で、大人な男女の関係。朝や夜のパリの美しい街並み。

薄倖な女性、アンヌがフリーダのアドバイスで、磨かれていくプロセスなど見どころがたくさんあります。

私見として、金髪のアップスタイルとトレンチコートの組み合わせのCOOLさは、かっこいいなと。

物語は、淡々と静かに進みますが、若い俳優さんには、決してまねできないジャンヌ・モローの演技をぜひ。

 

http://youtu.be/tZ0K42OTYtQ(予告編)

 

 

http://youtu.be/upO75002b9k(若き日のジャンヌモロー・死刑台のエレベーター、美しい!)

 

 

ちなみにエストニアは、デンマーク、スウェーデン、ロシア、ドイツなど周辺諸国からの侵略に耐えてきた歴史があり、バルト三国のなかでは最も経済的に良好。EUに加盟し、通貨はユーロ。独特の食文化、世界遺産も有する美しい国です。

 

 

 

食事会では、若き日のジャンヌ・モローの話しや、パリの生活、大人の恋愛などの話題で盛り上がりました。

 

 

 

担当のFさま、お洒落で、含蓄のある作品を、ありがとうございました。

 

 

 

 


LIFE!

2014-03-28 08:25:27 | MOVIE

幼いころはとんでもない空想の世界に入り込むことができませんでしたか?

 

寝てる間にも、毎日のように、よく夢をみたものです。

最近は・・。

 

 

昨年秋、うちの女子社員3名が、アラスカに近いカナダに旅行をしました。

 

夢であったオーロラに出会うために。

幸運にも、幻想的なオーロラを間近で見ることが出来たそうです。

 

 

下の映像は、グリーンランドの原野をハイスピードで撮影したもの。

 

最後の方で、オーロラの美しい映像がご覧いただけます。

 

http://vimeo.com/24519613

 

そんな普通では、ちょっとお目にかかれない僻地の映像がふんだんに出てくる映画が。

 

 

 

 

あまりないことなんですが、映画「LIFE!」を2回も、続けて観ちゃいました。

 

 

 

 

夢想家で、さえないサラリーマン(ベン・スティラー)がなくなったひとつのネガを追い求め、カメラマン(ショーン・ペン)を追いかけて秘境を旅する。恋も仕事も、夢であったはずのことが現実に・・。

 

いくつかの深い示唆を含んだシーンが印象的。

 

LIFE誌専属、プロ中のプロカメラマンが、絶好のシャッターチャンスを逃してまでも、ウォルター(さえないサラリーマン)に伝える言葉。

 

 

 

 

僻地アイスランドで、飲んだくれの操縦するヘリコプターに飛び乗るまでの間、空想の中、想いを寄せる女性が、ギターを弾きながら唄うデヴィッド・ボウイの“Space Oddity”の歌詞。ゼロ・クラヴィティよろしく、宇宙飛行士と地上管制官との会話。

 

http://youtu.be/nP6xBFyA_aw

 

 

 

予告編を、映画館やTVCMなどでご覧になった方も多いかと。

見ておられない方は、できれば、ご覧にならないで劇場のスクリーンで。

 

 

 

http://youtu.be/xN0Q6A-7I_M

 

ジェームズ・サーバーの短編を基にしたダニー・ケイ主演の名作コメディ「虹を掴む男」を、ベン・スティラーの監督・主演でリメイクしたファンタジー・アドベンチャー・コメディ。平凡で退屈な毎日を送り、白昼夢を見ることが唯一の趣味という主人公が、ある危機に直面したことから現実世界で大冒険の旅に飛び込んでいく姿をユーモラスかつエモーショナルに綴る。共演はクリステン・ウィグ、シャーリー・マクレーン、ショーン・ペン。
 ニューヨークの伝統ある雑誌『LIFE』で写真管理部という地味な仕事に就いている平凡な男ウォルター。単調な日常を送る彼の唯一の趣味は空想すること。現実世界では秘かに想いを寄せる同僚のシェリルに話しかけることさえままならない彼だが、空想の世界ではどんな危険にも怯まない勇敢なヒーローとなって大活躍するのだった。そんな中、『LIFE』の最終号を飾るはずだった写真のネガが行方不明になっていることが判明する。追い詰められたウォルターは、ネガのありかを直接聞き出すため、世界中を冒険している写真家ショーンを追って自らも冒険の旅に出るのだが…。

 

 

 


リアルな銃口の感触  The Deer Hunter(1978米) .

2014-03-18 15:16:19 | MOVIE

ふたつの意味で、とてもタイムリーな作品「ディア・ハンター」をシネマ部で鑑賞しました。

 

 

 

ウクライナ南部のクリミア自治区の独立を承認したロシアへの批判が、高まりを見せていること。

前回の部会で、ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの「恋に落ちて」を鑑賞していたという点からです。

 

70年代、消費社会の幕開け。いまだ強大な力を有していたアメリカ、ペンシルヴァニアの田舎町。ロシア移民の遊び仲間のひとり、スティーブン(J・サヴェージ)の結婚式、ほかふたりのベトナム出兵の送迎会がおこなわれる。その友人メンバーは、マイケル(デニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スタンリー(ジョン・カザール)、リンダ(メリル・ストリープ)などなど。

 

 

 

 

前半は、製鉄所での夜勤明け、結婚式、夜明けの鹿狩りまで、ほぼ1日の出来事を映し出します。

ロシア民謡の「カチューシャ」が響き渡る、移民によるバカ騒ぎのロシア正教徒の結婚式。そして、深く山に踏み入れて鹿を1発で撃ち殺すシーンまでを、退屈なくらい延々と。

 

 

後半、一気にベトナム最前線でのシーンに切り替わり、復員、ベトナム戦争終焉までの数年を描いてある。画面に引き込まれ、緊張を強いる場面が続き、クライマックスへ。

 

 

 

 

「ディア・ハンター」The Deer Hunter(1978米)

 

 

 

テーマは、「人格、精神までも蝕んでしまう戦争の醜さ、悲惨さ」。

 

淡い恋心を抱いている女性とうまくいきそうになりながら、恋敵である友人を連れ返るために、再び戦場へ赴く男の友情。

 

 

 

 

一見して、アメリカ対ロシア、民主主義対社会主義の構図に捉えがちになりますが、あくまで「戦争の虚しさ」。

名匠、マイケル・チミノが描き出す世界観は、冷たい銃口を額に押し付けるかごとく、こころに深く主題を突き付けてきます。

"史実"としての視点から、監督はじめ製作者側が伝えたかったのは"アメリカの大儀のために戦場に赴かなくてはならないロシア移民の悲劇"。普遍的には、マイノリティの悲劇でしょう。

 

ニュースをTVでみているだけでは、家族の消息が不明とか、友人が戦死したなんてリアルにウクライナで生じている現状は、所詮、他人事と感じてしまいやすい。

 

実際に、銃を突きつけられた人間の心理を知ることはできません。

 

零戦の素晴らしさとか、特攻隊の潔さを描いている時点で、どこかに戦争賛美がある。戦争に何らかの価値を見出そうとした時点で、その映画は戦争賛美であるなと、あらためて感じました。

 

シネマ部でも、名前は知っていたが初めてご覧になった方、お二人は鑑賞後、言葉を失った感あり。

 

 

 

 

前回の「恋に落ちて」の担当者、F井さまは今回、所用で欠席されていたのですが、前回の流れから、ぜひご覧にいれたかった。

 

 http://blog.goo.ne.jp/antenne_navi/e/8d43ff2261e16be9537dab3bc79826fc

 

筋には直接関係ないですが、ジョン・カザール(地元に残る友人、ゴッドファーザーでフレドを演じていた男優)が、当時、実生活ではメリル・ストリープと婚約していて、この映画の撮影後に、ジョンは癌でこの世を去ってしまった事実を付け加えさせていただきます。

 

私自身、30年ぶりくらいに観ましたが、新たに衝き動かされる想いがありました。

劇場版でなく、3時間超のDVDには、初めてみるシーンが点在。

M田さんと、そのあたり盛り上がりましたよ。

 

 

ご覧でない方には、一度、ぜひご覧いただきたい作品のひとつです。

 

 

 

 

 


恋におちて   シネマ部にて

2014-03-01 20:11:38 | MOVIE

ひさびさシネマ部では、「月の輝く夜に」以来の恋愛ものでした。



小説でも、映画でも、物語として恋愛を描くには、障害が必要です。運命のいたずらとか、家柄とか、年齢や人種の違いとか、貧富の差とか、戦争とか、重度の病とか・・。


男と女が、巡り合って、恋が成立するだけでは、だれも見向きもしない。日常によくある話で片付けられてしまいます。いかに、観ている側にハラハラ、ドキドキを感じさせるかが肝になりますよね。




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互いにしっかりした家庭がありながら、偶然が重なって意識し合い、行き違いや擦れ違いを繰り返し、惹かれあう。それが原因で、両方の家庭は崩壊しますが、結ばれない。最後には、その可能性を匂わして終わります。価値観のでき上がった成熟した男女ゆえに、より切ない。


名優、メリル・ストリープ、ロバート・デニーロですから、両者ともにナチュラルで完璧な演技。彼らの脂の乗り切った絶頂期・80年代の作品ですから当然。わきを固めるハーベイ・カイテル、ダイアン・ウィーストの演技も素晴らしいです。





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携帯もない時代の恋愛。劇中、地上線の電話が、重要なアイテムとして活躍します。

ためらう。かける。とまどう。遅れる。待ち続ける。観ている側は、「いまだ」、「なぜ?」、「どうしてためらう?」、「なんでこの場面で」というふうに、微妙なやり取りの綾や、すれ違いの妙、心理の揺れ動きを引き出す小道具になっています。

携帯電話やメールがあれば、いとも簡単に乗り越えられるシーンが。そういう意味では、現代の若者には、滑稽に映るかもしれません。

流行語になった「金妻」の時代をご存知の方には、なつかしく、引きつけられるシーンがいっぱい。



個人的には、メリル・ストリープがダサかったのに、どんどん魅力的になっていくプロセスが大好き。

恋愛で、今一歩を踏み出せずにいる方に、ぜひご覧いただきたい作品でした。





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鑑賞後の食事会では、「最後の再会のシーン」の有無で熱い議論が。精神的な恋愛のみで終えるか、それから先の進展は、みている側に委ねられる。いや、「めでたし、めでたし」の可能性が強い・・。

鑑賞してみようかと思われる方は、そのあたり、注目してご覧ください。




F井さま、80年代を彷彿とさせる作品を、ありがとうございました。いい時代でしたね。





「アメリカ国民の天使」は、お好き? シャーリー・テンプル 逝く

2014-02-13 21:19:38 | MOVIE

先日、若くして子役としての名声を手に入れると、その後はたいへんだと書かせていただきました。

 

http://blog.goo.ne.jp/antenne_navi/e/b06931ef235db93351a1173b2d757877

 

 

真逆の例として、若くして大スターとなり、そのまま大女優、外交官、大使、実業家と素晴らしい人生を全うされた方が存在します。

 

 

 

シャーリー・テンプルさんをご存知でしょうか?

 

 

 

 

子ども時代の名声にもかかわらず、彼女は大人になってから堅実な満ち足りた生活をおくった稀有な存在。ほとんどの子役は、スポットライトを浴びなくなると、人生に適合できなくなってしまいますが、それにひきかえ、シャーリー・テンプルさんは、傑出した人物であり続けている。

 

全く振り返ることなくショウビジネスを離れ、個人的には妻と母として成功し、仕事の面では外交官としても、環境保護の擁護者としても、国際的な又国内的な公的な委員会の委員としても、企業家としても成功し続けたのです。アメリカでは勤勉さと真面目さと温かさと優雅さと品行方正で知られており、伝説的な映画女優としてまた著名な外交官として高い尊敬を受けている方です。

 

 

ほんとうに、スゴイ人生。

 

そんな彼女の訃報。馴染みの深いメンソレータムのパッケージのモデルともいわれた(実際は違う)あどけない笑顔。

 

 

 

 

名子役として一世を風靡(ふうび)し、後年は大使も務めた米国の元女優シャーリー・テンプルさん(本名シャーリー・テンプル・ブラックさん)が10日、死去。

 

ウィキペディアの紹介でも、これほど量を書かれている女性は、初めてみました。アメリカ最高の女優と謳われた、その名声を裏付ける内容。

 

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=1&cad=rja&ved=0CCwQFjAA&url=http%3A%2F%2Fja.wikipedia.org%2Fwiki%2F%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25A3%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25BB%25E3%2583%2586%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2597%25E3%2583%25AB&ei=rMn8UoCpGcqSkgXOtoH4Cg&usg=AFQjCNHdYOvfnByR11FrWshIM31uTbD8FQ&sig2=pO9xylgzChq1Bre_zE50eQ

 

 

謹んで、ご冥福をお祈りしたいと思います。

 

 

 

85歳。大恐慌で暗かった1930年代、テンプルさんの演技は大人の共演者や観客に元気を与え、明るい希望をもたらした国民的アイドルで、「農園の寵児」「ハイディ」「輝く瞳」など多くの映画で主役を務め、 「輝く瞳」の中では「オン・ザ・グッド・シップ・ロリポップ(こんぺい糖のお舟)」を歌った子役でした。

 

 当時、シャーリー・テンプルさんをモチーフにした衣類や人形が盛んに製造され、親がお酒を飲んでいるとき、子供たちが飲めるようにと発明されたノンアルコールのカクテル飲料にも彼女にちなんだ名前が付けられたそうです。 子役ばかりでなく、歌手やダンサーとしても並外れた才能を発揮されましたが、思春期にさしかかると人気に陰りが出た段階で、結婚。早期に映画界を引退されました。

 

その後、外交官として国連に奉職したほか、ガーナ、チェコスロバキア大使を歴任。 1945年、17歳の時に軍人のジョン・エイガー氏と結婚したが、離婚。1950年には、実業家のチャールズ・ブラック氏と再婚し、3人の子供をもうけた。 1960年代には政治に関心を抱き、67年にベトナム戦争やポルノに対する反対派として連邦下院の補選に立候補するが、落選。 

しかし、その国民的名声は健在で、1974年、ガーナ大使に任命され、その後国務省の儀典長に就任。その後、ベルベット革命中のチェコスロバキアの大使なども務められました。晩年は、実業家としても成功。

 

 

 

写真でふり返るシャーリー・テンプルさんの活躍

 

 


また、逢う日まで  「きっと、うまくいく」

2014-02-13 00:48:21 | MOVIE

10年間以上も担当させていただいてきたお客様が、長野県に越されると。

最後の担当の日でした。

 

 

ご夫婦でご来店していただき、まだ、新婚でらっしゃる。

先日、奥さまが無事、医師の国家試験に合格され、赴任される病院が長野県に。

ご来店の度に、紆余曲折、お互いに様々なお話をしてきたので、すごく寂しくなります。

 

一期一会。

出会いと別れの繰り返しが、人生。

 

 

 

出会いと別れを描いた悲しい映画は多いけれど、底抜けに明るく、楽しい映画も存在します。

 

 

 

 

「きっと、うまくいく」というインド映画。

 

インド映画というと、ハチャメチャな歌と踊りのシーンを連想しますが、この作品はちょっとちがう。

3人のバカな学生が、出会い、共に学び、卒業とともに別れてしまいます。10年後、そのうちのふたりが再会し、行方不明の最後のひとりを、遠路、探しに行くという展開。

 

 

 

 

ハリウッド映画のように、ストーリー展開が早く、恋あり、涙あり、大雑把な娯楽作品のようでいて、細やかに張られた伏線がちりばめられ、哲学的なテーマのオチもしっかり。

やはり、突然歌ったり、踊ったりも出てきますが、すごく明るく、楽しい。破たんのないストーリーの運び、どんでん返しもありで、3時間近い長尺のフィルムとまったく感じさせません。ぜひ!

 

 

 

 

映画『きっと、うまくいく』(5/18公開)特別映像【公式】ボリウッド4

 

 

 

いつか、長野県を訪れ、再び会うことができるにちがいないと・・。

 

お二人の人生は、きっと「Aal Izz Well (All is Well)」だと信じて疑いません。

 

その日まで、お元気で。

 

 

きっと、うまくいく (2009)

 

 

 


ちょっと想像つかないけれど・・    ラッシュ/プライドと友情

2014-02-06 22:28:10 | MOVIE

一夜にして、「ときの人」になるってどんな気持ちだろう。

 

 

富や名声。

 

言葉で表せない、想像をはるかに超えた喜びに、打ち震えるのだろうか・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、積み重ねたプロセスの裏付けとがあってこそ。

人間的な形成がなされていないうちは、逆に不幸せにならないだろうか。

 

 

 

 

物事に誘惑や落とし穴、障害はつきものだ。

 

それはお約束みたいなもの。

 

 例外もあろうが、キャリーオーバーの宝くじで1等賞に当選とか、若くして、すべてを手に入れた子役の俳優さんなんかは、晩年、あまり幸せだと聞いたことがない。

 

 

ここから先は、想像でしかない。

実際に、そういう立場になったことがあるはずもなく・・

 

 

桁外れの富や名声を、突然、手に入れることのリスク・・。

 

単純に考えて、最初に物欲に走る。ブランド物の服装で固め、超一流のレストランで食事を繰り返し、フェラーリに乗り、家と別荘と自家用ジェットを購入。同時進行で女(異性)にうつつをぬかし、とっかえ引き換え。世界中を旅して、ギャンブル三昧。刺激のあるものに見境はなくなる。さらに、エスカレート。宗教に走ったり・・とても平常心ではいられない。

 

 

やがて、様々な輩が列をなして集まってくる。

 


見るも豪華な極彩色の装飾をちりばめた、甘いだけのスウィーツのごとき甘言。最後まで中身はからっぽの、親切に微笑むマトリョーシカばりのご提案。あなたにとって最良とか最善と謳われた新薬みたいなご忠言を携えて。


 

 

曇ったゴーグルをかけさせられたまま、身動きの取れないコックピットで、グニャグニャのステアリングとブレーキとアクセルで、音速を超えた走行を余儀なくされたF1パイロットかのよう。

 

 

 

 

 

ちょっとしたことでは喜べない。普通の生活では、楽しくなくなる。果てしない刺激を追い求め続ける。


すでに、自分自身のことが好きで、真のシンパシーをもって周りに人が集まるのか、自分のもっているものを目当てに人が寄ってくるのか分からなくなるのだ。

 

誰も信じられない・・それは、親兄弟でさえも。

 

それでも、人を突き動かすもの・・・それは、

 

 

 

 

 

・・なんてことを、想像してしまうのは凡人であるがゆえだろうか。

 

 

 

 

 

生まれもって、すべてが備わった人生なら・・

 

 

もともと裕福な家庭に生まれ、人並み外れた才能に恵まれたふたりの男。

 

 

 

 

性格の異なる男たち。すべてを手に入れたはずの彼らのたどった運命は・・・

  

 

 

◆映画『ラッシュ/プライドと友情』予告編

 

 

F1レーサー、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントが壮絶なタイトル争いを繰り広げたド­ラマを映画化。事故で大けがを負いながらもシーズン中に復帰したラウダと、性格もドラ­イビングスタイルも正反対なハントの死闘とライバル関係を、臨場感あふれるレースシー­ンと共に描く。監督は、『ビューティフル・マインド』などの名匠ロン・ハワード。陽気­なハントをクリス・ヘムズワース、冷静沈着なラウダをダニエル・ブリュールが演じる。


http://www.cinematoday.jp/movie/T0016857
配給: ギャガ
http://rush.gaga.ne.jp/
(C) 2013 RUSH FILMS LIMITED / EGOLITOSSELL FILM AND ACTION IMAGE.ALL RIGHTS RESERVED.

 

 

 


シネマ部にて「県警と組織暴力」 鑑賞

2014-01-28 21:07:55 | MOVIE

日本のヤクザ映画をご覧になったことは?

 

 

 

私自身、子供のころに高倉健さんや勝新太郎さん、鶴田浩二さん、池辺良さんなどの作品や、最近では北野武監督の「アウトレージ」シリーズなどを観ている程度で、それほどの知識はありません。

映画史をみてみると、おそろしい数の任侠ものシリーズが存在しているのがわかります。

 

今回、新しいメンバーの一人、東Kさんの担当でした。

彼が、学生のころに観て、たいへん感動した作品だということで・・。

 

 

 

日本の任侠ものと言えば、悪い親分や政治家や社長を、義理と人情に厚いヒーロー的主人公が、勧善懲悪で懲らしめるパターンや、渡世の義理人情のため、自分を犠牲にして破滅の道を選ぶというような内容のものが圧倒的に多い。

 

今回の作品は、少し毛色が異なるものでした。

 

市警の刑事(菅原文太)が、ひとりのヤクザ(松方弘樹)に情けをかけ、惚れ込んで、その結果、自滅していくというストーリーです。

上司である県警の捜査官に梅宮辰夫。悪徳政治家に金子信雄という判で押したような典型的キャスティング。これに、ピラニア軍団と呼ばれた大部屋の俳優陣(室田日出男、川谷拓三など)が絡みます。

 

大声で恫喝し、どたばたと出入りが行われる。女性を道具のように扱うシーンや、殺戮のシーンでは、ジタバタとカッコよくとはいきません。かなりリアルな演出の深作欣二監督の作風。

最後のシーンの必要性で、議論が盛り上がりました。

 

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッド・バイ」のようにはいかなかったけど、男の友情に取り組んだ作品として評価できる内容。

 

 

 

昭和の時代に無数に製作された任侠ものシリーズの元をたどれば、やはり欧米映画の西部劇のアイデア借用から始まっていることは間違いないでしょう。「網走番外地」に登場する酒場は、まるで西部劇のサロンそのもの。畳が敷いてあったりしますが・・。

 

もちろん、逆輸入の形でハリウッドに影響を与えた作品も存在します。

 

 

 

 

その代表が、黒澤監督の「七人の侍」ですね。

 

志村喬や三船敏郎は、ほんとうに素敵でした。

 

この映画に影響を受けて、「荒野の7人」が作られたのはご存じの通り。

 

 

 

 

侍映画や任侠もの、あるいは西部劇、マカロニ・ウエスタン、ギャングものなんかでも、大きく二つの傾向があると感じます。

 

荒唐無稽、実際にはあり得ないようなパターンで、どんどん人を、1本の刀で切り捨てたり(居合の専門家によると、実際には、竹光だからできるのであって、真剣だと重さと血糊で3~4人が限界だそう)、恐ろしい数の人間を撃ち殺す(なぜか銃弾飛び交う中、主人公は無傷)など、映画的演出に走ったエンターテイメントな作品。

 

一方で、リアルでCOOLに、事実に則し、登場人物の内面の心情に迫るものも存在(先日の「許されざる者」など)します。

きっと、何本かは、ご覧になったことがおありかと。

 

 

 

しかし、やはりスマートさでは、圧倒的にハリウッド映画に軍配が上がります。

 

 

 

 

「ゴッドファーザー」や「ワンスアポン・ナ・タイム・イン・アメリカ」のようにスマートさはない。現在では、邦画もスマートでお洒落になったものですが。

 

 

 

 

その歴史の流れでのエポック的な存在が、三船敏郎主演の「用心棒」とイーストウッド主演の「荒野の用心棒」と言われています。

 

 

 

 

このあたり、長くなりますのでまたの機会に。

 

東Kさん、シネマ部では初めての任侠もの。

ご担当、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 


鑑定士と顔のない依頼人  鑑賞

2014-01-22 19:38:33 | MOVIE

 

「ニューシネマパラダイス」のジュゼェペ・トルナトーレ監督「鑑定士と顔のない依頼人」をシネリーブル神戸で鑑賞してきました。

 

 

 

 

トルナトーレ監督の作品は毎回みていますし、先日、福井県へいっしょに旅しました、友人のM田くんが、ぜひにと薦めてくれたこともありで・・。

 

結論から申しますと、映画好きの方には自信をもってお薦めできるミステリータッチの素晴らしい作品に仕上がっていました。

 

 

 

 

主演のジェフェリー・ラッシュ(パイレーツオブカリビアンの船長役の方)の演技が素晴らしく、キャスティング、舞台セット、衣裳(マウリツィオ・ミレノッティ)、撮影(ファビオ・ザマリオン)、美術(マウリッオ・サバティーニ)、音楽(エンニオ・モリコーネ)と、どれをとっても、さすが名匠トルナトーレがメガホンをとると、こうも重厚で映画らしい映画になるのかという感じです。

 

クレア役のシルヴィア・フークスは、美しくも、不思議な魅力に溢れた女優さんですし・・。

 

 

しかし、最後のオチは観る観客の年齢によって、受け取り方が変わるかもしれません。

40代くらいまでの方と、50代以上の方では評価が分かれることだろうと・・。

 

 

 

 

スノッブで、鼻もちならない、気分屋のヴァージル。人を傷つけても、意に介さない傲慢さ。

厳しい世界に生きる完璧なプロの美術鑑定士にとって、信じること、愛することの意味とは・・・。

 

 

 

 

 http://youtu.be/3a5hxZ-chfM 予告編

 

ほんとうに映画らしい映画。

素晴らしい美術品の数々や、美しいイタリアの街並みを、ぜひ大画面で!

 

 

 

 

◆鑑定士と顔のない依頼人

一流の美術鑑定士にして、カリスマ的オークショニアのヴァージル・オールドマン。極端に人間嫌いで独身を貫く彼が唯一愛情を注ぐのが、女性の肖像を描いた名画たち。これはと思う肖像画が出品されると、相棒のビリーを使い、不正な手段で自分のコレクションに加えてしまうのだった。そんなある日、彼のもとに、亡くなった両親が遺した家具や美術品の鑑定をしてほしいという若い女性からの依頼が舞い込む。ところが依頼人は、決してヴァージルの前に姿を見せようとはしなかった。憤慨するヴァージルだったが、依頼人の屋敷である歴史的名品の一部とおぼしき部品を発見してしまい、この依頼を引き受けずにはいられなくなる。そして屋敷に通ううち、姿の見えない依頼人に少しずつ興味を抱き始めるヴァージルだったが…。