マクスウェルの考えるエーテル
マクスウェルはエーテルについて次のような文を書いています。
『我々はこのエーテルとおぼしきものが、(光を含めた電磁波の)横波を伝えることを理解している。
しかもこの伝播では、宇宙空間のような非常に遠い距離でも、
消散によるほんのわずかなエネルギーのロス(消失)もない。
分子構造を持つ媒体であれば、それらの分子が振動の間中ずっと、
隣同士の分子のつながりが変わらずにある限りは、エネルギーの
大きな消失が起こらずに振動を伝えることができるが、もし、その
分子構造のほんのわずかな一部、全部が崩壊とまではいわないでも、
形が変形した場合、この構造分子は、(形状と振動が異なった)
新しい分子グループに振動を伝えることになる。
こうした異なった形式を持つ複数の分子構造体を、
またがって伝播することになるのであれば、最初の
振動のエネルギーは、不規則な攪乱によって、我々が
言うところの熱が生じ、分散してしまうであろう。
ということで我々は、このエーテルの構造がガスの
ようなものであるとは言うことができないだろう。
ガスであれば、それは常に不規則な攪乱状態にあり、この
ような媒体は、もともとの振幅を、ひとつの波長につき
500分の1以下に落として伝播させてしまうだろう。
もし、エーテルが分子構造のものであれば、分子間同士は、先ほどあげた
例のごとく、隣同士が異なった分子構造に変化してしまった場合は、
熱が発生してロスが生じてしまうから同じ形同士(=全部のエーテルの
形状が全く変化しない)ということになり、どのエーテルの部分も、
振動のあいだは、その振動によるわずかな変化のみであるということになる。……
この振動する物体(エーテルの分子群)が軸を持って回転したりするような
ベクトル運動として、分子に型をつける力があるだろうと予測され、
振動はこうした分子群によって伝えられることになる。
そしてもし、ある容量の構成要素の中で、すべての分子群に対しての
ベクトルの平均値の交代数列が、私たちが「光」と呼ぶプロセスで
あるならば、この平均値を表した方程式は、今までの理論での
変位を表した方程式と全く同じものになるだろうということになる。
よく主張されるのが、「このエーテル媒体が、伸縮自在で圧縮性の
あるということは、エーテルが連続体でないということであり、
間に空虚な空間を持つ幾つかの部分に分かれているものから成っている、
とするのは儚い事実に過ぎない」というものである。
しかしながら、伸縮自在、または圧縮性がることが、どのエーテルの
部分でも該当する性質であることを示すことが、矛盾であるわけではない。
どの部分でも、たとえそれが小さくとも、分割できるのであれば、
その場合この媒体は、厳密に「連続体」であるということになる。
ある媒体がその密度の点から、均一で連続体であっても、その運動様式から、
不統一なものであると、解釈されることになるのは、トムソン氏の仮説、
理想(完全)流体における渦動分子理論で示されている。』
ナンバー1465につづく
ひとりごと
台風が上陸しましたが、
皆様大丈夫でしたか?
マクスウェルはエーテルについて次のような文を書いています。
『我々はこのエーテルとおぼしきものが、(光を含めた電磁波の)横波を伝えることを理解している。
しかもこの伝播では、宇宙空間のような非常に遠い距離でも、
消散によるほんのわずかなエネルギーのロス(消失)もない。
分子構造を持つ媒体であれば、それらの分子が振動の間中ずっと、
隣同士の分子のつながりが変わらずにある限りは、エネルギーの
大きな消失が起こらずに振動を伝えることができるが、もし、その
分子構造のほんのわずかな一部、全部が崩壊とまではいわないでも、
形が変形した場合、この構造分子は、(形状と振動が異なった)
新しい分子グループに振動を伝えることになる。
こうした異なった形式を持つ複数の分子構造体を、
またがって伝播することになるのであれば、最初の
振動のエネルギーは、不規則な攪乱によって、我々が
言うところの熱が生じ、分散してしまうであろう。
ということで我々は、このエーテルの構造がガスの
ようなものであるとは言うことができないだろう。
ガスであれば、それは常に不規則な攪乱状態にあり、この
ような媒体は、もともとの振幅を、ひとつの波長につき
500分の1以下に落として伝播させてしまうだろう。
もし、エーテルが分子構造のものであれば、分子間同士は、先ほどあげた
例のごとく、隣同士が異なった分子構造に変化してしまった場合は、
熱が発生してロスが生じてしまうから同じ形同士(=全部のエーテルの
形状が全く変化しない)ということになり、どのエーテルの部分も、
振動のあいだは、その振動によるわずかな変化のみであるということになる。……
この振動する物体(エーテルの分子群)が軸を持って回転したりするような
ベクトル運動として、分子に型をつける力があるだろうと予測され、
振動はこうした分子群によって伝えられることになる。
そしてもし、ある容量の構成要素の中で、すべての分子群に対しての
ベクトルの平均値の交代数列が、私たちが「光」と呼ぶプロセスで
あるならば、この平均値を表した方程式は、今までの理論での
変位を表した方程式と全く同じものになるだろうということになる。
よく主張されるのが、「このエーテル媒体が、伸縮自在で圧縮性の
あるということは、エーテルが連続体でないということであり、
間に空虚な空間を持つ幾つかの部分に分かれているものから成っている、
とするのは儚い事実に過ぎない」というものである。
しかしながら、伸縮自在、または圧縮性がることが、どのエーテルの
部分でも該当する性質であることを示すことが、矛盾であるわけではない。
どの部分でも、たとえそれが小さくとも、分割できるのであれば、
その場合この媒体は、厳密に「連続体」であるということになる。
ある媒体がその密度の点から、均一で連続体であっても、その運動様式から、
不統一なものであると、解釈されることになるのは、トムソン氏の仮説、
理想(完全)流体における渦動分子理論で示されている。』
ナンバー1465につづく
ひとりごと
台風が上陸しましたが、
皆様大丈夫でしたか?