心と体を通して見えてきたもの

個人的な生まれ変わりの体験談。心とは?カルマとは?人間の本質や使命とは?
といったことを考えてます。

第3章 光とともに ナンバー1464

2016-08-30 21:14:43 | Weblog
  マクスウェルの考えるエーテル
マクスウェルはエーテルについて次のような文を書いています。
『我々はこのエーテルとおぼしきものが、(光を含めた電磁波の)横波を伝えることを理解している。
しかもこの伝播では、宇宙空間のような非常に遠い距離でも、
消散によるほんのわずかなエネルギーのロス(消失)もない。
分子構造を持つ媒体であれば、それらの分子が振動の間中ずっと、
隣同士の分子のつながりが変わらずにある限りは、エネルギーの
大きな消失が起こらずに振動を伝えることができるが、もし、その
分子構造のほんのわずかな一部、全部が崩壊とまではいわないでも、
形が変形した場合、この構造分子は、(形状と振動が異なった)
新しい分子グループに振動を伝えることになる。
こうした異なった形式を持つ複数の分子構造体を、
またがって伝播することになるのであれば、最初の
振動のエネルギーは、不規則な攪乱によって、我々が
言うところの熱が生じ、分散してしまうであろう。
ということで我々は、このエーテルの構造がガスの
ようなものであるとは言うことができないだろう。
ガスであれば、それは常に不規則な攪乱状態にあり、この
ような媒体は、もともとの振幅を、ひとつの波長につき
500分の1以下に落として伝播させてしまうだろう。
もし、エーテルが分子構造のものであれば、分子間同士は、先ほどあげた
例のごとく、隣同士が異なった分子構造に変化してしまった場合は、
熱が発生してロスが生じてしまうから同じ形同士(=全部のエーテルの
形状が全く変化しない)ということになり、どのエーテルの部分も、
振動のあいだは、その振動によるわずかな変化のみであるということになる。……
この振動する物体(エーテルの分子群)が軸を持って回転したりするような
ベクトル運動として、分子に型をつける力があるだろうと予測され、
振動はこうした分子群によって伝えられることになる。
そしてもし、ある容量の構成要素の中で、すべての分子群に対しての
ベクトルの平均値の交代数列が、私たちが「光」と呼ぶプロセスで
あるならば、この平均値を表した方程式は、今までの理論での
変位を表した方程式と全く同じものになるだろうということになる。
よく主張されるのが、「このエーテル媒体が、伸縮自在で圧縮性の
あるということは、エーテルが連続体でないということであり、
間に空虚な空間を持つ幾つかの部分に分かれているものから成っている、
とするのは儚い事実に過ぎない」というものである。
しかしながら、伸縮自在、または圧縮性がることが、どのエーテルの
部分でも該当する性質であることを示すことが、矛盾であるわけではない。
どの部分でも、たとえそれが小さくとも、分割できるのであれば、
その場合この媒体は、厳密に「連続体」であるということになる。
ある媒体がその密度の点から、均一で連続体であっても、その運動様式から、
不統一なものであると、解釈されることになるのは、トムソン氏の仮説、
理想(完全)流体における渦動分子理論で示されている。』
ナンバー1465につづく

ひとりごと
台風が上陸しましたが、
皆様大丈夫でしたか?
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第3章 光とともに ナンバー1463

2016-08-28 20:56:59 | Weblog
  マクスウェルの電磁気学とエーテル
マクスウェルによる電磁波の予言は、ヘルツ(1857~1894)
により1888年に実験的に証明されました。
彼は電気的な波(電磁波)を作り出す装置を考案し、
その速度が光の波の速度と一致することを明らかにしました。
また電磁波は屈折や偏光も光の波と類似性があることも確認して、
マクスウェルの電磁理論の正当性を証明するものだと主張しました。
ファラディーは自然界の様々な力が共通する起源をもち、
電気や磁気はもちろん重力なども、その共通する起源の異なる形式に
すぎない可能性が高いと考えて、力学的な運動の変化だけでなく
その原因を探ろうとして、研究をおこない論文にしていました。
マクスウェルはこの論文を深く研究して、ファラディーの「力線」と
トムソンの「渦原子」の考えを物理的に表すことで、電場、磁場、
電荷、電流の関係を明確に示す一連の方程式を導き出しました。
この方程式(ナンバー1435)は、四元数で表記された
電磁気方程式でしたが、のちにヘビサイドによって簡略化されました。
そのためでしょうか、簡略化されたマクスウェルの方程式では
うまく説明できない物理現象が山ほど存在しているといいます。
たとえば摩擦電気がどういうふうに起こるのかがわかって
いないといいますし、ファラディーのころから、2種類の
電気の流れがあって、それぞれいろいろな外界に対する作用が
違うという電気二流体説というものも解決していないといいます。
こうした説明のできない物理現象は、ファラディーの
実験事実を数式で計算できる方法にした本来のマクスウェルの
方程式を使えば、説明ができるのかもしれません。
またマクスウェルは、電磁波が光速で伝播することを証明し、
光の波と、電磁気的な現象を伝える媒質は同一のものに
違いないと考えて、エーテルが物理的に存在するという
確信を強めますが、絶対空間と絶対時間と、蜂の巣の
形をした細胞のような静止エーテルを仮定します。
マクスウェルの時代に最も一般的に認知されていた
エーテルモデルは、おおよそ次のようなものだそうです。
「①光や電気力、磁気力および熱を伝える媒質は同一のエーテルである。
②エーテルは物質からなる構造物ではない。
しかし、物質はエーテルからなる構造物かもしれない。
③エーテルは宇宙空間すべてにわたって
充満していて、微細な物質内部にも浸透している。
④エーテルは弾力性のある固体に類似した特性がある。
⑤光はエーテル媒質を伝播する横波である。
⑥エーテルは絶対空間に対して、絶対静止している。
しかし星の周辺では随伴されるかもしれない。
⑦自然界の諸力は根底において一つである。」
ナンバー1464につづく
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第3章 光とともに ナンバー1462

2016-08-26 20:50:38 | Weblog
     マクスウェルが考える電磁波の現象の原理
竜巻ができるとき、上空の大気圧は一定で、地表付近の大気の水平の
回転速度が大きくなると、その空気の部分の気圧が下がります。
すると、その部分の上空の大気圧が、その部分を上から押しつぶします。
こうして渦の上空から回転面が下がってきます。
その周りの渦の回転が速くなればなるほど、その部分の垂直方向の気圧が
下がりますから、一気に押しつぶされて竜巻の最下部が地面にまで降下します。
マクスウェルは、磁力線もこのようなものだろう、と考えました。
時間とともに回転速度が速くなると加速度になり、
さらに速く動くための力を生み出します。
速度の回転は渦を生み出します。
だから速度が時間とともに変化して速くなると電気を発生させる
力(起電力)を生み、速度の回転は磁力線を生み出すと考えました。
電気力線の渦ができると同時に、起電力が並んで存在するようになります。
その上に電線を置けば電気が流れますし、電灯が点灯します。
このような場を誘電場といいます。
エーテルの渦の変化が電磁誘導となって電力を生み出す力となり、
誘電気力線として描くことができるようになると考えます。
この考え方は電磁場の縦波や横波の問題、電磁波の縦方向と横方向の
異方性の問題など、縦の進行方向とそれに垂直な横方向とで性質が
異なるという物理現象を理解するときに役に立つように思えます。
マクスウェルはこのような現象を説明しようとして、
彼独自の視点で論文を書いています。
電磁場の縦波という力線に沿った方向の振動と、
それに垂直方向の振動である横波です。
マクスウェルはこうしてトムソンの渦原子の考えと、
ファラディーの力線の考えを物理的に表現しました。
彼は電媒質における電場と磁場の変異の速度を
計算したところ光の波の速度と一致することを発見します。
マクスウェルは空間を扱うことで電磁波の生まれる場を数学的に解明しようとして、
電場、磁場、電荷、電流の関係を明確に示す一連の方程式を導き出しました。
また彼は、電磁波が光速で伝播することを証明し、
光も電磁放射の一種であることを示しました。
そこから光の波と、電磁気的な現象を伝える媒質は同一のものに
違いないと考えて、エーテルが物理的に存在するという確信を強めます。
また、光の振動数とは異なった振動数を持つ
電磁波というものが存在するだろうと暗示しています。
ただしこれらの推論はあくまでも絶対空間と絶対時間と、
静止エーテルの存在を前提としたものでした。
マクスウェル自身が「私の電磁理論を実証するには絶対静止の
エーテルを検証する必要がある」と言っています。
ナンバー1463につづく

ひとりごと
暑いです。まだまだ夏は続くのかしら?
台風も、次々と来てますね。
まだ来週も台風がくるようです。
気をつけてお過ごしくださいませ

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第3章 光とともに ナンバー1461 

2016-08-24 21:12:54 | Weblog
     マクスウェルが考える電磁波の現象の原理 
マクスウェルは電磁波という現象が起こる様子を具体的に考えるために、エーテルはどのような性質を持つものなのか、
分子的な構造なのか、あるいは分子構造を持たない境目がない滑らかな構造なのかについても考えました。
彼は電磁場の中でエーテル粒子の物理的なモデルを構築しようと試みていますから、マクスウェルにとって
エーテルも誘電場も磁場も物理的な存在であり、誘電場は誘電気力線、磁場は磁力線の形で存在するといいます。
磁力線はエーテルの渦糸または渦線のような物質的な存在です。
誘電気力線はその双対現象です。
電磁気のエネルギーは空間の中に渦糸が並ぶときにできるエーテルのゆがみが持つエネルギーです。
そして電磁波はそのエーテルの揺らぎであると考えます。
エーテルが回転するときに渦(磁力線)ができるということは、渦の周囲に回転を起こすエネルギーを持つことになります。
マクスウェルは電磁変動が起こる様子を、エーテルの渦の動きで説明しようとしたようです。
エーテルが管の周りをある速度で回転します。
するとほとんど変わりがないエーテルの中に一本の渦(磁力線)ができて、
渦糸の回転速度のために管の方向とその垂直方向で圧力の差が生まれます。
渦糸が管の方向に引っ張られて伸びて円錐形のようになるために、
渦糸の管方向の圧力は下がり、垂直方向の圧力は上がります。
そうなると管の垂直方向は押しつぶされるようになります。
この二つの圧力差はエーテルの回転速度に依存します。
普通の運動エネルギーは速度の2乗ですから、その圧力差は速度の2乗に比例します。
これが磁力線のエネルギーです。
磁場があるときの、磁場のエネルギーです。
これは竜巻や渦巻きがどうしてできるか、あるいは渦が存在するときに
どうして縦方向と横方向で違いが生まれるかの説明になります。
たとえば、水槽の水を回転させて水の表面に渦を作ろうとします。
水の表面に垂直方向に水を回転させて、水が回転速度を持つようになると、
その水の垂直方向の圧力が下がり、水面がへこんだ渦ができます。
水のエネルギーは、水の運動エネルギーと圧力の和です。
水が回転すると、運動エネルギーが生まれます。
ですからエネルギー保存則により運動している水の持つ圧力はその分だけ減ります。
すると水面上の空気は運動をせずに気圧はどこでも一定ですから、より速く動いている水面の部分を押しつぶします。
これが渦のへこみを作り出します。この回転速度が速くなるほど、その水面の水圧と釣り合うところまでへこみます。


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第3章 光とともに ナンバー1460

2016-08-22 21:22:34 | Weblog
     マクスウェルの電磁気学へ
ファラディーは力そのものを物質であるかのように
実在とみなし、物質の力を作用の原因と定義しています。
また電磁気の誘導現象を近接作用によって説明しようとして、物質のあいだの
あらゆる空間の磁気力による空間のあらゆる変化の状態を「磁力線」、電気力による
変化を「電気力線」とすることで、力の作用の変化を表現していました。
そしてファラディーは、磁気の性質を解明しようとして生涯に
わたって研究をおこない、たくさんの論文を書いています。
電気力や磁気力の「力線」の渦の中心に力があり、エーテルの連続体が
空間を満たしていると想定する渦原子の理論をトムソンは提唱していました。
マクスウェルはファラディーの論文をよく読み、深く思考して、ファラディーの
力の定義や力線の考え方と、トムソンの渦原子の考えを進展させていきます。
相互誘導(ナンバー1455)を起こすために、磁場の中に回路を置いて磁場の強さを
変化させるとき、電場が生まれて回路に電気が流れるというファラディーの法則に
対して、マクスウェルはその逆もあり得るのではないかと推論しました。
磁場の強さが変化することで電場が生まれ電流が流れる、すなわち電場が変化するなら、
電場の変化に対して磁場も変化して、その空間に電流が流れることになるだろうと考えます。
このような空間内に生まれた電流を変位電流と呼び、この
変位電流はエーテルの中にも生まれるだろうと推論しました。
電源につながれていないコイルに、磁石を入れると電流が流れます。
このコイルの周りには磁場(磁力線)があります。
磁石をコイルに近づけると、コイル内部の磁場がどんどん強くなってきます。
するとコイル内部の磁場が変動して、周囲に電場が発生して電磁変動になり、
電場と磁場が互いに誘導を繰り返しながら、空間に波として広がっていきます。
マクスウェルはその状態を「電磁気力線」と「磁力線」が、
直角に交差しながら交互に連鎖的に現れながら進む様子で表現します。
ファラディーの考える「磁力線」こそ、エーテルが回転するときに
現れる渦の線あるいは糸とマクスウェルは考えます。
この「エーテルの渦」は、エーテルの回転そのものを表しているといえます。
そして「電気力線」は「エーテルの時間変化によって生み刺されるもの」であり、
エーテルの直線運動のようなものだと考えました。
このような波を電磁波と名付けました。
そしてエーテルが持つ運動量のことを「電磁運動量」と呼びました。
これが現代では「ベクトル・ポテンシャル」と呼ばれているものです。
そして、トムソンの渦原子の考えを物理的に表すために、マクスウェルは蜂の巣の形をした
細胞のようなエーテルを仮定して、電磁気現象を開店する渦の管が
詰まった空間を、隣り合う渦管同士が相互作用する結果であると説明します。
しかし、この考えは当面の暫定的な仮説でしかないとも述べています。


おわび、
暑さのせいで?頭が回転しないまま文章を書いていました。f(^^;
そして、続きを書こうとしたとき、文章が続けられないことが発覚(T_T)
かなり、内容の変更をしました。
申し訳ありませんでした。

🙇
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第3章 光とともに ナンバー1459

2016-08-20 20:55:47 | Weblog
     ファラディーからマクスウェルへ
ファラディーの時代にエネルギーの保存則が確立されつつありましたが、
ファラディーはあくまでエネルギーではなく力が保存されると考えました。
そのためファラディーは力そのものを物質であるかのように実在するものとみなして、
物質の力の作用の原因と定義して、力の作用による変化の原因を説明しようとしています。
また彼は、電磁気の誘導現象を中心として研究していました。
これは離れたところにある物体に対する作用で、空間を扱うものでした。
彼は物質の間にあるあらゆる空間のあらゆる可能な変化を
目に見える状態にするために、「力線」という表現を使います。
この「力線」は特定の量の力が、どこからどこへ向かって働くのかという
作用の変化が、視覚的に理解できてわかりやくす表現されています。
ファラディーは電気や磁気を伝達することにエーテルが直接関係していて、
その様子を力線として表すことができるのだろうと考えました。
ファラディーの力線の考えに刺激されたウイリアム・トムソン(1827~1907 通称ケルビン卿)は、
この力線の渦は空間を満たすエーテルの連続体の構造を表したものだと考えます。
またエーテルに発生する渦が多種多様な原子になると考えます。
物質はエーテル流体の中での、渦の中心ととらえることが可能かもしれないと考えます。
物質と空間を同一のものと仮定することで、遠隔作用とという概念なしで、すべての
物理現象を説明できる可能性を秘めているという考えの、渦原子の理論を提唱します。
この渦原子の理論はすべての原子が渦から生まれるとして、
すべての物理法則の統合という画期的な理論です。
現代の物質や力を構成する基本単位を1次元のひもとして、ひもの振動や回転によって
表現している超ひも理論(ナンバー455)と渦原子の理論は似ていると言われています。
トムソンは電磁誘導や磁気力を表すためにベクトルを使い始めました。
そして1845年の論文では、電磁誘導を何らかの媒体(現在「場」と呼ばれているもの)
によるというファラディーの考えに数学的な表現を与えました。
これらはのちのマクスウェルの研究に重大な示唆を与えるものです。
彼は空間を満たすエーテルの連続体を想定して、力の伝達は
エーテル中に存在する渦糸によるものだと推定します。
しかし、確実にエーテルが存在するのか、また
渦糸の構造をしているのかといった疑問も残ります。
マクスウェルの時代にはエーテルは実在のものである、という仮説が大前提となっていましたので、
マクスウェルはファラディーとトムソンの考えをエーテルの存在を前提にさらに進展させていきます。
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第3章 光とともに ナンバー1458

2016-08-18 20:55:29 | Weblog
ファラディーによる力の定義
1858年にファラディーは、力の定義を粒子と関連付けながら次のように話しています。
『力(force)という言葉は、多くの人にとって単純に「ある場所から別の場所へと移動する物体の傾向」
という意味で理解されており、それは私が思うに、「力学的な力」という語句に等しい。
その意味に限定している人は、私の議論をとても不明瞭だと思うに違いない。
私が「力」という言葉で意味していることは、物理的な作用の「原因」である。
万物の粒子あるいは物質のあいだのあらゆる可能な変化の源泉のことなのである。』
ファラディーの時代は力を作用の原因とみなすことが、力学的に一般的な考え方でした。
その力がおよぼされるためには、力とは独立にその原因として物質の存在を想定することが通常でした。
多くの人が力を単純に「ある場所から別の場所へと移動する物体の傾向」という意味で理解していれば、
力を研究することの目的は、物体が運動することで変化していく様子を表現し、記述することになります。
これに対してファラディーは、物理的な作用の「原因」が力であり「万物の粒子あるいは
物質のあいだのあらゆる可能な変化の源泉」もそこに含まれるといいます。物質を
構成している粒子そのものと、その周囲の空間も含めたものが力であるといいます。
物質そのものとその周囲の空間も含めたすべてが作用の原因と考えて、作用の
原因である物質の周囲の空間を「場」と呼び、特定の量の力がどこからどこへ
向かって働いて作用による変化を見える状態にするために
「力線」という表現方法を用いているようです。
ファラディーは力に対して、別の場所へと移動する物体の「傾向」
という表現を、電磁気の研究を始めた1821年ごろから使っています。
ニュートンは「力学的な力」の対象として「質量」を定義して、
その運動の変化を論じる学問として力学を展開しました。
この「運動の変化」はファラディーが力の定義で「傾向」という言葉で表現したものです。
ファラディーは力学的な運動の変化だけでなく、その原因を探ろうとしました。
ファラディーは自然界の様々な力が共通する起源をもち、電気や磁気はもちろん
重力なども、その共通する起源の異なる形式にすぎない可能性が高いと考えていました。
そのためこれらの力は相互に変換が可能で、統一的な説明が与えられる可能性が模索され続けました。
そこで電流のある所に磁場が生まれるのであれば、逆に磁場から
電流が生まれて流れるようにできないだろうか?と考えたのでしょう。
彼は様々な自然界の作用が、それらの形式の変換されたものに過ぎないと考えます。
「力は創造されることも破壊されることもありえない」として、
その力の総量が保存されるという確信も抱くようになりました。
ナンバー1459 につづく

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第3章 光とともに ナンバー1457

2016-08-16 21:16:12 | Weblog
     ファラディーの近接作用による電磁気学
ファラディーは、帯電している物体から電気力が、磁気を帯びたものからは
磁気力が、それぞれ周囲の空間に広がり、電気の場合はそこに電荷によって
形成された場がつくられていて、磁気力の場合は磁気を帯びた場がつくられると考えました。
彼はその力のおよんでいる空間の各点で向きと大きさを持つ物理量を、
電気の場合は電場、磁気の場合は磁場と呼びました。
電流がその周りの空間に「場」をつくり、磁石の針は
その置かれている位置の場から力を受ける(近接作用)と考えました。
磁石はN極とS極の両方を必ず持ちますが、磁極が直接引き合うとするのが遠隔作用です。
ファラディーは磁石の置かれている空間が、片方の磁極が
帯びている磁気的性質によって磁場を作ると考えます。
そしてもう一つの磁極は磁場から力を受けると考えます。
物体に働く電気および磁気の力を直接見ることはできませんが、磁場の中に
置かれた磁石の針は、磁場の方向に、磁場の強さに比例する力を受ける
ということを利用して、間接的に磁場を見ることができます。
磁場のある所に鉄粉を置くと、鉄粉はその力を受ける向きに並びます。
この鉄粉の向きに沿って並んだ曲線を磁力線といいます。
電場の時間的変化または電流によって形成される
N極からS極に向かって曲線の矢印を描いて表します。
この磁場に広がる力の相互作用によって、力は伝達されていくと考えます。
ファラディーは、電気や磁気の空間の中での伝達に対して、「物質は力からなっている」と言います。
力は空間の中を連続的に広がっていて、その力の中心を物質の
中心と考えれば、空間と物質の原子の区別をする必要はなくなります。
これらの力が存在する空間を幾何学的に表現するために、
電気力線、磁気力線という概念を提唱します。
電場は空間の位置によって変化し、ある位置にプラスの単位電荷を静止させて
置いたとき、その電荷が受ける力の強さがその位置の電場と定義されます。
電場は定義上から力であり、この力は向きを持っているため、ベクトル量です。
その電場の中に存在する他の電荷に力をおよぼすことになります。
プラスの点電荷をその電場内で動かそうとした場合、点電荷の通る経路は電気力線に
沿ったものになりますが、電気力線のあいだも含めて空間全体に電場は存在します。
そして電気力線はプラスの電荷からマイナスの電荷に向かって流れます。
そして電流があるところに、磁場が生まれます。
では逆に「磁場から電流が流れるようにはできないだろうか?」というのが、
ファラディーの発想で、これを実験で確かめることもできました。
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第3章 光とともに ナンバー1456

2016-08-14 21:09:29 | Weblog
   ファラデーの電磁気学
ファラディー(1791~1867)の時代の科学者たちは、電磁気現象は
力が直接引き合う遠隔作用によると考えていました。
これに対してファラディーは、空間の中で電気力と磁気力が連続的に表れる様子を
力線で表し、近接作用(ナンバー359)という考え方で研究をおこなっています。
エルステッドの発見(ナンバー1455)を聞いたファラディーは、鉄の円形状の輪に絶縁された
導線を巻き付けたコイルを2つ作り、1つのコイルを電源のある回路につないで電流を流すと、
隣に平行に置いた電源のないもう1つのコイルに瞬間的に電流が流れることを発見しました。
この現象を相互誘導といいます。
その後ファラディーは、空芯のコイルの中で磁石を動かしても電流が流れることを発見します。
逆に磁石を固定して導線のほうを動かしても、電流が流れることを発見します。
また別の実験で、四角くループ状に閉じた導線を、磁場の内部に磁場とは
垂直に置いて、さらに導線の一片をスライダーとして左右に移動できるようにしておきます。
スライダーを右に移動してループの面積を増やすと、導線の内部に電流が生まれます。
逆に左に移動して面積を少なくすると、導線の内部に先ほどとは逆向きの電流が生まれます。
そしてスライダーは停止したまま、磁場の強さを増やすと
導線内に電流が生まれて、減らすと逆向きの電流が生まれます。
ループ内の磁場に変化がない時には、電流は流れません。
ファラディーのこれらの実験で、電流および磁場に変化が起きたとにのみ
電場が生まれ、電磁誘導がおこることが明らかとなりました。
導線内の電流の強さが一定の時は、周囲の磁場も一定です。
電流の強さを変化させると、周囲の磁場の強さも変化します。
そのとき同時に磁場の変化を打ち消す方向に、周囲に電場が生まれます。
そのとき生まれた電場によって、第2の導線内の電荷が移動して電流が生まれます。
この電場と磁場の関係は極めて重要で、この現象の原理を使ってファラディーは、
電磁回転と名付けた動きを生む二つの原始的な発電機を製作します。
一つは水銀を入れた皿の中央に磁石を立てて、上から水銀に浸るように針金をたらし、
その針金と水銀を通るように電流を流すと、電流によって生まれた磁場が磁石の
磁場と反発して磁石の針が磁石の針の周囲を回転し続けるというものです。
もう一つは単極電動機と呼ばれるもので、逆に磁石側が針金の周りを回るようになっていました。
これらの実験と発明が、現代の電磁技術の基礎を築きました。
当時は静電気、電池、動物電気といった、それぞれ別の種類の電気があると考えられていました。
静電気、電池、動物電気を使って、静電気による誘因現象、電気分解、電磁気学などの現象を
生み出すことで、電気は一種類だけであり、強さや量の違いが様々な現象を引き起こすとしました。
ナンバー1457につづく
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第3章 光とともに ナンバー1455

2016-08-12 21:11:44 | Weblog
   1800年代の電磁気学とエーテル
1800年前後頃は、電気と磁気はそれぞれ別の力として取り扱われていました。
そして電気の作用を研究する人たちの多くは、エーテル媒質の
物理学的基礎を論じていました。また電気と磁気の間には、何らかの
関係があるのではないかという考えが広く認められていました。
1820年4月にエルステッド(1777~1851)は、直線に引かれた導線に電気を
流して熱と光が発生させる公開実験の準備中、たまたまそばに方位磁石がありました。
導線に電池から電流を流すスイッチを入れたり切ったりしたときに、
北を指していた方位磁石の針が少し変化したのに偶然気がついて驚きました。
そこから導線内を通過する電気力が、導線のまわりの空間に対して円環状の磁気力を
作り出し、導線を流れる電流が磁界を作り出していると考え、詳細な調査を行ないました。
導線に電気を流したときに、方位磁石を真上に置くと針は導線とは
直角に右に向いて振れて、真下に置いたときは、逆の向きに振れる
現象を確認した結果、導線を流れる電流が磁界をつくることを証明します。
この現象は、電気の流れは磁石に力をおよぼすと同時に、
磁場が電流に力をおよぼして相互的であると推論しました。
この発見が1820年9月11日にパリの科学アカデミーで公開されると、
電気と磁気の相互作用を確認した電磁気学の基礎となる重要な出来事で、
かなりインパクトのある情報として科学界で注目を集めました。
この発見をきっかけとして、電気の力と磁気の力は
別々のものとする考えから一転して、「自然界の諸力は
根底において一つである」という考えに向かいはじめます。
エルステッドの発見に感銘を受けたアンペール(1775~1836)は、
すぐにこの現象を再現してさらに詳細な研究をおこないます。
そして、二本の平行な導線にそれぞれ電気を流したとき、
互いに力をおよぼしあい作用しあうことを発見しました。
同じ方向に電流を流すと2つの導線が引きつけ合い、
逆方向に電流を流すと反発し合います。
この相互作用はそれぞれの電流によって生まれる磁場同士が介在して
起きるもので、アンペアという単位の定義にもこの現象がつかわれています。
わずか2週間で実験に成功したアンペールは、9月18日に
科学アカデミーに、この結果を報告しました。
そして彼は、エーテルは正の電気流体と負の電気流体から成っていて、光はそれぞれの
流体の振動によって、電磁力は流体の乱れによって発生すると主張しました。
そして光エーテルと電磁エーテルという概念が一般的に認められるようになります。
ナンバー1456 につづく
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