ナンバー1762 2019.03.28 一貫性をそなえ相互結合している宇宙
アーヴィン・ラズローの『生ける宇宙』の続きです。
『21世紀の最初の10年間に位置する今、科学の最前線にいる独創的な研究者たちは、リアリティ(実在)が持つ包括的な性質を再発見しつつある。
彼らは、リアリティの包括的性質が確証できるような個人的な経験を、検証不可能な直感の領域から、人間どうしのあいだで検証可能な、万人共通の知識の領域へと引き上げているのだ。
リアリティに関して今出現しつつある考え方は単なる仮説以上のものであり、科学者以外の人たちの関心も集めている。
それは、知覚というベールを引き裂き、世界の本質を理解できる段階へと、わたしたちをかつてないまでに近づけてくれる。
そればかりか、これはわたしたちの生活や幸福にとってもありがたい再発見だと言える。
なぜなら、長きにわたって人類が、ほんとうはそうなのではないかと思ってきたものの、近代以降は表現することができなかった(それどころか、詩人や恋する者でないかぎり、表現しようと試みることすらためらわれてきた)ある事柄が、正しかったことを立証してくれるのだから。
その「ある事柄」とは、自分が何かに属するという帰属感、あるいは、一体感である。
わたしたちは、お互いの、そして自然の、一部である。
わたしたちは、一貫性をそなえた世界の、一貫性をそなえた一部である。
その点に関しては人間も、一個の素粒子、恒星、銀河とまったく同じだ。
それらとわたしたちとの違いはただ一つ、わたしたちは世界のなかの意識を持った一部、これを通して宇宙が自らを知るようになる一部であるという点だ。
この洞察は、生きることのより深い意味を再発見するための、そしてさらに、今という歴史の重大な岐路に必要な、より信頼性の高い新たな指針の確固たる基盤となる。
わたしたちは、意識を持った存在としての自らの可能性を十分に発揮することができる。
これは不可能でないばかりか、特別困難なことでもない。
新しい科学の諸分野で行なわれている複雑な演繹や、使用されている難解な数学の向こう側に存在する、一貫性をそなえ相互結合した包括的な宇宙の基本概念は、単純で意味深いものである。
それどころか、その基本概念は美しくさえある。
それを自分たちのものに出来たなら、以前に父や祖先たちがいた地点に戻ることができる――しかも、彼らよりはるかに強い確信を持って。
最先端の科学は、わたしたちは思い違いなどしていないと教えてくれている。
わたしたちはたしかに、包括的で全一的な宇宙の住人であり、そのような宇宙の一部なのだ。』
ナンバー1763 につづく
アーヴィン・ラズローの『生ける宇宙』の続きです。
『21世紀の最初の10年間に位置する今、科学の最前線にいる独創的な研究者たちは、リアリティ(実在)が持つ包括的な性質を再発見しつつある。
彼らは、リアリティの包括的性質が確証できるような個人的な経験を、検証不可能な直感の領域から、人間どうしのあいだで検証可能な、万人共通の知識の領域へと引き上げているのだ。
リアリティに関して今出現しつつある考え方は単なる仮説以上のものであり、科学者以外の人たちの関心も集めている。
それは、知覚というベールを引き裂き、世界の本質を理解できる段階へと、わたしたちをかつてないまでに近づけてくれる。
そればかりか、これはわたしたちの生活や幸福にとってもありがたい再発見だと言える。
なぜなら、長きにわたって人類が、ほんとうはそうなのではないかと思ってきたものの、近代以降は表現することができなかった(それどころか、詩人や恋する者でないかぎり、表現しようと試みることすらためらわれてきた)ある事柄が、正しかったことを立証してくれるのだから。
その「ある事柄」とは、自分が何かに属するという帰属感、あるいは、一体感である。
わたしたちは、お互いの、そして自然の、一部である。
わたしたちは、一貫性をそなえた世界の、一貫性をそなえた一部である。
その点に関しては人間も、一個の素粒子、恒星、銀河とまったく同じだ。
それらとわたしたちとの違いはただ一つ、わたしたちは世界のなかの意識を持った一部、これを通して宇宙が自らを知るようになる一部であるという点だ。
この洞察は、生きることのより深い意味を再発見するための、そしてさらに、今という歴史の重大な岐路に必要な、より信頼性の高い新たな指針の確固たる基盤となる。
わたしたちは、意識を持った存在としての自らの可能性を十分に発揮することができる。
これは不可能でないばかりか、特別困難なことでもない。
新しい科学の諸分野で行なわれている複雑な演繹や、使用されている難解な数学の向こう側に存在する、一貫性をそなえ相互結合した包括的な宇宙の基本概念は、単純で意味深いものである。
それどころか、その基本概念は美しくさえある。
それを自分たちのものに出来たなら、以前に父や祖先たちがいた地点に戻ることができる――しかも、彼らよりはるかに強い確信を持って。
最先端の科学は、わたしたちは思い違いなどしていないと教えてくれている。
わたしたちはたしかに、包括的で全一的な宇宙の住人であり、そのような宇宙の一部なのだ。』
ナンバー1763 につづく