量子のからみあい
私たちの知覚には限界がありますから、日常見ているものはそれぞれ分離して見えています。ですが、分離して見えるのは、幻覚なのだとからみあいは暗示しています。この作用は通常の時間経過を超えて、速やかに起こります。
物理学者たちの中には、からみあいが宇宙全体に広がっているのではないか、と想像している人たちもいます。
イギリスの物理学者クリス・クラークは『宇宙全体は絡み合った一つの量子系である。これまでもずっとそのような状態にあったし、今後も常にそうであり、完全に一貫性を保ち続けるだろう』と断言しています。
すべての物質が一体となったビッグバンから宇宙は生まれてきたので、宇宙のものはことごとくからみあっていると考えることができます。あらゆる素材でできた物質と、あなたと私も、鉱物も花や木などの植物も昆虫も、犬やライオンといった動物も、月や火星、木星、土星といった星も・・・宇宙に存在する物質的存在も霊的存在も含めたすべてのものが相互に結び付けられていることが想像されます。だとすると私たちは、たかだか100年ほどの短い人生という時間をただ通り過ぎていくのではなく、自分の人生を創造すると同時に、宇宙全体の創造にも関わりながら生きていて、宇宙とからみあっていることになります。
複数の量子が遠く離れていても、からみあっている状態を「quantum entanglement」と英語でいい、「もつれあい」と訳すこともあります。量子力学の基本概念であり、理論だけでなく、実験によっても量子がからみあう現象が確認されています。
一つの電子が二つに分かれると、一方は右方向に回転するのであれば、必ずもう一方は左方向に回転します。両方の回転の合計が、右と左で相殺されてゼロになっているとき、二つの電子はからみあっているといいます。どちらの電子が右回転で、どちらが左回転なのかはわかりません。もっと言うと、回転状態そのものが存在していません。測定すれば、どちらがどのように回転しているかわかります。もし、永遠に観測しなければ、永遠に回転状態は確定しません。観測をおこなわないかぎり、あるいは観測をおこなうまでは状態そのものが存在しないのです。量子力学では、測定と切り離して「状態」をとやかく言うこと自体ができません。
現在の量子力学では、様々な実験により、測定以前に状態が存在しないことは確定しています。二つの電子のスピンの状態がお互いに逆であることは、そもそもの「からみあい」の条件であり、回転の情報が生み出されたり、電子が互いに情報をやり取りしたりしているのではないのです。
ジョン・ウィラーによると、私たちはこの世界で起きる現象をただ眺めているだけの存在ではないと言います。量子物理学の実験から、ほんの一瞬だけ電子のようなミクロの物体に意識を向けて見るだけで、電子の性質が変化することが判明していると言いますから、粒子に意識を向けるだけで「からみあう」のです。
マイケル・ブルックスによると『粒子同士のからみあいは、至るとき至るところで起きており、最近の研究では、なんと私たちの住む、この巨視的な世界にまで及ぶ影響が明らかになっている。現在の物理学者たちは、そう信じているのだ』と『ニューサイエンティスト』2004年3月27日号の中で言っています。
この量子のからみあいを計算の原理に活用して、「からみあいの純化」とか「コヒーレンス・リピーター」などの技術を向上させつつあるものに、現在最も速いスーパーコンピュータよりもさらに何千倍も高速な情報処理ができる量子コンピュータがあります。
ビッグバンから宇宙は生まれているので、宇宙のものはことごとくからみあい、深く相互に結び付けられているので、生物学的にもウイルスやタンパク質や生体自身、また生体同士の間でもからみあいがあると考えられ、このからみあいを活用して進化も起こったという研究や、量子の振る舞いが心の振る舞いと似ていることから超心理学・超能力の研究などもおこなわれています。
№240につづく
私たちの知覚には限界がありますから、日常見ているものはそれぞれ分離して見えています。ですが、分離して見えるのは、幻覚なのだとからみあいは暗示しています。この作用は通常の時間経過を超えて、速やかに起こります。
物理学者たちの中には、からみあいが宇宙全体に広がっているのではないか、と想像している人たちもいます。
イギリスの物理学者クリス・クラークは『宇宙全体は絡み合った一つの量子系である。これまでもずっとそのような状態にあったし、今後も常にそうであり、完全に一貫性を保ち続けるだろう』と断言しています。
すべての物質が一体となったビッグバンから宇宙は生まれてきたので、宇宙のものはことごとくからみあっていると考えることができます。あらゆる素材でできた物質と、あなたと私も、鉱物も花や木などの植物も昆虫も、犬やライオンといった動物も、月や火星、木星、土星といった星も・・・宇宙に存在する物質的存在も霊的存在も含めたすべてのものが相互に結び付けられていることが想像されます。だとすると私たちは、たかだか100年ほどの短い人生という時間をただ通り過ぎていくのではなく、自分の人生を創造すると同時に、宇宙全体の創造にも関わりながら生きていて、宇宙とからみあっていることになります。
複数の量子が遠く離れていても、からみあっている状態を「quantum entanglement」と英語でいい、「もつれあい」と訳すこともあります。量子力学の基本概念であり、理論だけでなく、実験によっても量子がからみあう現象が確認されています。
一つの電子が二つに分かれると、一方は右方向に回転するのであれば、必ずもう一方は左方向に回転します。両方の回転の合計が、右と左で相殺されてゼロになっているとき、二つの電子はからみあっているといいます。どちらの電子が右回転で、どちらが左回転なのかはわかりません。もっと言うと、回転状態そのものが存在していません。測定すれば、どちらがどのように回転しているかわかります。もし、永遠に観測しなければ、永遠に回転状態は確定しません。観測をおこなわないかぎり、あるいは観測をおこなうまでは状態そのものが存在しないのです。量子力学では、測定と切り離して「状態」をとやかく言うこと自体ができません。
現在の量子力学では、様々な実験により、測定以前に状態が存在しないことは確定しています。二つの電子のスピンの状態がお互いに逆であることは、そもそもの「からみあい」の条件であり、回転の情報が生み出されたり、電子が互いに情報をやり取りしたりしているのではないのです。
ジョン・ウィラーによると、私たちはこの世界で起きる現象をただ眺めているだけの存在ではないと言います。量子物理学の実験から、ほんの一瞬だけ電子のようなミクロの物体に意識を向けて見るだけで、電子の性質が変化することが判明していると言いますから、粒子に意識を向けるだけで「からみあう」のです。
マイケル・ブルックスによると『粒子同士のからみあいは、至るとき至るところで起きており、最近の研究では、なんと私たちの住む、この巨視的な世界にまで及ぶ影響が明らかになっている。現在の物理学者たちは、そう信じているのだ』と『ニューサイエンティスト』2004年3月27日号の中で言っています。
この量子のからみあいを計算の原理に活用して、「からみあいの純化」とか「コヒーレンス・リピーター」などの技術を向上させつつあるものに、現在最も速いスーパーコンピュータよりもさらに何千倍も高速な情報処理ができる量子コンピュータがあります。
ビッグバンから宇宙は生まれているので、宇宙のものはことごとくからみあい、深く相互に結び付けられているので、生物学的にもウイルスやタンパク質や生体自身、また生体同士の間でもからみあいがあると考えられ、このからみあいを活用して進化も起こったという研究や、量子の振る舞いが心の振る舞いと似ていることから超心理学・超能力の研究などもおこなわれています。
№240につづく