心と体を通して見えてきたもの

個人的な生まれ変わりの体験談。心とは?カルマとは?人間の本質や使命とは?
といったことを考えてます。

第3章 光とともに №1291

2015-08-30 21:04:11 | Weblog
   三位一体と万物の創造
グノーシス神話の一つである、ヘルメス文書の
『ポイマンドレース』を振り返ってみます。
トリツメギストスは体全体の感覚がすっかり
停止したときに、ポイマンドレースと出会い、
「存在の本質を識り、神を認識したいのです(№1028)」と質問しました。
これに対して、ポイマンドレースは姿を変えて、
超感覚的な世界を現出させました。それは
トリツメギストスの周囲も内部も、すべてが
一変し、超感覚的な光に充たされ、その光景は
計り知れぬほどに美しく、喜ばしいものだったといいます。
すべてのものは輝き、甘美で、とても晴れやかで、
その眺めにトリツメギストスはすばらしく喜びました。
しばらくすると、もうもうと煙を吐くように
暗黒があらわれて、湿ったどろどろの
自然物(フュシス)となります。
すると光からある神聖な言葉(ロゴス)が
やってきて、自然物(フュシス)と
結びつき、万物の構成要素である
四大(地・水・風・火)が発生(№1031)しました。
そしてポイマンドレースは『わたしはあの光なのだ。
すなわち叡智であり、おまえの神であるともいえる。
あの、暗黒からあらわれた、しめったどろどろの
自然よりもまえから在る者で、叡智よりいでし
輝くひかりのことばは、神の息子なのだ。』と説明します。
この万物創造の最初に超感覚的な光の世界が
現れて、次に自然物(フュシス)と言葉が
現れたことで、万物の構成要素が生まれました。
光の世界と自然物(フュシス)と言葉の三つに
よって万物が創造される、三位一体になっています。
また、たいていの宗教が神を三位一体とした教えであり、
この三位一体が基本的な形であるといいます。
世界の様々な宗教にも、光から万物が
つくられたという教えがありましたし、
ビッグバン理論も光の爆発から宇宙が始まったといいます。
そして光と暗黒と神聖な言葉(ロゴス)という
三位一体の中の純粋なエネルギーが、しだいに
濃縮することで質料となり、万物の構成要素
である四大(地・水・風・火)が発生し、
上位の界層から下位の界層に向かって万物が
創造されたと、ポイマンドレースは言いました。
次にこの質料が形態を形づくり、生命活動が行われます。
そしてこの形態の中に霊、あるいは魂、または意識が生まれます。
この「エネルギーと質料」、「生命と形態」
「霊と魂」の三つがそろうことで、これも三位一体となります。
質料の中にエネルギーがあることで形態を
維持しますし、形態を持つものの中に生命が
あることで生物学的な活動があり、生物学的な
活動から霊的な意識が育ち精神活動が可能となります。
こうして生命を持つものの、形態と
意識の両方の進化ができることになります。
これは宇宙万物すべてについて、あてはめることができるものです。
№1292につづく
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第3章 光とともに №1290

2015-08-28 21:14:29 | Weblog
  グノーシス神話の特徴と輪廻転生
輪廻転生を繰り返す人間が、新しく地上に誕生するとき、
コーザル界で休眠状態にある肉体、アストラル体、
メンタル体の3つの恒久原子の中に蓄えられた情報と、
魂自身が新しい人生のために決めた目標に基づいて、
新しい肉体、アストラル体、メンタル体をつくります。
生まれ変わりの回数が少なければ、得られる体験も
少しですから、それぞれの恒久原子に蓄えられる
情報も少しですが、生まれ変わる回数が増えて経験も
豊富であれば、そこに蓄えられる情報も豊富になり、
過去世で体験したあらゆる特質を備えるように
なって、恒久原子も発達し純化することになります。
この恒久原子について『神智学大要 第4巻コーザル体〔下〕』
(出帆新社発行 26ページ)には
『恒久原子は他の原子よりも遥かに進化しており、
大師になる寸前の方々になると、その恒久原子は
第七環期の原子として発達の極にあることに注目しよう。
したがって、そのような恒久原子は恒久原子としての
可能な限りの発達を遂げており、すでに見てきたように、
過去生より持ち越してきたあらゆる特質を備えている。』とあります。
これは人間が輪廻転生を終えて、大師となるときには
肉体、アストラル体、メンタル体の恒久原子も、
転生の過程で得た情報や特質などを蓄えることで、
第一環期の原子が第七環期の原子にまで
成長・発達しているということのようです。
「やがて可視的・物質的世界が終末を
迎える時には、その中に分散している本質は
至高神の領域へ回帰してゆく」ことになるようです。
人の死から次の新しい人生のはじまりまでの、
人の一生という小さなサイクルの終末までと、
人類の誕生から輪廻転生を卒業して大師になるまで
という、人類種族の終末までの大きなサイクルの
両方に、グノーシス神話の特徴の5は当てはまるように思います。
これは、上にあるがごとく下にあり、あるいは
フラクタルということだと思います。
そして、現在の私たちは、人間の本質を
知ることで自分の人生の悩みを解決し、
混迷する現代社会の様々な社会的
国際的な問題を解決したいと願います。
このような願いによって「光の国から派遣する
啓示者」として、マイトレーヤが来られています。
混迷する社会、「そこからの解放のためには、
至高神が光の国から派遣する啓示者、あるいは
それに機能的に等しい呼びかけ」をしている
マイトレーヤに人類が応えることで、現在の
苦境から抜け出して、人間の本質が神である
ことを知る時が訪れますし、私たちの
意識はさらに進化することになります。
すると人類の大半が「やがて
可視的・物質的世界が終末を
迎える時には、その中に分散して
いる本質は至高神の領域へ回帰してゆく」
時が訪れ、大師になることになるのでしょう。
№1291につづく
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第3章 光とともに №1289

2015-08-26 21:19:44 | Weblog
  グノーシス神話の特徴 至高神の領域へ回帰する
グノーシス神話の特徴の5は
「やがて可視的・物質的世界が終末を
迎える時には、その中に分散している
本質は至高神の領域へ回帰してゆく。」です。
最初は求道者だったトリツメギストスは、
ポイマンドレースが現れ不可視の世界を
体験することで、自己の本質と、物質世界が
誕生したいきさつを知ることができました。
こうして理解したことを人々に伝え宣教し、
トリツメギストスは「そこからの
解放のためには、至高神が光の国から
派遣する啓示者、あるいはそれに
機能的に等しい呼びかけ」導くことの
できる人、求道の統率者となります。
このように人々を教え導くまでに意識が
進化した人々は、「やがて可視的・
物質的世界が終末を迎える時には、
その中に分散している本質は至高神の
領域へ回帰」していくため、近い将来、
輪廻転生を卒業することになります。
この「可視的・物質的世界」に人間を
転生させているものは、人間自身の魂です。
魂が地上に生まれてくるときには、
魂の体であるコーザル体にメンタル体、
アストラル体、エーテル体、肉体という
5重の体をまとって誕生し、この地上で
何十年間かを生きることになります。
この人生の間に得られた経験は、肉体、
アストラル体、メンタル体にある
それぞれの恒久原子に蓄えられます。
たとえばアストラル恒久原子は、
アストラル体の存在するアストラル界の中でも、
最も高い亜層に存在して、輪廻転生を通じて
得られたアストラル体の経験を蓄積します。
肉体とメンタル体の恒久原子も、
同様に膨大な量の経験を蓄積します。
人の死後、魂が肉体から出ると、
肉体の中にあった肉体恒久原子は、
魂のあるコーザル体に入り休眠状態になり、
アストラル体からコーザル体までの
4つの体を持つことになります。
肉体から出た魂は、アストラル体の
中にいてアストラル界で死後の
活動を行った後、次にアストラル体
からメンタル体に移動します。
するとアストラル恒久原子は、
コーザル体の中に入り、休眠状態になります。
メンタル体に移動した魂は、メンタル界で
しばらく過ごした後、コーザル体に移動します。
このように物質界で5つの体を持っていた魂は
死後、各界層でその界層の体を脱ぎながら
コーザル界まで移動します。
4つの体を脱いだコーザル界のコーザル体の
中には、肉体恒久原子、アストラル恒久原子、
メンタル恒久原子が休んでいることになります。
グノーシス神話の特徴の5の、
「やがて可視的・物質的世界が終末を迎える時」
とは、人が亡くなる時であり、
「その中に分散している本質」というのは、
それぞれの体の中にある恒久原子であり、
この恒久原子は「至高神の領域」である
コーザル界の魂へ「回帰してゆく」ということだと思います。
№1290につづく
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第3章 光とともに №1288

2015-08-24 21:15:35 | Weblog
   現代における「至高神が光の国から派遣する啓示者」
現代社会には、政治的、経済的、社会的な
問題、そしてエネルギー問題、環境問題から
自然災害まで様々な問題が山積みです。
アメリカとソ連の冷戦は終結しましたが、
2001年9月11日に、ニューヨーク市の
世界貿易センタービル、ワシントン市の
国防総省(ペンタゴン)の建物、そして
ホワイトハウスへのテロリストによる攻撃から、
テロの脅威と緊張が、現在でも続いています。
このテロ攻撃には、当然原因があります。
それは簡単な話ではありませんが、先進諸国と
開発途上国とのあいだにある極端な生活水準の格差、
世界の経済および金融配分に対する先進諸国の
傲慢なアプローチに問題があるといわれています。
世界の80%の資源を世界の人口の20%である
先進諸国が貪欲に消費して、残り20%の
資源を80%の開発途上国が分かち合わ
なければならない状況だといわれています。
これは不公平ですし、このような配分をした
人々の傲慢と貪欲の下で、多くの人々が
飢えていますから、この格差を無くそう
と何らかの要求があるでしょう。
それが、テロなのか、戦争なのかは、
わかりませんが、毎日餓死する人々が
いますから早期に解決する必要があると思います。
私たち自身がこのような問題とその原因を
理解して、解決のための方法を考えなければ
いけないのですが、政治的、経済的、社会的、
宗教的な立場など、様々な問題が絡んでいる
ため、問題の解決には長い時間がかかるようです。
さらに資源エネルギーや環境問題なども考えると、
人類の未来について悲観的な感じがします。
ベンジャミン・クレーム氏は、
『幸いなことに、私たち人類は、
援助なしに、導きなしに、一人で
置かれたことはかつてありませんでした。
世界が始まった初期の頃から、人類の背後には、
途方もない洞察と智恵を備えた方々の一団が存在していました。
その方々は「世界の霊的ハイアラキー」と呼ばれています。
(『全人類のための世界教師』p16より)』と言っています。
この「世界の霊的ハイアラキー」は、グノーシス神話に
出てくる「光の国」のことだと思います。
解決できそうにない問題をたくさん抱える
現代社会にあって、苦悩する人類の呼びかけに
応える「啓示者」としてマイトレーヤが来られています。
この方は人間が持つ自由意志を妨げることが
できないため、まだ御自身のことを世界に
向けて知らせること(大宣言)ができません。
そこでベンジャミン・クレーム氏が、世界に
マイトレーヤの存在と使命を知らせる活動を
していますが、まだ一部の人々にしか知られていないようです。
もっと多くの人々がこの事実を知り、呼びかけに
答えることができれば、マイトレーヤは人類の前に
現れて、「人間の自己を覚醒」することができるでしょうし、
現代社会が抱えている様々な問題を解決する
ための方法も教えていただけるでしょう。
№1289につづく
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第3章 光とともに №1287

2015-08-22 21:04:35 | Weblog
  グノーシス神話の特徴と現代社会
グノーシス神話の特徴の4.は「そこからの解放のためには、
至高神が光の国から派遣する啓示者、あるいはそれに機能的に
等しい呼びかけが到来し、人間の自己を覚醒しなければならない」です。
人間の肉体は感覚界に帰属しているため、無知蒙昧な罪を犯しますし、
不死性を剥奪されていますから、「本来的自己」は元来その至高神と
同質であるということを知らずに、輪廻転生を繰り返しています。
このような状態から解放されるためには、人間はなぜこんなに
無知蒙昧なのだろう、本当の自分について認識したいという
強い思いを、人間自身がみずから持ち、答えを
求めようとすることが必要だと思います。
イエス・キリストは「求めよさらば与えられん」
と言っていますから、人間から神に対して呼びかけ
たり祈願したりすることも必要なのだと思います。
そうすることで「至高神が光の国から派遣する
啓示者、あるいはそれに機能的に等しい
呼びかけ」が到来することになると思います。
トリツメギストスの場合は、洞察が昂まり体全体の
感覚がすっかり停止するまでになった時(№1020)に、
巨大で偉大な神像としてポイマンドレースが現れました。
ポイマンドレースは『おまえは、なにを聞き、
なにを観たいのか? そしてなにを悟り、学び、
なにを認識したいのか!(№1026)』と呼びかけました。
このポイマンドレースという「啓示者、あるいは
それに機能的に等しい呼びかけ」に気がついて、
トリツメギストスのように呼びかけに答えることで、
人間の自己を覚醒することができます。
人間は20世紀の初めに、とても無知蒙昧な
罪である二つの世界大戦を行いました。
このときほとんどすべての人々は、
社会的、経済的あるいは心理的、肉体的など、
何らかの形で戦争の影響を受けたり苦難を
味わったりしたため、このような残虐な
戦争を早く終わらせたい、と思いました。
こうした人々による、神への祈りが
世界中の様々な場所で行われました。
また世界大戦後も、世界は共産国と
資本主義国に、東西あるいは南北に分裂し、
それぞれが自分たちの理想であると信じるものを
追求しましたが、富める国と貧しい国、
先進国と開発途上国に分裂してしまいました。
また核戦争の脅威が人類にのしかかった時も
ありますし、食糧や資源やエネルギーは限られて
いるのに、ごく一部の国が独占している問題などが
現在もありますが、経済的・政治的・社会的な
各国の思惑などもあり問題を解決できていません。
また火山活動や地震、竜巻、洪水、異常気象などの
自然災害も多く発生していますが、これらに
対応できる解決策を人類は持っていません。
これらの諸問題が解決し、世界が平和に
なるように、という願いは誰もが持っていると思います。
このような人類の願いが至高神に届くと、
「至高神が光の国から派遣する啓示者、あるいは
それに機能的に等しい呼びかけが到来」します。
№1288につづく
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第3章 光とともに №1286

2015-08-20 21:15:12 | Weblog
  グノーシス神話の特徴
『万象の父、生命と光たる叡智は、自身の似姿として、
《ひと》を産みだした(№1086)』ため、
「本来的自己」は元来その至高神と同質です。
そして万象の父は、《ひと》を
『父のすがたをもっておりあまりの麗しさで
あったが故、正統な生まれのものとして愛された。
いかにも、神はみずからの形態形状をはなはだ
愛したので、みずからのつくりだしたものたちの
すべてをこれに与えた(№1086)』ため、
《ひと》は造物主の万物生成とその創造を
学んで、『みずからもまたぜひともこの仕事に
たずさわらん(№1127)』としました。
造物主である七人の支配者たちは、
《ひと》を愛し、おのおのが治める
ところを《ひと》に分担させました。
《ひと》は熱心に学ぶあまり、星辰界と
月下界のつりあいから下界を覗き見ました。
このとき、下なる自然(フィシス)の水の
中に美しい神の似姿を見せてしまいました。
《ひと》もまた己のすがたが水の中に
映っているのを見て、これを愛し、
それと共に在りたいと願ったため
「その「本来的自己」はこの可視的・物質的
世界の中に落下し、そこに捕縛されて、
本来の在り処を忘却してしまっている」ことになります。
これがグノーシス神話の特徴の3になります。
《ひと》が造物主の万物生成とその創造を
学ぼうとして、万物生成の天球のなかに
身を置く(№1127)ということは、まだ
万物生成がおこなわれている最中のものの
中に入るのですから、そこは不完全で未完成な場所です。
この「至高神と現実の可視的・物質的世界との間には
超え難い断絶」があるという表面的な部分だけを見て、
これを単純に悪と判断する人間もまた、完成を
目指して進化しつつある不完全なものといえるでしょう。
グノーシス神話の特徴の2.(№1285)で、
人間の本質である「本来的自己」は元来その
至高神と同質である、とありますが
「じめじめした自然(フィシス)」から
生まれた未完成な肉体は、可視的・物質的な
感覚界に帰属しているため、無知蒙昧な罪を
犯し、不死性を剥奪されていますから、
万物生成の天球の外にある、万象の父である
生命と光たる叡智を、理解することは難しいと考えられます。
『マイトレーヤの使命』によると、存在するものは
完全と不完全であり、悪とは創造の未だ完全ではない
ところの様相の顕現で、単に不完全なものにすぎない
といい、すべてのものが霊的な完全から生まれ出て、
物質界へ降りた後、完全なるもの、霊なるものへ
向かって動くという、回転運動を永劫の初め
より無限の終末までおこなっていています。
ポイマンドレースはこれを、『ことば
とともに在る叡智、すなわち造物主は、
世界の円環を支配下に置きつつ己が周囲に
回転させて、みずからのつくりだしたものたちを、
車輪のごとくにまるく輪転させ、そして永劫の
初めより無限の終末まで、まわりつづけるままにした。
それらはつねに、終わりよりまた始まる
永劫回帰なのである(№1059)』と言っていました。
№1287につづく
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第3章 光とともに №1285

2015-08-18 20:53:16 | Weblog
  グノーシス神話の特徴
人間の内面にある神性の解放に関するグノーシス主義の神話には、
いろいろなバリエーションの内容を持つものがあるといいます。
どのグノーシス神話もおおよそのあらすじは似ているそうで、
至高神によって産み出された、造物主または創造主である
デミウルゴスは、世界を創造しようとしますが、失敗して
しまったために、世界には不完全さと悪が満ちているといいます。
そして人間は、もともと神の子なのですが、この堕落した
世界の中で、自己の本質を見失っているといいます。
エジプトの古文書の一つである、ヘルメス文書の中の
『ポイマンドレース』もその教えの一つです。
真の自己を認識したいという思いを持つ人々は、
いつの時代にもいますから、これは人間が持つ
本質的で普遍的な欲求なのだと思われます。
このようなグノーシス神話に共通の
特徴は次のようになるといいます。
1.人間の知力を持っては把握できない
至高神と現実の可視的・物質的世界
との間には超え難い断絶ができている。
2.人間の霊あるいは魂、すなわち
「本来的自己」は元来その至高神と同質である。
3.しかし、その「本来的自己」はこの
可視的・物質的世界の中に落下し、そこに捕縛されて、
本来の在り処を忘却してしまっている。
4.そこからの解放のためには、至高神が
光の国から派遣する啓示者、あるいはそれに
機能的に等しい呼びかけが到来し、
人間の自己を覚醒しなければならない。
5.やがて可視的・物質的世界が終末を
迎える時には、その中に分散している
本質は至高神の領域へ回帰してゆく。
グノーシス主義は、このような自己の
本質と神々についての認識に到達する
ことを、求める傾向を持つものだといいます。
1の「至高神と現実の可視的・物質的世界との
間には超え難い断絶」があるというのは、
この宇宙は「悪の宇宙」であるため、地上での
生命の営みは悲惨だという考えから来ていて、
これを「反宇宙論」と呼ぶそうです。
当時の宗教や思想が伝える神々が善である
というのは誤りであり、善とされる神々が、
この悪の世界の原因であれば、実は悪の神、偽りの神である。
どこかに真の神と真の世界が存在するはずだ。
悪の世界は物質で構成されていて、物質は悪である。
霊あるいはイデアこそが、真の存在であり
世界である、と当時の人々は考えたといいます。
特徴の2は、「人間の霊あるいは魂、すなわち
「本来的自己」は元来その至高神と同質である」といいます。
それは、ポイマンドレースの『万象の父、
生命と光たる叡智は、自身の似姿として、
《ひと》を産みだした(№1086)』という
言葉からも、至高神によって産み出された
人間の、「本来的自己」は元来その至高神と
同質であることがわかります。
神智学でも、人間とは本質的に神であると、教えています。
№1286につづく
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第3章 光とともに №1284

2015-08-16 21:10:05 | Weblog
  トリツメギストスのポイマンドレースへの賛美
『ポイマンドレース』の続きです。
『ひとり残された私は、ポイマンドレースの
慈しみあふれる贈物を心に銘記した。
私は、知りたかったことを満たされて、
心底うれしかったのだ。
肉体の眠りは、叡智の覚醒となった。
眼を閉じると真実の光景がみえた。
沈黙には善徳に充ちた子が宿った。
言葉をつむげば、善が花咲き実を結んだ。
以上が、私の身に起こったことである。
私は叡智より授かり、それはポイマンドレース、
《ことば・知らせ》の支配者であった。
かくして私は神より真実の啓示を受けたのだ。
こうしたことのもとに、私は
全霊全力を挙げて父なる神に賛美を捧げる。
「聖なるは、万物をつくりし父なる神。
聖なるは、その力によりて意志を成就し具現せし神。
聖なるは、識らることを決め、御身の子らに識らるる神。
聖なるは、ことばによりて万物をうちたてし貴方。
聖なるは、ありようを自然に与えたまいし貴方。
聖なるは、自然に形を与えなかった貴方。
聖なるは、あらゆる作用力よりつよき力をもつ貴方。
聖なるは、あらゆる美徳を超越せし貴方。
聖なるは、あらゆる賛美を超越せし貴方。」
受けよ、まじりけなき魂よりの道理ある聖別を。
その心は貴方へと差し伸べられている。
ことばにならぬことばによって。
沈黙をもって賛美す。我は懇願す。
知識に誤りなきように。
慈悲のまなざしを我に与えよ。
恩恵によりて啓示し、我がともがら、
貴方の子らの無知を許したまえ。
貴方を信ずるが故に命と光のなか証を立てる。
父よ、貴方を讃えん。
ひとは貴方とともに神聖なものにならん。
貴方がそれらすべてに力を与えたのだから。』
このようにしてトリツメギストスは、神を賛美しつつ、
人々にポイマンドレースの教えを伝えたことで、
グノーシスの教えが広がりました。
トリツメギストスのような人々によって、
自己の本質を認識できることが、広く世間
一般にも知られるようになっていきます。
自己の本質を認識(グノーシス)することで、
人間の内面にある神性の解放を目指したり、
真の神の認識に到達しようとする思想や
宗教を、グノーシス主義といいます。
インターネットで調べたところグノーシス主義は
1世紀に生まれ、3~4世紀にかけて地中海世界で
勢力を持った古代の宗教・思想の一つだそうですが、
イランやメソポタミアに本拠を置くものや、
ヘレニズムの中から生まれてきたものもあるといいます。
トリツメギストスのような人々が、ポイマンドレースの
ような存在に出会うことで、新しい教えを広めると同時に、
創造的想像力による新しい文化の創造が始まり、
教えが文章として残り、現代にまで伝えられているのでしょう。
№1285につづく
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第3章 光とともに №1283

2015-08-14 21:02:30 | Weblog
  教えを説くトリツメギストス
ヘルメス文書の中の『ポイマンドレース』の続きです。
『もはや見えぬ彼に感謝の意を示した。
そして万物の父を祝福すると立ち上がり、神的な力を得て、
自然についてを教示され、すべてを見渡す偉大な光景をみた。
そして私は、敬虔と知識のうつくしさすばらしさ
を、ひとびとに伝導しはじめることになった。
「地より生まれし民よひとよ。
酩酊し、眠りをむさぼり、神をしらず。
自己を見失うものたちよ。
覚醒せよそして過剰を止めよ。
汝らは、獣のごとくに、道理なき
ねむりに呼び誘われている。」
すると私の話を聞くものは、ひとつの
心のもとに進んでやってきた。
そこで私はさらに話を続けた。
「なぜに、ああ汝ら、地より生まれた
人の子たちよ、なぜに死にあまんじるのか。
汝らには不滅の性が、その力が、
いくらかは残されているというのに。
もういちどよく考えるのだ(悔い改めよ)、
そして叡智を呼び覚ませ(考えを変えろ)。
汝らはこぞって誤りの道程を歩んでいる。
無知ゆえに闇の淵にたっている。
暗黒のともしびから離れよ、不滅の路を歩むべし。
腐敗を捨て去るべし。」
私の話を聞いてある者たちは、あざけりわらいながら
去って行き、死への道程にみずからを委ねた。
一方では、私の足下に身をなげだし、教えを請う者たちもあった。
私はそういう者たちを立ち上がらせ、種の指針たるべく彼らに教えた。
なぜに、いかにして、救済のもたらされるかを。
私は智慧の言葉を蒔いた。
不死をもたらす「アンプロシアの水」で育んだ。
太陽のかがやきが彼方に沈み、夕暮れが訪れると、
私は人々に、神への感謝をするように言った。
人々は感謝のつとめを終えると、皆は家路についた。』
トリツメギストスは、教えを説き、智慧の言葉を蒔いてまわりました。
すると、教えに興味を持ったり、感銘を受けたり、
教えを請う者たちによって、その教えは
さらに広がっていくことになります。
するとその教えを実行しようとする人たちも現れたことでしょう。
どのような古い時代であっても、自己の本質を
知りたいと思う人がいたと思います。
いつの時代にもこのような人々がいるということは、
人間は本質的に自己を知りたいという欲求を持っていると考えられます。
誰もが本当の自分を知りたい、魂からのメッセージを
受け取り、真実に基づいた生き方をしたいと思うものです。
私たちの心は常に動き続ける川の流れのように、
五官から入る感覚や、周囲からの様々な心理的
影響などを受けて動き続け変化し続けています。
この変化し続けている川の奥底にある、
変化しない不動の岩が、私たちの魂と例えることができます。
そして、この川底の岩に書いてある光り輝く文字を読もうと
すれば、川の水は澄みわたり、穏やかな流れでなければなりません。
川の流れが穏やかで澄みわたっていることで、
川底にある岩に書かれた文字を読み取り、魂のメッセージを
受け取ることができて、自己の本質を
認識(グノーシス)することができます。
№1284につづく
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第3章 光とともに №1282

2015-08-12 20:51:58 | Weblog
  ポイマンドレースからトリツメギストスへのメッセージ
以前、トリツメギストスが「すべての人間が叡智をもっている
わけではないのですか?」(№1220)と問いかけたとき、
ポイマンドレースは「我、叡智は、聖なる者、善き者、
清き者、慈しみある者、すなわち慎重かつ敬虔な者たちの
もとにきたる。わたしのおとずれは、そうしたものたちの
助けとなる。」と答えていました。
この「聖なる者、善き者、清き者、慈しみある者、すなわち
慎重かつ敬虔な者たち」というのは、人生経験が豊富で、
理解力も高く、知性豊かであり、世間の道理も理解していて、
身の程をわきまえていて、万事に注意深い謙虚な人であり、
さらに正確で迅速な判断を下すことができながら、
人々への理解と愛情も深く思いやりを持つ人でした。
このような人々のもとにポイマンドレースは
訪れて、彼らの助けとなるといいます。
そして、「存在の本質を知り、神を認識したい」という求道の
思いを持ち、「自らが、みずからを力へとゆだねる」ことのできた
トリツメギストスのもとに現れて、彼を助け、教えを授けました。
このような「自らが、みずからを力へとゆだねる」状態を神智学的に
考えてみると、「自ら」というエゴあるいはパーソナリティが、
自分の力だけを使うのではなく、「みずからを力へとゆだねる」
状態になることで、魂のレベルで働くことになるのだと思います。
エゴ、あるいはパーソナリティという小さな自我よりも、
さらに大きな力を持つ魂の力によって働くことで、魂は
さらにモナドへとつながっていますから、アンターカラナの
建設(№1278)がおこなわれることになると思います。
人間は本質的に神ですが、理解できない
人々にとって、これは机上の理論かもしれません。
ですが、アンターカラナの建設がうまくいっている人々に
とって、自分を肉体的、情緒的な存在よりも、
高位のものとして死後にも永続する不変の魂が存在し、
さらに魂の上には神の領域があると感じます。
トリツメギストスも「存在の本質を知り、神を認識したい」
という求道の精神で、ひたすら瞑想することで、
ポイマンドレースに出会ったのだと思います。
こうしてポイマンドレースから、真の知識を授けられた
トリツメギストスは『これが神格化されるべく知をもつ
者たちの究極である』と呼ばれる状態にまで至ることができたのだと思います。
ポイマンドレースは『すべての人間種のなんたるかを識った』
のだから、『価値あるものたちの求道の統率者』となるように言います。
『すべての人間種のなんたるか』を知りたいと願っていることを、
ポイマンドレースは「求道」と呼び、このような「求道」の
意志を持つ価値ある人々を導く指導者にトリツメギストスが
なることで、『ひとの種族、人類が、神によって
救われるために』活動をするようにと言います。
そして『ポイマンドレースは私にこう言うと、
力と混ざり合った』ため、姿が見えなくなりました。
№1283につづく


ひとりごと
暑いです。
蒸し暑いです。。。
夏ですからねぇ。。。
コメント
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