ナンバー1887 2020.08.30 太陽表面の磁場
太陽の表面には強い磁場がありますが、この磁場がどのようなメカニズムで生成されているのかは、ほとんどわかっていません。
太陽の磁場は太陽フレアや地磁気かく乱を引き起こすなど、地球に住む私たちの日常にも大きな影響を与えていますから、天文学の重要な研究テーマの一つになっています。
2006年9月に日本が打ち上げた太陽観測衛星「ひので」は、優れたセンサーを搭載していて、太陽の活動を解明する手がかりを教えてくれます。
この「ひので」によって、太陽の表面の粒状斑の下に、丸く円を描く磁場のパターンがあることがわかりました。
その磁場のパターンの様子はこちらから見ることができます。https://hinode.nao.ac.jp/news/results/post-9/
「ひので」のサイトの解説によると、この円形状の磁場は、黒点を引き起こす磁場とは違うメカニズムだといいます。
非常に微細で黒点の30分の1から、100分の1の大きさであり、一般的な黒点の寿命が6日から2カ月程度なのに対して、平均4分の寿命であるため「短寿命水平磁場」と名付けられました。
黒点は、太陽の内部から外部に伸びる垂直な磁場の断面に対応していますが、この「短寿命水平磁場」は磁場の方向が太陽の表面に対して水平方向を向いています。
また黒点は太陽の中緯度から赤道付近にしか存在しません。
ところが「短寿命水平磁場」は、太陽の表面全体をおおいつくすように大量に磁場が存在しているといいます。
太陽が電気で輝いていると考えれば、この磁場は水素プラズマに流れる電流による回転磁場だと三浦一則氏は言います。
太陽の両極から星間物質が流入して、赤道部から太陽風として出ていきます。
電流も両極から赤道部に向かって表面を流れます。
磁場は極と赤道のあいだに流れる電流がつくり出していると考えられます。
また太陽の表面をおおう水素プラズマは、プラスの電荷を持ちます。
その内部にはプラス同士の反発が働いているはずです。
太陽の内部に発生している電気的反発力が内側から水素プラズマを支えていると予想できます。
表面を流れる電流による回転磁場が外側から内側に水素プラズマを押さえつけているのです。
電気的反発と回転磁場は、非常に対称性の良い力ですから、太陽はきわめて正確な真球を維持することができます。
実は太陽は自然界で最も真球に近い形状をしています。
太陽を直径1メートルの球とすると、全体の誤差は髪の毛1本分もないといいます。
太陽の自転周期が赤道部で27日という速度を持っているにもかかわらず、遠心力によって赤道部がふくらんでいないのは、動的な電磁気力で太陽が維持されているからだと考えられます。
ナンバー1888 2020.09.04 につづくでしょう
太陽の表面には強い磁場がありますが、この磁場がどのようなメカニズムで生成されているのかは、ほとんどわかっていません。
太陽の磁場は太陽フレアや地磁気かく乱を引き起こすなど、地球に住む私たちの日常にも大きな影響を与えていますから、天文学の重要な研究テーマの一つになっています。
2006年9月に日本が打ち上げた太陽観測衛星「ひので」は、優れたセンサーを搭載していて、太陽の活動を解明する手がかりを教えてくれます。
この「ひので」によって、太陽の表面の粒状斑の下に、丸く円を描く磁場のパターンがあることがわかりました。
その磁場のパターンの様子はこちらから見ることができます。https://hinode.nao.ac.jp/news/results/post-9/
「ひので」のサイトの解説によると、この円形状の磁場は、黒点を引き起こす磁場とは違うメカニズムだといいます。
非常に微細で黒点の30分の1から、100分の1の大きさであり、一般的な黒点の寿命が6日から2カ月程度なのに対して、平均4分の寿命であるため「短寿命水平磁場」と名付けられました。
黒点は、太陽の内部から外部に伸びる垂直な磁場の断面に対応していますが、この「短寿命水平磁場」は磁場の方向が太陽の表面に対して水平方向を向いています。
また黒点は太陽の中緯度から赤道付近にしか存在しません。
ところが「短寿命水平磁場」は、太陽の表面全体をおおいつくすように大量に磁場が存在しているといいます。
太陽が電気で輝いていると考えれば、この磁場は水素プラズマに流れる電流による回転磁場だと三浦一則氏は言います。
太陽の両極から星間物質が流入して、赤道部から太陽風として出ていきます。
電流も両極から赤道部に向かって表面を流れます。
磁場は極と赤道のあいだに流れる電流がつくり出していると考えられます。
また太陽の表面をおおう水素プラズマは、プラスの電荷を持ちます。
その内部にはプラス同士の反発が働いているはずです。
太陽の内部に発生している電気的反発力が内側から水素プラズマを支えていると予想できます。
表面を流れる電流による回転磁場が外側から内側に水素プラズマを押さえつけているのです。
電気的反発と回転磁場は、非常に対称性の良い力ですから、太陽はきわめて正確な真球を維持することができます。
実は太陽は自然界で最も真球に近い形状をしています。
太陽を直径1メートルの球とすると、全体の誤差は髪の毛1本分もないといいます。
太陽の自転周期が赤道部で27日という速度を持っているにもかかわらず、遠心力によって赤道部がふくらんでいないのは、動的な電磁気力で太陽が維持されているからだと考えられます。
ナンバー1888 2020.09.04 につづくでしょう