心と体を通して見えてきたもの

個人的な生まれ変わりの体験談。心とは?カルマとは?人間の本質や使命とは?
といったことを考えてます。

第3章 光とともに ナンバー1449

2016-07-30 21:12:19 | Weblog
  ヤングの干渉実験
ヤングは一つの光源から出た光を、板に開けた二つの短冊形の
穴(スリット)という障害物を通り抜けさせて、さらに
その先のスクリーンまで届ける実験を行ないました。
光源から出た光が障害物のスリットを通り抜けてスクリーンの上に
届くと、明暗のある縞模様(干渉縞)をつくり出しました。
水面の波や音の波は複数の波が重なると、高い波の時は強め合い、
高い波と低い波の時は打ち消し合うのと同じように、この実験によって
現れた干渉は、光を波と考えれば説明できることになります。
障害物のスリットとスクリーンの距離と干渉の縞模様の間隔などから、
光の波長の数値を求めることに成功しました。
フランスのフレネル(1788~1827)は波動説から光の直進性を
説明して、回折現象の数学的な一般理論を展開しました。
また特殊な場合について計算をおこない、実験と合う結果が得られることを示しました。
こうして光の粒子説は少しずつ衰えていきます。
光の振動方向が偏る偏光という現象を発見したのはホイヘンスでしたが、
1807年に光の粒子説を認めていたマリュス(1775~1812)は、方解石という
透明の石を1本の直線を引いた紙の上に置いて、方解石を通して直線を見ると、
1本のはずの直線が2本に見える複屈折という現象を説明します。
方解石はつぶれたマッチ箱のような形に割れやすいという性質を持ちますが、
この方解石に入る光の粒が完全な球形ではなく方向を持つため、異なった
方向を持つ2つの光粒子が異なった屈折をするためだといいます。
マリュスはこのような光粒子が持つ特性を、光の偏り、偏光と名づけました。
マリュスは偏光の理由を粒子説によって説明しました。
これに対してフレネルはヤングに相談して、光の波は強く張った弦の
振動のようなものではないか、という光の横波説を提唱します。
横波であれば、弦を上下に弾けば上下に振動しますし、左右に弾けば左右に振動します。
光が複数の方向の混合波と考えれば、方解石の結晶構造にそくした光線は通常に進み、
ずれた異常な光線は屈折するために、複屈折が生まれる理由を説明できます。
弾性体の内部には縦波と横波が存在することが、当時すでに知られていましたので、
フレネルは光とは弾性個体エーテル内部の横波に違いないと結論づけました。
光が横波であると考えれば、波の振動の向きによって偏光を
考えることができて、複屈折を説明できると指摘しました。
さらに回折について様々な実験を行うことで、これまで知られていた光に関するさまざまな
現象の正当化に成功し、ニュートンの粒子説を否定して、光の波動説を確実なものにします。
№1450 につづく


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第3章 光とともに ナンバー1448

2016-07-28 20:51:41 | Weblog
  ヤングの波動説
イギリスのトーマス・ヤング(1773~1829)は医学を学び、乱視と
目の構造に注目したことから光学を研究し、波動説を主張しました。
ロバート・フック(ナンバー1441)は『微小物体学』に
『起源の違う二つの波動が、その方向を完全にあるいはほぼ完全に
一致させたときは、その二つを合わせた効果は、そのおのおのの波動に
固有の運動を組み合わせたものにほかならない』として干渉の法則を示唆しました。
これと同じものに、ヤングも独自にたどり着きます。
そしてヤングは音の現象に興味を持ち、音波と光が類似している
ことから、干渉の法則を音と光に徹底的に適応しました。
1802年に『色と光の理論について』という論文で、エーテル媒体説、色は波長によることを
仮定して、干渉、回折について述べて、回折をエーテルの密度から説明します。
また1807年『自然哲学講義』を著します。
この書物には、王立協会の外事書記であった彼がおこなった講演のすべてを収録しています。
講演の内容は「エネルギー」(ギリシャ語の活動、エネルゲイアが語源)を
物体の質量に速度の2乗を乗じた積(F=mv2)として初めて用いたこと、
ホイヘンスの学説に賛成して光の波動理論をつくり上げたこと、ヤングの干渉実験、
電気に関する二つの講演が入っていて、彼の主要な研究の経過と成果といえます。
彼は波動説で、光を伝える媒質のエーテルは絶対静止の宇宙空間に
静止していると考えれば、光が粒子であるなら各粒子の速度が異なるは
ずですが、現実には光の速度は媒質が同じなら一定であるといいます。
光が波であれば音波と同様光の波の速度も一定だとしても何も不思議はなく、
光行差の現象もうまく説明できる、光は縦波だろう、として粒子説を否定しました。
波動説で光行差の現象を説明するには、光を伝える媒質のエーテルは絶対静止の空間に対して
静止していて、光は絶対静止の空間に対して一定の速度で伝播すると仮定する必要があります。
音波のように、地球と共に動く媒質(空気)に対して一定の速度で伝播しません。
光行差の現象を波動説で説明するには、光を伝える媒質のエーテルは絶対静止の
空間に対して静止していて、観測に使った望遠鏡も大気も地球も、あらゆる物体を
幽霊のようにすり抜けて静止し続ける性質を持つと考える必要があります。
ヤングは1804年の論文に、光行差(ナンバー1444)について次のように書いています。
『星の光行差の現象を考察してすぐに、私は発光エーテルがあらゆる物体の
内部に、たぶん風が森を吹き抜けるのと同じように自由に、ほとんど、
あるいはまったく抵抗を受けずに浸透すると信ずる気になった。』
№1449 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1447

2016-07-26 21:13:54 | Weblog
  光とエーテルについて
ホイヘンスは光とは分子が前後に振動する縦波の波動であり、その速さは
音の速さをはるかにしのいでいるので、光を伝える媒質のエーテルは、
極度に小さく、非常に硬く、同時にきわめて弾性があると言っていました。
また空気の無いガラスなどの内部でも容易に光は伝播しますから、光を伝播する
微粒子はどのような物質の内部にも容易に浸透しているはずだと言います。
真空には、空気とは異なる物質としてエーテルがあり、このエーテルは
重さを持たないため重力の法則には従わない微分子で、無限の宇宙空間と、
物質微分子の内部空間にも充満しているとホイヘンスは考えます。
エーテルが存在するところに光も存在すると考えれば、光は宇宙空間と空気の中、
そしてあらゆる物質の中にも存在していて、重力の法則には従わないことになります。
オイラーは、エーテルとは空気のような流動体で、惑星などの星が
エーテルの中を貫通するときに、全く抵抗がないことから推測して、
空気とは比較にならないほど微細で希薄に違いないと考えました。
そしてそれは、高い天空から空気の中、さらには物質の内部にまで、
あらゆる空間に拡がっているだろうと言いました。
また太陽から来る光は、物質的なものが飛来してくる
のではなく、エーテルの振動によるものだと説きます。
音の高低が弦の長さに比例しているように、光の色もエーテルの振動数で決まると考えます。
ある振動数の波が私たちの目に達した時、その振動数に当たる色として感じると言いました。
こうして、光を伝える媒質のエーテルについての特徴が、様々に考えられてきました。
エーテルは空気よりも極度に微細な物質で弾性の性質を持つ固体と考えられますが、
その媒質の密度とか弾性係数というような力学的な性質によって特徴づけられます。
そのため光の状態を観察し、研究することで推察するほかありませんから、
ある点ではエーテルという物質の力学的性質を研究することになります。
ところが、この研究は大きな壁にぶつかりました。
その一つは、偏光の問題で、このことから光は横波でなければ
なりませんが、空気のような気体の中を通過する弾性の波は縦波です。
横波を与えるためには、固体の場合に出てくる他の弾性係数である剛性率を
導入しなければなりませんが、そのようにしても光の速さの値が極めて
大きいことからすれば、密度は小さく剛性率は非常に大きくなければなりません。
このことは、媒質のエーテルが極めて固い個体のようなものだということを意味しています。
ところが密度は極めて小さいですから力学的には極めて想定しにくいのです。
またこのように硬いエーテルの中を天体はどのように運行しているのでしょうか?
№1448 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1446

2016-07-24 20:55:09 | Weblog
  エネルギーとエーテル
神智学の教えによれば、この世界にあるものはすべてエネルギーであり、
エネルギーとフォースしかし存在しない、起こっている出来事のすべては
エネルギーが存在する証拠であり、フォースの表現されたものだといいます。
そしてエネルギーとフォースは、私たちの太陽系と私たちの惑星生命に力強く周期的に
流れ込んでいますから、人間はあらゆるタイプと特質のフォースの渦の中で活動しています。
言葉を換えれば、あらゆる物体の中と周囲にエネルギーがあり、
このエネルギーによってあらゆるものが活動しています。
ということは、このエネルギーは生命、あるいは霊とも呼べるものであり、
この世に現れているすべての原因であり、すべての活動の根源と
いえますから、活力エネルギーと呼んでもいいかもしれません。
このエネルギーがすべての活動の原因であり、あらゆるものに
存在していて、このエネルギーが存在することで、慣性の法則に従って
永久的に活動できることから累積エネルギーと呼ぶ人もあるようです。
この世界には固体、液体、気体といった様々な形の物質がありますが、どのような形の
ものであっても、最小単位の原子があり、この原子は常に運動をしています。
この原子は空気中にも、地中にも、真空の中であっても存在していて活動もして
いますから、あらゆるすべての場所にエネルギーが存在していることになります。
これらのエネルギーはすべて、それぞれが独自の速さで振動しています。
私たちの周囲には常に、独自の速さで振動するいくつものエネルギーが
流れていますし、私たち自身も独自の速さで振動するいくつもの
エネルギーが凝固してできた肉体を持つことで存在しています。
光が電気と磁気によってできていることをマクスウェルが発見しています。
これまでの科学者たちの研究から、電気と磁気はよく似た性質を持つことが
わかっていますから、電気と磁気をつくり出しているものは、同じものだと思われます。
そしてこの光の媒質と考えられるエーテルは、常に一定の速度で光を
伝播させていますから、運動のエネルギーと深い関係を持つと考えられます。
またエーテルも精妙な気体という物質ですから、一定のリズムで振動していると考えられます。
このエーテルが常に光を一定の速度で安定して伝播する
ためには、抵抗が全くないものである必要があります。
ニュートンは『空気を排出して真空の空間を作ったとしても、そこに
空気より微小な媒質が残存し、その媒質の振動により熱が伝えられる
のではあるまいか?』と言っていましたが、空気よりも微小な媒質は、
空気や熱などを含めた最も小さな原子を伝えることができる全く
抵抗のない超微粒子であり、それはエーテルだと思われます。
№1447 につづく

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第3章 光とともに ナンバー1445

2016-07-22 21:44:48 | Weblog
  絶対空間のエーテルと累積エネルギー
17~18世紀ごろはエーテルに関して不可量流体という重さがない粒子があり、
これはエーテル微分子の振動によるのではないか、とも考えられていて、
たとえば摩擦熱はカロリック(熱素)という元素によるものだとされていました。
しかし、不可量流体という考え方を批判する人たちもいました。
ベンジャミン・トンプソン(ラムフォード伯爵)がミュンヘンで行政官をしていた時、
彼は軍事工場で大砲の製作を監督する機会があり、大砲の砲身をえぐる場面に遭遇しました。
彼は砲身をえぐる作業のあいだずっと大量に発生し続ける摩擦熱について、実験を繰り返し行い、
砲身をえぐる回転機が動いているあいだは摩擦熱がほぼ無限に生まれることから、カロリック(熱素)
という物的実体はない、回転機の運動が大砲の砲身の熱源であると主張しました。
そして、熱素の不可量流体説を否定して、熱の根源は
えぐられる砲身の微粒子の運動であると結論しました。
分子運動論からは、気体分子の温度を下げていくと、圧力を一定に
保ったとき、その体積が温度に比例して小さくなることがわかりました。
そして理想気体というものを想定した場合には、温度を下げていったとき、
体積がゼロになる絶対ゼロ度の存在が認められるようになりました。
こうして分子の運動と温度の関係式がボルツマンの法則として証明されました。
完全に抵抗がないところで物体を動かすと、物体は同じ速度で動き続け永久に止まりません。
その典型的なものとして地球や火星などの天体があり、これはニュートンの慣性の法則です。
この世界のあらゆる物体は、力を加えれば運動します。
なぜ運動を続ける物体は、外部から何らかの力が作用を受けず、
抵抗が全くなければ、同じ運動を続けるのでしょうか?
それはどのような物体も、内部に累積エネルギーを持つからだ、という人がいます。
現代科学はまだまだ完成されていませんから、様々な意見を持つ人たちがいます。
私もその一人ですが、累積エネルギーというものがあるという人のホームページの
説によれば、この世界にあるすべての物体は、累積エネルギーを持ち、
このエネルギーが変化しない限り、物体は同じ運動をおこない続けるといいます。
また慣性の法則に従って等速直線運動を続けるためには、
そこには抵抗が全くなく、絶対静止の空間が必要になります。
そして、累積エネルギーは、絶対空間に対して絶対的な量であるといいます。
そして累積エネルギーは、外部から何らかの力またはエネルギーが加わらない限り変化しません。
累積エネルギーがゼロの時は、絶対静止を意味します。
また累積エネルギーは、方向と大きさを持ち、保存則が成立するといいます。
累積エネルギーには、こうした特性がありますから、光も累積エネルギーを持つ物体の一つになります。
光は絶対に止まることなく常に光速度で運動し続けていますから、そのための全く
抵抗のない絶対静止の空間が存在しているはずであり、この空間がエーテルといえます。
№1446 につづく

おまけつき
光について書きたくて、調べ物をいろいろとしていると
光の正体・正しい自然科学というホームページに
累積エネルギーについて、書いてありました。
興味深いので、書いてしまいました。
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第3章 光とともに ナンバー1444

2016-07-20 21:12:34 | Weblog
  エーテルについて考える、不可量流体
1728年にジェームズ・ブラッドリー(1693~1762)は、自転と公転をしている
地球からは、季節によって恒星から来る光を観測すると、光の方向は実際に恒星が
ある方向とは位置がずれて見える年周視差の測定を試みていましたが、失敗しました。
ですがこのとき、地球の運動による恒星の見かけ上の位置のずれ、すなわち光行差を発見しました。
ブラッドリーはこれをニュートンの理論に沿って解釈しました。
すると、光の微粒子が飛んでくる見かけ上の方向は、地球の運動の向きと速さに
依存すると考えることで、測定結果を合理的に説明できることがわかりましたし、
さらに、地球の運動の速度と光行差から光の速度を知ることができました。
これはまっすぐ下に落ちる雨粒が、高速で移動する電車から見ると斜めに
降っているように見える、という現象が起こるのと同じ解釈です。
一方で、光りがエーテルの振動であると考える場合には、光行差を説明することは困難でした。
地球がエーテルの中を運動しているにもかかわらず、地球のまわりのエーテルはかき乱される
ことなく静止している、つまり地球とエーテルはほとんど相互作用をしないことになります。
ニュートンはこの考えを受け入れませんでした。
ニュートンの時代に、何人かの科学者たちが光の波動説を主張していましたが、ニュートンの威光を
背景にしてニュートンの粒子説は、揺らぐことなく100年以上にわたり支配的な地位を維持しました。
この時期に、エーテルに関しては、重さを持たない粒子
という新たな概念が生まれ、これは不可量流体と呼ばれました。
その当時知られていた光、熱、燃焼、電気、磁気などの様々な自然現象を物理的に
もっともらしく説明をするには、このような仮説が必要だという考えから生まれたものでした。
たとえば電気と磁気については二つの流体、燃焼にはフロジストン(燃素)の流体、
熱流体にはカロリック(熱素)というように複数のエーテル流体が考えられていました。
なかにはこれらの流体を複合して説明する科学者も現れました。
しかしどの理論もエーテルの存在を実証することができないため、エーテルの
成分を確かめようと化学的な分析について考えたり、論理的に考えを組み立てたり
することで議論するといった思弁的な枠を越えることはできない状態でした。
ラプラス(1749~1827)は、こうした状態から抜け出すためには、粒子同士のあいだの力と
複数の不可量流体との関係を統一化して、数学的に明確化する必要があると考えました。
彼がこのような大きな目標を掲げても、当時の実験や観測の技術は
精密ではありませんでしたから、統一は難しい状況でした。
№1445 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1443

2016-07-18 20:55:13 | Weblog
  エーテル、ニュートンの考え
同心円の干渉縞の屈折を説明するためにニュートンは『光学』(1704年)の中で
『「エーテル様の媒質(aethereal medium)」が光よりも「速い」
振動を伝えており、追いこされた光は「反射の発作」や「透過の発作」の
状態になり、結果として屈折や回折が生じる』と述べました。
屈折面を通過した光の粒子は過渡的な状態になり、「反射の発作」の
状態と「透過の発作」の状態を一定の間隔で移ると考えます。
そして次の屈折面を通過する際に、その粒子が「反射の発作」の状態で
あれば反射され、「透過の発作」の状態にあれば透過すると考えます。
ニュートンはこのエーテルのような媒質の振動は、真空中でも熱が
伝わる熱放射という事実に関係があると考えて、次のように述べています。
『空気を排出して真空の空間を作ったとしても、そこに空気より微小な
媒質が残存し、その媒質の振動により熱が伝えられるのではあるまいか?
そして、その媒質は光をして屈折または反射せしめる媒質と
同一であり、その振動によって光は物体間の熱輸送を行い、さらに、
その振動によって光は反射や透過の発作に至るのではあるまいか?』
ニュートンはこれらの発作の仕組みについては説明しませんでしたが、
これは現在の光の波の位置のそろい方である位相の概念に相当するといいます。
ホイヘンスは、光はエーテルの中を伝播する縦波だという仮説をしていました。
ニュートンは、もし光が縦波であれば、その進行方向以外に特別な
方向を持つことができないため、偏光のような現象は考えられない、
したがって変更の向きによって屈折の具合が変わる複屈折などの現象を
説明することができないと考えて、ホイヘンスの考えを否定しました。
ニュートンは光は球形の粒子ではなく、その「側面」の
向きの違いによって複屈折が起こると考えました。
またもしエーテルが空間に充満していて、エーテル同士が相互作用する
ことで光が伝わるのであれば、エーテルが巨大な惑星や彗星などの
物体に影響を与えないと考えることは困難であると考えました。
しかし現実には、そのような影響は観測されていません
でしたから、エーテルは存在しないと考えました。
ニュートン自身は光の放射説と粒子説を主張しましたが、
遠隔作用については最後まで懐疑的な姿勢でした。
デカルト派の人たちは近接作用を説きましたが、ニュートン派と
よばれるニュートンの信奉者たちは遠隔作用を擁護してその
正当性を主張したため、当時の思想の主流となりました。
№ 1444 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1442

2016-07-16 20:55:01 | Weblog
  近世のエーテル理論、ホイヘンスとニュートン
1675年に木星の衛星(レオ)が、木星を一周するとき、太陽と木星と衛星が
一直線になって、衛星が見えなくなる現象に入る食の時期が、地球の公転の位置により
木星と地球の距離が遠く離れているほど遅くなることを、オーラフ・レーメルが観測しました。
オーラフ・レーメルは、これは音と同じように、光りにも速さがあるに違いないと
推察して計算したところ、光の速さは音の速さの約60万倍という結果がそのとき出ました。
そこからホイヘンス(1629~1695)は、光も音と同様に速度があると確信して、この光の速度が
非常に速いことから考えて、エーテル媒質の硬さと弾力が極めて大きいという結論を導きました。
また音を伝播する媒質は空気であることから、空気を
取り除くと音は伝播しなくなりますが、光りは伝播します。
そのため真空と呼ばれる空間には、空気とは異なる物質が存在するとしか考えられない、
それはエーテルであり、このエーテルは、無限の宇宙空間と、物質微分子の内部の
空間にも充満していて、重さを持たないため重力の法則には従わないと結論しました。
光は波動であるというホイヘンスに対して、ニュートンは光の実体は多数の微粒子だと考えました。
これは光が直進することや、物体の表面で反射されるという事実に基づいた仮定です。
しかし光が粒子であると仮定すると、屈折や回折を説明することが難しくなるという問題があります。
半径の大きい球面レンズの凸面を下にして、平らなガラスの上に置いて一定の
波長の光を上から当てると、凸面ガラスと平面ガラスの接触点を中心とした
明暗の同心円形状の干渉縞ができることを、ロバート・フックが発見しています。
この同心円形状の干渉縞の色は内側が暗くて、外に行くほど明るい色になりますし、
同心円の面積は内側が広く、外側に行くほど狭くなります。
ニュートンはこの現象の詳細な分析を行なった結果、その明暗が凸面ガラスと
平面ガラスのすき間の間隔によって周期的に決まることを見つけています。
一般に反射した光は一定の距離を進むごとに、次の面を透過する性質と反射する性質とを
交互に持つようになると考え、ガラス面で反射した光が空気層の厚さによって再び
レンズを通過したり通過しなかったりすると考えて、この現象を説明しました。
このようにニュートンが、この同心円形状の干渉縞を詳しく分析したので、
ニュートンリング(ニュートン環)と呼ばれています。
しかし彼は光を粒子と考えていたため、この奇妙な現象の説明に非常に
苦労して、透過あるいは反射のしやすさの「発作」と呼ぶ仮説を考えました。
№1443 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1441

2016-07-14 20:50:30 | Weblog
  近世のエーテル理論、フックとホイヘンス
17世紀のイギリスでニュートンのライバルだったロバート・フックは、
デカルトの言う微細物質を認めましたが、すべての物質は熱を持ち、
絶対に熱のない寒冷物質は見いだせないことから、デカルトの渦運動に
代わって、この微細物質は常に振動しているはずだという
振動運動を提唱し、この微細物質をエーテルと呼ぶようになります。
フックの振動運動をさらにホイヘンスが推し進めます。
当時すでに音は空気の密度が高い部分と低い部分が互い違いに
生まれながら伝わって行く、縦波であることは知られていました。
ホイヘンスはこの音波と類推して、光はエーテルの中を前後に
振動して伝播する縦波である、という説を提唱しました。
そしてホイヘンスの原理として、素元波、球面波という新しい
概念を用いることで、光の反射、屈折を正しく説明しています。
また右上から差した光と左上から差した光を交錯したとき、互いに全く
妨げ合うことがない事実から、もし光が微粒子だった場合は、互いに衝突して
このような現象は起こらないとして、光の粒子説を否定して、波動説を主張します。
しかしニュートンは虹などの色の説明や、色の種類により屈折の角度が
異なることを、波動説では説明できないとして否定します。
音や水面などの波は障害物があっても、その後ろに回り込む回折が
できますが、光りは直進して回折がないとして、粒子説を主張します。
その後1665年にグリマルデイが、光が障害物の後ろ側の
影の部分にわずかな縞模様の明るみが生まれるのを発見します。
するとホイヘンスは、それを根拠に光が波であることを正当化していきます。
さらにホイヘンスはエーテルに関する性質として、この微細な分子は
極度に小さく、非常に硬く、同時にきわめて弾性的であると言います。
その理由として、音波の場合は中間に空気や物質がないと伝播できません。
それと同様、ガラスなどの物質の内部でも光は伝播することから考えて、この光を
伝播する微分子は、どのような物質の内部にも容易に浸透しているはずだと言います。
また鋼やガラスで作った同じ形の球を複数個、接触させて直線に並べた列の端に、
同一の球を片側から直線に沿ってある速さで衝突させたとき、衝突させた側と
反対側にある一番端の球だけが同じ速さで離れて行きます。
このときの衝突力が、反対側の端にある球に伝達されるまでの時間は、
その鋼の硬さが大きく、弾力性に富んでいるほど短時間です。
ということは、より硬く、より弾力的であるほど伝達速度が速くなります。
№1442 につづく
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第3章 光とともに ナンバー1440

2016-07-12 20:42:21 | Weblog
  古代からあるエーテル理論
ファラデーやマクスウェルの時代までは、エーテルが存在していることを前提にしていました。
このエーテルの理論は古代ギリシャの時代からありました。
タレスの弟子であったアナクシマンドロス(前600年頃)は、
万物のもとのもの(アルケー)がそこから生成し、そこへと
消滅する形を持たない無限定なるもの(アペイロン)と呼んでいます。
デモクリトスは宇宙には最小の単位の微分子(原子)が存在し、この原子が
運動するには空虚な空間が必要なので、この宇宙は原子と空虚な空間の
2つの要素からなっていて、同じ資格を有しているといいました。
アリストテレスは空気、火、水、土の四元素と、第五の元素としてアペイロンに
似ているアイテールが存在し、宇宙はアイテールで満たされているといいました。
アリストテレスは元素にはそれぞれ固有の性質があるとして、アイテールは天上にあって
天体の動きに見られるように、変形せずに永遠に回転し続ける性質を持つとしました。
このアイテールが近世におけるエーテルへと進展したという説があります。
近世になってデカルト(1650年頃)がエーテルについて
論じたことから、いろいろなエーテル論が出てきます。
デカルトは、宇宙は感覚で捉えられない微細な物質が充満していて、各天体のまわりには
渦の動きがあり、天体は渦に乗って動いているという「渦動仮説」を提唱します。
この宇宙に充満している微細な物質は宇宙のどこにでも満たされていて、
これによって力が伝達されるという近接作用を説きます。
地球の表面のものが落下するのは、この微細物質が地球のまわりを
渦回転しているからだ、そして光はこの物質を媒介として伝播していて、
微細物質は無限に分割され、引力も重力も持たず、すべての運動は
微細物質の衝突作用によるものだ、という機械論を展開します。
この機械論によると、「全宇宙における物質の量と運動の量は不変に維持される」といいます。
さらにデカルトは、物体は何の力も作用しない時は、必ず
直線運動を継続し、円運動や曲線運動は外部から求心力のような
何らかの力が作用しなければ起こらない現象だとして、運動に
関しては直線運動が第一であり、円運動は第二であるともいいます。
デカルトと同じ時代のガサンデイは、機械論的な思想はデカルトと
同じでも、無限分割は認めず最小単位の原子があるとして、
「物質が静止の状態に移るときは、原子の固有の
力は失われるのではなく、抑止されるだけである。
また物質が運動し始める時も、力は生み出されるのではなく、その自由を回復するにすぎない。
したがって物体の中には、起源から存在していただけの衝動力が永続的に存在する」といいます。
№ 1441につづく

ひとりごと 
あちいです、
なんでこんなに、
あちいんでしょう?
熱射病に気をつけてね。
私は暑さに負けて、何もしたくない気分なので
ブログも、遅々として進んでいない気がしてます。
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