真空から光を完全に取り除いたとしても、真空には「ゼロ点振動」と呼ばれる特殊な光が残っていて、そこにはごくわずかなゆらぎがあります。
この真空のゆらぎがごくわずかでもあるということは、そこには光のエネルギーがあることになります。
この真空のエネルギーが存在することが実験によって確かめられていると、雑誌「ニュートン」2016年11月号にあります。
少し書き出してみます。
「真空中に金属板を2枚、少しだけはなして置きます。
すると、金属板どうしがひとりでに引き寄せあうというのです。
この現象は「カシミール効果」といい、1948年にドイツの物理学者のヘンドリック・カシミールと、オランダの物理学者のダーク・ポルダーによって予言されました。
このときの力、「カシミール力」はどのようにして生じるのでしょうか。
先ほど真空には、特殊な“光”が存在すると述べましたが、金属板の間では、金属板どうしの間隔に応じて、ある限られた振動数の“光”(定常波)しか存在できなくなります。
これはバイオリンの弦が特定の振動数でのみ振動することに似ています。
このような効果の結果、金属板のあいだは、金属板の外よりも、真空のエネルギーが小さくなります。
すると、金属板は、エネルギーの大きな外側の真空に“押される”ことになるといいます。
これは金属板どうしに引力が働いたことと同じです。」
私たちが暮らしているこの空間にある様々なものをすべて取り除くと、そのベースになっている空間は光ということになります。