あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

不謹慎にもつづきが気になる。

2010-08-13 17:29:58 | 本(本についての本)

お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記) お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-12-26
書評本、読書ガイド本は元々好きですが、その中でいちばんのお気に入りが桜庭一樹氏のこの読書日記のシリーズ。

この本が私の知るかぎり最新刊ですが、その前に、『少年になり、本を買うのだ』『書店はタイムマシーン』があり、これが3冊目。

“読書日記”とあるとおり、桜庭氏の日常雑記のなかに、日々読んでいる膨大な本の話題が入ってくるのですが、2つの面で面白い。

すなわち、桜庭氏の本への愛情と読書観を楽しむ部分と、氏の日常をかいま見る部分と、です。

1冊目の『少年になり、本を買うのだ』を手に取った時は、最初は読書ガイドとして読んだのでしたが(だいたい、図書館で借りたのだが書誌学の棚にあった)読み終わったときは、ある種の青春小説を読んだみたいな気持になり、ちょっと感動したのです。

そうして2冊目は、直木賞受賞までの道のりが詳細に描かれて、これもまたドラマチック!

そうしてこの3冊目も、新たな驚きがあります。

ウェブでの連載の方もときどき見ていたので、先に知って本を手に取った時は驚きはなかったのですが、それまでなぜか伏線がない(いや、ミステリではないのだった。そのことについての記述がない)ので、本を読んで知る方は結構びっくりするかも。

この本の締めくくりもちょっとドラマチックかつ抱腹絶倒で、つ、つづきが気になる……とつい思ってしまいます。現実の出来事なのに。

読書愛も相変わらずで、紹介されている本もつい、読みたくなる。

そうして、巻末に付録のように対談がついていますが、これもけっこう面白いです。

(ハドソンちゃん、のエピソードは意外だし笑えた)

まとめて読むほうが面白い、と私は思ってるので、ウェブは最近は見ずに、新刊が発行されるのを楽しみに待っています。

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愛に潜む罠。

2010-08-11 23:20:18 | 本(ホラー・サスペンス)

ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫) ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:1989-08
この本は半年ほど前に、ネットの古本屋さんで買いました。

昔のスティーヴン・キングの未読作品が読みたくなって。

けれど春に18歳だった猫を見送ってから、しばらくこの作品を読むのは無理かもしれない、と放置していました。

けれど最近、そろそろ大丈夫かもしれない、と手に取ってみたのです。

もちろん、やはりつらい作品でした。大切な存在を失って、なんとか帰ってきてくれないだろうか、と思う時期には、本当に身にしみて切ないです。

けれど一方で、予想したほどの迫力は無い気もしました。

もちろん、映画化作品をすでに観てしまっていて、結末がわかっている、ということもあったのですが。

前半部が饒舌すぎるように感じたのです。もちろん、この部分が細部まで書きこまれているからこそ、クライマックスのせつなさ、怖ろしさが際立つのかな、とも思ったのですが。

最終的なクライマックスシーンは、あっけなく感じました。でも、まったく物語がどこに落ち着くか分からない状態で読んだら、これで良いと思ったのかな?やはり、内容を知ってから読むのは驚きは半減しますね。反省。

それにしても、スティーヴン・キングは、人が触れてほしくないところ(あるいは見たくないものを)を赤裸々に描く作家だと思うのですが、これは愛によって人は愚かなことも、怖ろしいこともする、ということを描いているのが、刺さったままの棘のように、しばらく心にひっかかっていました。

コメント (6)
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小さきものにときめく。

2010-08-09 11:15:06 | アニメ・コミック・ゲーム
床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) 床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2000-09

前回の記事は、『借りぐらしのアリエッティ』の感想・シリアス編だったので、今回はミーハー編で。

劇場には母と観に行きました。

母はもともとジブリのアニメが好きで、近所の仲の良い奥さんと、『千と千尋の神隠し』に行ったこともあります。

でもそのときに、まだ観ていない私に、「ハクって男の子が出てきてね、綺麗な男の子。それがね……」と、止める間もなくオチまで語ってしまい、私はちと怒ったことがありました。

(母は物語のオチを語ってはいけない、ましてやミステリやサスペンスの犯人を先に言ってはいけない、ということをいまいち理解できないタイプなのです)

そのお返しをしたわけではないのですが、私は母に、事前に何も教えませんでした。

母はだから、ジブリの新作アニメ、という知識しかなく、どんな話かは全く知らずにいたそうです。

あとで言っていました。「紫蘇の穂を背負ってささっと動くものを見たとき、なんだろう、って思ったんだよ。小さい人だなんて、思いもしなかったから」

なるほど、母は作中の少年と同じ驚きを味わったんだな、羨ましいなと思ったけれど、母にしてみれば、教えてもらった方が良かったのかもしれない

ともかく、観た後、母は烏が憎たらしかったとか猫の声が気に入らないとか彼女らしいシンプル&ストレートな意見を言っていたのですが、ふたりで共通していたお気に入りポイントは、小人たちの使う道具や、ドールハウスの小物の可愛さ!

もともと、ミニチュアが私は非常に好きなのです。ミニチュアフードの本や、ドールハウスの本も持っている。小さなティーセットなんて、見ただけでキュンとする。アリエッティのお母さんの気持ちが分かります。

枕草子を少女の時に読んで、“小さきものはみなうつくし”という言葉に共感した私は、人形そのものは苦手だけれど、精巧なドールハウスは憧れのアイテムなのです。

でも、実際に観た子どもさんは、アリエッティに感情移入するから、彼女からみた様々なものの巨大さこそ、心を動かされたかもしれない。

私もそんな目で観たかったな。ちょっと残念。

でも、母に最後に、「どうだった?」と聞くと、にっこりして「面白かった!」と言っていたので、まずは満足でした。

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胸のなかの灯火

2010-08-09 00:12:34 | アニメ・コミック・ゲーム

先月のことになるが、ジブリの新作映画『借りぐらしのアリエッティ』を観てきた。

観終わって連想したのは、過去のジブリ作品、『もののけ姫』だった。

あの作品のラストを観たとき、自然の領域で生きるサンと、人間の側で生きるアシタカが“別々に暮そう”と言ったので、これが、宮崎駿氏の結論なのかな、と少し淋しく思ったのを覚えている。

人間と、自然の完全な共生は不可能なのだと。

今回の映画も、アリエッティは自然(人間が破壊するもの全般?)を象徴するものであり、人間の少年と触れ合いながら結局、その出会いが小さき人たちの生活の破壊につながってしまうのだから、やはり同じ結論なのだろうか、と思った。

(事前予告でも出てきたので書いてしまうが)少年翔は、“君たちは滅びゆく種族なんだ”と残酷な言葉をアリエッティに投げかける。

けれどすぐ謝って、“本当は死ぬのは自分の方なのだ”ともいう。

そうなのだ。翔が死に寄り添って生きているように、本当は人間も、滅びゆく種族なのだ。

故伊丹十三氏が以前対談の中で言っていた。“古代の人が作ったような芸術作品を、現代の人間は創れない。人類は進化の途上にいるのではなく、ゆるやかに退化しているのだ”と。

そんな言葉も思い出し、少しもの悲しい、寂しい映画だと思った。

けれど、何日か経って、もう一度考え直してみて、それだけではない、と思った。

最後に、翔はアリエッティに、ある言葉を言う。

それが、人間が失くしてはいけない大切なものを象徴しているのではないか、と思った。

誰かが、“サンタクロースは現代にたったひとつ生き残った魔法的存在”と言ったが、アリエッティたちもそうなのだ。人間が失くしてはいけない、大切な何か。

それは微かだけれどまだ、人間の胸の中で、小さな明るい炎のように燃えている、と思う。

余談だが、映画の中で心に残ったモチーフはもうひとつある。

ドールハウスだ。小人たちの贈り物として作られ、けれど結局、住む者のいない夢の家。

でも、ドールハウス愛好家が言っていた。“本当のドールハウスは、人形は存在しないものだ”と。

完璧すぎるその美しい家に住めるのは、追憶だけなのだ。

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あいかわらず、夏バテ中です。

2010-08-03 23:06:56 | 日記・エッセイ・コラム
ひきつづき、完全に夏バテ。
毎日、夜あまりにだるいので熱を計ると、たいてい37度台前半。
熱中症なのか、それとも夏風邪が抜けないのか、自分でも判断つかない状態。
だるくて何もする気になれず、ブログの更新もサボり気味。
そのうえ先日の日曜日は勤め先のイベントで、相当くたびれました。
もう若くないからな~
背景だけでも涼しくしようと、デコ記事にしてみました。
この恐ろしい猛暑、いったいいつやわらぐのかな……。
その日を待ちわびる今日この頃です。
コメント (5)
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