あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

かえっておいで。

2010-08-22 22:39:14 | 本(写真集・ビジュアルブック)

にゃんきっちゃん にゃんきっちゃん
価格:¥ 945(税込)
発売日:2008-05-07
何度か書きましたが、図書館に行くとたいてい子ども室もチェックします。

そうして、入口にスタンドがあって、その月のおススメ本がディスプレイされているのですが、“写真絵本”の特集だったときに、この本を見ました。

でも、立ち読みしただけで借りなかったんですよね。

まだあや(5月に逝ったうちの老猫)を見送ったばかりであり、家に持ち帰ったら母が悲しむのでは、と思って。

でもその後借りようとしても見かけないので、ちょっと残念に思っています。

独特の魅力のある猫写真を撮る、岩合光昭氏のフォト絵本。

文章は岩合日出子氏(奥様?)が書いてらして、これが写真に劣らず素敵なんです。

白猫にゃんきっちゃんの、四季それぞれの姿を写真と文章でつづったもので、とくに心に残ったのは晩秋のページです。

一度立ち読みしただけなので記憶が曖昧ですが、秋の夕暮れ時のにゃんきっちゃんの写真に、

 “にゃんきっちゃん、かぜはつめたい

  かえっておいで”

と書いてあったのがちょっとキュンとして。

ほんとうに、外に出す猫だと、寒い日や悪天候のときに帰っていないと不安になるし、完全室内買いだったあやだって、いまだ逝ってしまったのが完全に信じられず、かえっておいで、という言葉が、本当に胸にしみるんです。

あとがきに、“にゃんきっちゃんは、家族のひとりです。”とありましたが、きっと同感されるかたも多いことでしょう。

なにげない猫の日常が胸にせまる、やさしい絵本です。

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たそがれどき、かわたれどき。

2010-08-19 23:54:59 | 本(純文学・中間小説)

ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫) ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)
価格:¥ 500(税込)
発売日:2009-01-24
私は読書日記を書いているくらいですから、本を読むのはとても好きです。

でも、それで読書家だと誤解されるのですが、私は決して読書量は多くないし、読むスピードはむしろ遅いんです。

なのに欲張りで本を図書館でも借りますし、友達にも借りてしまう。

そうして、図書館のは返却期限がありますのでつい優先してしまい、友達のがなかなか読めない。

あまりにも借りっぱなしなので、最近反省して読んでる最中です。

この本は、そんな本の一冊。借りたのは映画化作品の公開時でしたが、読んだのはついこの間。(ご、ごめん……)

ブラピ主演の、不思議な映画の原作。老人で生まれて、成長するたび若返っていく男の、奇妙な人生の物語。

友達にごく短いストーリーだと聞かされていましたし、アイディアストーリーというか、コントのようなショートショートを想像していたのです。

でも読んでいて、すぐ気がつきました。これは怖ろしい物語なんだと。

人間が青春期を過ぎ、若さを失っていくのは寂しいことだと思っていました。そうしてさらに、老いて体も動かなくなり、いつしか記憶さえ曖昧になっていくのは、怖ろしいことだとも。

けれど、それをくるりと裏返し、若返っていっても、やはり残酷な結末が待っているのでした。

夜に入ってゆく時間を『誰そ彼』(たそかれ)、明け方を逆に『彼は誰』(かはたれ)と、昔の人は呼んだそうです。

夜に向かっても、朝に向かっても、結局人間は薄闇の中に消えて行くだけなのか、と思うと、怖ろしく、またもの寂しくなったのでした。

映画はまだ、観ていません。この物語は映画で、どう描かれていたのか、気になりました。

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暑さ、少しひく。

2010-08-17 23:31:46 | インポート
暑さ、少しひく。
友達3人が、温泉土産として、土地の梅酒を買ってきてくれました。

それを友達(その3人とはまた別)が焼いてくれたぐい飲みで一杯やりました。

今回は酒の肴は無し。 ぐい飲みを焼いてくれた友人に、「肴は週1回」と言われたため。

淋しいのでフードストラップ眺めたりして。

でも、暑さが少し和らぐような、嬉しい贈り物でした。

コメント (2)
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戦いのなかに生きる。

2010-08-17 00:35:51 | テレビ番組

ハンニバル  地中海世界の覇権をかけて (講談社学術文庫) ハンニバル 地中海世界の覇権をかけて (講談社学術文庫)
価格:¥ 924(税込)
発売日:2005-08-11
NHKの月曜の深夜枠、『名将の采配』を楽しみにしています。

将棋やチェスなどの戦略ゲームはまったく苦手(というか理解できない)私は、名将の発想に驚くばかりですが、それが楽しいのです。

以前友達に、「自分より明らかにIQが2、30は高い人の話を聞いたり、文章を読んだりするのが好き」と言ったことがありました。

「もちろんそういう人の頭脳の動きについていけるはずもないんだけど、こんなふうに考えたんだろうか、って必死にその思考の道筋をたどるのが楽しいの。自分の脳に、普段はかからないGがかかるのを感じるのが好き。脳内ジェットコースターって感じ。実際のジェットコースターは苦手だけど、これは好きなの」と言って引かれたのです。

(彼女の私を見る目つきはあきらかに変人《いや変態か?》を見るときのそれだった)

けど、引かれてもやっぱり好き。この番組を見るのも、その手の楽しみです。軍略の天才の、思いもかけぬ采配にはっとさせられるのが楽しい。

ことに、今夜は再放送の、名将の采配・選で、ハンニバルが再度取り上げられていてうれしかった。

もともと気になっていた歴史上の人物だし、その戦略も非常にユニークだと思ったからです。

番組内でも、“洞察力、決断力、意外性”と彼の采配を評していたように思うのですが、まさにその意外性が際立っていると思いました。一人の天才の手によって、奇跡は起こるんだ、という感じ。

そうして、上記の本の紹介文の中にもあったのですが、ハンニバルという人は、悲劇的生涯を生きた人でもあるわけです。

もともと、『名将の采配』は、いずれも戦争の話ですから、その采配の意外性に高揚したり、爽快感を味わったりするのですが、どこか、ほろ苦い後味もあります。

滅亡の道を辿るカルタゴの名将であり、自身最後は毒をあおって死にいたるハンニバルは、ことさら心に引っかかる武将なのでした。

彼の生涯の本も、手に取ってみたくなった夜でした。

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世界がひらけた。

2010-08-15 00:32:55 | 映画

もしかするとこのブログのなかでも以前触れたのかもしれませんが、私は高校生の頃、美術部と漫研を掛持ちしておりました。

そしてその高校の3年間と、専門学校の2年間は、自分でも漫画を描いたのです。

けれどそれは私にとって、最初は非常に困難なことでした。

もともと、漫研の活動紹介(新入生勧誘)には、中学からの同級生に強引に引っ張られていったのです。最初はそれほど興味がなかった。

けれど、その紹介の場で初代の部長である3年生の先輩と、2代目の部長になる2年生の先輩が掛け合い漫才、もといユニークなトークをしていたので、つい、面白そう、と思ってしまった。(まさか自分が3代目部長になるとは思わなかった)

けれどもちろん、漫研と言ってもとくに漫画を研究するわけではないわけです。日本のマンガの源流は鳥獣戯画や北斎漫画だとか、二次元的だった漫画に映画的手法をもちこんだのは手塚治虫氏の『新宝島』だとか女子高生が語りあったりするのではもちろんない。

たいていの子が、自分で漫画を描くわけです。私も描けと言われた。でも、どうしていいか分からないのです。

漫画を、描く、という視点から見たことがなかったし、コマの割り方も分からない。自然、私のコマ割りは四角いばかりの単調なもので、バストアップと呼ばれる胸から上の構図ばかり。たまに思いついたようにアップになったり、ロングになったりしますが、そこに自分なりの考えはなかった。適当にやっていただけなのです。

これではダメだということは自分で分かりました。けれど、どうすればよくなるのかは分からない。そんなとき、気まぐれで買ったのがこの本でした。

映画に学ぶビデオ術〈1 基本カメラ・ワーク編〉
価格:¥ 1,529(税込)
発売日:1991-12

役立てよう、という気持ちではありませんでした。だいたい、これはビデオの作り方の本であり、漫画の描き方の本じゃないわけですから。なんとなく、買ったのです。

でも、この本で様々な映画監督のカメラワークを見ているうちに、気づいたのです。いままで、私は漫画を、小説に挿絵がついたもののようにとらえていた。でも本当は、漫画は小説より映画に近い。コマ割りは、カメラワークなんだ!

それが分かったときは、まさに、目からうろこが落ちたような気がしました。今まで構図をどうしていいか分からなかったのが、ふいに腑に落ちたのです。

主人公の内面に迫りたいなら、カメラは下だ。けれど、突き放したいのなら、カメラは上、神の視点だ。

目の前がひらけたような気がしました。そうして、それから自分が少しづつ上達していくのが、心から嬉しかったのを覚えています。

思えば、私は上達していくその上り坂の気分が、何より好きなのでした。今、ちょっと料理に凝っていますが、それもそう。少しずつだけど、上手くなっていくのが楽しい。

そうして趣味程度ですが、今は物語を書いたりしています。かつては、同じように少しずつ上達していくのに、高揚したものでした。

でも今、ちょっと壁に突き当たっているのです。でも思えば、私は壁を破るまでは、打ち込んだことはなかった。

今、少女の頃のあの世界がひらけた幸福感を追想しつつ、壁を破りたい、と思っているところなのです。

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