すうがく博物誌 (美しい数学2+3) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:1995-01 |
私の持つ唯一の森毅氏の著作であり、また大好きな本であるからです。
私はまったく数学が苦手でして、その気配はすでに小学校高学年の時にありました。
“あ、この科目、私ついていけなくなりそう”という気持ち。
その予感は当たって、中学のときには苦手科目となり、高校になると、そりゃもう酷い事に。
もともと論理的思考に欠けているところがあり、脳の構造上ついていけない学問であったのでしょう。
けれど、では数学が嫌いだったかというと心底はそうでもなく、むしろ密かな憧れがありました。
美しい学問だと思ったのです。芸術にも通じるし、天文学にも通じる。
宇宙の均衡を支えている、繊細で洗練された学問に思えました。
そうして、森毅氏は、私の考える数学者にぴったりな人でした。
もちろん知的で、ユーモアもあって、さらにひとを喰ったようなところもあって。
この本の様々なエピソード、とくにガリレオについての記述を検閲された話とか、前にも書きましたがインプット、アウトプットの説明とか、思わず軽く笑ってしまいます。
もちろんこの本を買ったのは、挿絵の安野光雅氏に魅かれたせいもあるのですが、(小学校の頃からのファンで、ことに中学から専門学校にかけては頑張って画集を買っていた)森氏のウイットに富んだ語り口がとても好きでした。
何となく数学は、星々の間に密かに響く美しい音楽、という気もします。
森氏は今、そのただ中にいらっしゃるでしょうか。
ご冥福をお祈りいたします。