あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

星々の声を聴く。

2010-07-27 00:13:49 | 日記・エッセイ・コラム

すうがく博物誌 (美しい数学2+3) すうがく博物誌 (美しい数学2+3)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1995-01
この本は以前紹介したことがあるのですけれど、数学者森毅氏の訃報に接して、もう一度取り上げました。

私の持つ唯一の森毅氏の著作であり、また大好きな本であるからです。

私はまったく数学が苦手でして、その気配はすでに小学校高学年の時にありました。

“あ、この科目、私ついていけなくなりそう”という気持ち。

その予感は当たって、中学のときには苦手科目となり、高校になると、そりゃもう酷い事に。

もともと論理的思考に欠けているところがあり、脳の構造上ついていけない学問であったのでしょう。

けれど、では数学が嫌いだったかというと心底はそうでもなく、むしろ密かな憧れがありました。

美しい学問だと思ったのです。芸術にも通じるし、天文学にも通じる。

宇宙の均衡を支えている、繊細で洗練された学問に思えました。

そうして、森毅氏は、私の考える数学者にぴったりな人でした。

もちろん知的で、ユーモアもあって、さらにひとを喰ったようなところもあって。

この本の様々なエピソード、とくにガリレオについての記述を検閲された話とか、前にも書きましたがインプット、アウトプットの説明とか、思わず軽く笑ってしまいます。

もちろんこの本を買ったのは、挿絵の安野光雅氏に魅かれたせいもあるのですが、(小学校の頃からのファンで、ことに中学から専門学校にかけては頑張って画集を買っていた)森氏のウイットに富んだ語り口がとても好きでした。

何となく数学は、星々の間に密かに響く美しい音楽、という気もします。

森氏は今、そのただ中にいらっしゃるでしょうか。

ご冥福をお祈りいたします。

コメント
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