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かっぱのすりばち―菊池トヨばあちゃんの語りから 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2009-02 |
両親の出身地が岩手県なので、河童はちょっと気になります。
以前テレビの番組で、遠野が取り上げられたとき、
「河童はいますか?」
の質問に、どのひとも
「はい」とためらいもなく答えていたのが印象的でした。
私はいままで、現代に生き残った魔法的存在は唯一サンタクロースだけ、と思っていたのですが、河童も何とか生きているのかな、とちょっと嬉しくなりました。
これは、福島県の河童のお話。
口伝えにしてきた民話をもとにした物語だと思いますが、語り口も、内容もナイーブですっきりとしていて、透きとおった水を飲んだときのように、すっと身体にしみとおってきます。
絵は、全体にグリーンを基調としていて、森の中を通り抜けたように清々しい雰囲気。
物語は少し悲しいけれど、読み終わって裏表紙を見ると、それがあり得たかもしれないもう一つの結末、という気がして、描き手のひとの優しさがしみじみ伝わってくるように思えるのです。
“かっぱのすりばち”のある場所は、かつて、河童がいた場所、ということになるのでしょうか。
妖怪、というより、隠れ住む静かな人々、といった感じのこの物語の河童の、気配を感じてみたくなります。
巻末に、ちゃんとイラストマップが付いているのも嬉しい。