年が明けてからのコンサート通いがままならない。
いまのところ、イザベル・ファウストの無伴奏リサイタル(1月19日、王子ホール)のみ。
それも、大雪による諏訪足止めの翌日で、旅の疲れがドッと出たのか、はたまた温泉に浸かりすぎて全身の筋肉が緩んでしまったのか、素晴らしい演奏であることは感じつつも前半丸ごと睡魔に見舞われるという体たらく。
在京オケでは、スクロヴァチェフスキー&読響のブルックナー8番、ダウスゴー&新日本フィルのニールセン5番、アラン・ギルバート&都響のワーグナー「指環への旅」の3プログラムは聴き逃せないところなのだが、すべて自分の「マタイ」ほかのレッスンと重なって行くことが出来なかった。
いずれも知己から上がってくる評判は上々だが、こればかりは仕方がない。演奏をする者の宿命だ。聴く歓びよりも演奏する歓びが勝るのだから、これでよいのである。
さあ、明晩は、長岡での「マタイ」最終稽古、1日オフの後、29日にはソリスト、オーケストラを向かえての稽古である。
「マタイ」のような大曲なのに前日だけのリハーサルで大丈夫か?
と思われる方もいらっしゃるかも知れないが、今回の独唱およびオーケストラ奏者の皆さんは日本が誇るバッハのスペシャリストばかり。
第一に、この錚々たる顔ぶれのスケジュールを3日間揃えることは困難であること。第二に仮に3日間拘束できたとしてもコーラスの予算をオーバーしてしまうこと等から、前日と当日だけの合わせとなるのはやむを得ない。
前日の稽古時間が長大になるため体力的に厳しいのは確かだが、やり遂げるほかないのである。
もっとも、今回のメンバーでバッハを指揮するというのは、ウィーン・フィル相手にヨハン・シュトラウスを振るようなもので、指揮者であるボクさえしっかりしていれば問題はない。
福島章恭の型に嵌めるのでなく、福島章恭の枠の中で自由に羽ばたいて頂けるよう心掛けるなら、自ずと素敵な演奏となることであろう。
東京バロックコンソート TOKYO BAROQUE CONSORT
東京バロックコンソートは、福島章恭の呼びかけで、コンサート・マスターの天野寿彦をはじめとして、日本を代表する古楽器の名手たちが今回の演奏会のために結集して編成されたオーケストラである。古楽器を演奏する合奏団の言葉であるコンソートを冠し、軸足をJ. S. バッハに置いた最高の演奏を目指した団体としてシンプルに命名した。
第1オーケストラ
第1ヴァイオリン:天野 寿彦(コンサートマスター)、堀内 由紀、高岸 卓人
第2ヴァイオリン:丸山 韶、吉田 爽子 ヴィオラ:深沢 美奈、朝吹 園子
チェロ:山本 徹 コントラバス:角谷 朋紀
フラウト・トラヴェルソ:前田 りり子、鶴田 洋子 オーボエ:三宮 正満、森 綾香
ファゴット:永谷 陽子
第2オーケストラ
第1ヴァイオリン:長岡 聡季(コンサートマスター)、青木 奈緒子、佐藤 駿太
第2ヴァイオリン:廣海 史帆、石井 弓奈 ヴィオラ:伴野 剛、吉田 篤
チェロ/ヴィオラ・ダ・ガンバ:武澤 秀平 コントラバス:平塚 拓未
フラウト・トラヴェルソ:佐々木 華、細川 愛梨 オーボエ:小野 智子、篠原 由桂
ファゴット:安本 久男
オルガン:能登 伊津子