福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

中野雄さんに誉められる (加筆版)

2015-01-30 23:46:22 | レコード、オーディオ



今宵出掛けた横浜シンフォニエッタのコンサート会場(青葉台フィリアホール)にて、久しぶりに文春新書「クラシックCDの名盤」共著者の中野雄さんをお見かけした。
お年賀としてお送りしておいたブルックナー「8番」CDに厳しいご批判を頂くのでは? と恐る恐る近づいてご挨拶申し上げると、「ああ、ちょうど良かった。ブルックナーのCDのお話をしたかったところです」と仰り、「とても立派でした。アマチュアのオーケストラもよくやってます。そりゃ、細かいことを指摘すればキリはないですけど」とした上で、「福島さんには、あのブルックナーを、そのままコンセルトヘボウ辺りで振らせたいと思いましたよ」「何より奇を衒ったところのないのが気に入りました」とまで、言ってくださったのだ。

これは、ボクにとって何より嬉しい称賛。クナッパーツブッシュ、モントゥーなどの生演奏を知り、つい先年、ハイティンクのブルックナー8をコンセルトヘボウで聴いてきたばかりの中野さんのお耳にも適ったのだ。「クラシックCDの名盤」への著述でも一貫しているが、中野さんは演奏に於ける奇矯や曲芸もどきを憎み、正当を愛するお方。その中野さんに我々のブルックナーが、正当側と認定されたことは本当に嬉しい。

届く人には届くし、分かる人には分かる。それが、ボクの心を限りなく明るくする。

ところで、山田和樹指揮の横浜シンフォニエッタは素晴らしかった。それについては、また改めて。

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雪ですねぇ

2015-01-30 09:30:07 | コンサート


昨夜、空を見上げると星が見えたので、まさかなぁ・・と思っていたが、予報通りの雪。

今日はウッドデッキにペンキを塗る予定だったのだが(笑)・・。

来年の「マタイ受難曲」公演日が雪でなければよいけど、などと今から心配になったりします。

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山田和樹指揮 横浜シンフォニエッタ

2015-01-30 00:08:01 | コンサート

 

さて、お約束の横浜シンフォニエッタの感想である。

結論を言うと、たいへんに感動した。

特に、休憩後のシューベルトの「5番」。これほど幸福感に充ちた第1楽章も稀で、第2楽章の移ろいゆく色彩感に酔い痴れるばかり。さらに第3楽章のトリオでは、リピート部の弦のトップだけに弾かせることで、交響曲に室内楽が織り込まれるという粋な計らい。この瞬間、フィリアホールにウィーンの香りが漂ったのにはドキッとしたものだ。「ウィーンの香りとはなんぞや?」と訊かれても困るけれど、ボクが室内楽のレコードなどを通じて感じているウィーンに共通したものが確かにあったのだ。

 

前半では、モーツァルト「40番」よりは、クニャーゼフをソロに迎えたショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番が凄かった。魂の震える演奏という言葉はよくあるけれど、クニャーゼフの音に触れると、そんな言葉すら色褪せてしまう。まさに凄絶を極めた音であり、全身全霊を賭した音楽であった。そんなクニャーゼフと同じになれ、というのはオーケストラには酷だろうが、そのエネルギーの波動は十二分に反映され、最初のモーツァルトとは別のオーケストラのようであった。モーツァルトに限っては、ボクには微温的に聴こえた。ショスタコーヴィチのような悲劇性やシューベルトのような開放感があれば、なお素晴らしかったと思う。

 

ところで、今をときめく指揮者、山田和樹であるが、プレトークで自ら語ったところでは、年男で今月の26日に36歳になったばかりとのこと。それにしては、その歩き方、棒の振り方、カーテンコールの仕草などは、よく言えば老成している。分かりやすく言えば、おじさん臭い。燕尾服を着物に着替えたなら、そのまま寄席の高座に上がれるのではないか? という空気感は得がたいものと言えるだろう。

2015年1月29日 (木)18:20 開場 18:30 プレトーク 19:00 開演

横浜シンフォニエッタ 第9回 演奏会

青葉台フィリアホール

W.A.モーツァルト/交響曲 40番

D.ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲 第1番

F.シューベルト/交響曲 5番

横浜シンフォニエッタ

アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)、山田和樹(指揮)

共催: 横浜シンフォニエッタ・フィリアホール

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井上道義 & 大フィル「大ブルックナー展」第1回

2015-01-29 10:45:05 | コンサート

ご報告が遅れましたが、24日土曜日には、井上道義先生と大フィルによる「大ブルックナー展」を聴いてきました。会場は、懐かしき兵庫県立芸術文化センター大ホール。記念すべき第1回目の選曲は「第8番」。

井上先生と大フィルの演奏会、昨年のチャイコフスキー「第4」(大フィルへの復帰第一弾)にも伺いましたが、このコンビにとって、今回の演奏がより大きな意味を持ったではないかと感じました。井上先生の意志がより多くの団員に伝わり、オーケストラのサウンドに覇気と重厚感が増していたからです。井上先生のアプローチもパフォーマンス抜きの真剣勝負。炎のコンマス崔文洙(チェ・ムンス)以下、集中力と燃焼度は半端なく、これからの大阪フィルの進むべき道が明確に示されていたと言えるでしょう。

一方、井上先生のブルックナーを聴きながら、自分のブルックナーとの違いを小節毎に感じたのも本当です。テンポ感然り、フレーズ感然り、バランス感然り。というか世界観でしょう。決して違和感があるとかではなく、その違いを心地よく、興味深く受け止めました。井上先生の演奏を味わいながら、自分のブルックナーとは何かを発見する旅もしていたということになります。音楽には、こういう楽しみ方もあるのですね。

井上先生のお言葉はここ。

http://www.michiyoshi-inoue.com/2015/01/post_23.html

第2回はスケジュールの都合から伺うことは難しそうですが、近隣の方には大いにお勧め致します!

■兵庫県立芸術文化センター特別演奏会「大ブルックナー展」

第1回 2015年1月24日(土)午後3時開演
・ブルックナー:交響曲第8番

第2回 2015年6月27日(土)午後3時開演
・ブルックナー:交響曲第7番

指 揮:井上道義
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
料 金:A5,000 B4,000 C3,000 D2,000

お問い合わせ:大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890

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新国立劇場「さまよえるオランダ人」

2015-01-29 00:14:54 | コンサート

今宵は新国立劇場で「さまよえるオランダ人」を観た。

正直、序曲から第1幕はいまひとつ乗れなかった。
「基本的に、自分は飯守泰次郎とは波長が合わないんだな」ということを端々に感じてしまったのだ。棒が分かりにくいことも関係あるが、全てではない。そんなことを言えば、朝比奈先生やマタチッチを聴けなくなる。

飯守泰次郎の指揮は、腹の底から息をしているという気配が一見感じられず、腕だけを振り回したり、こねたり、押したりしているように見える。だから、腑(はらわた)にズシンと響く音がしない。それが原因なのだろうと思う。「パルジファル」の時から感じていたことなのだが、それを改めて認識せざるを得なかった。特に序曲では、アインザッツが分かりづらいせいかオーケストラも探りながら出て、決め所が決まらず、音楽が全体に平板だったように感じた。

ところが、第2幕の中盤から第3幕のラストまでは、音楽に独特の生命力と緊張感が生まれ、いつの間にやら音楽に引き込まれてしまったのだから不思議である。基本的に好きなサウンドではないのに、いつしか自分の好みを超越して、結局はワーグナーの素晴らしさを堪能させてくれたのだから、飯守泰次郎を名指揮者と呼ばないわけにはいかないのだろう。なんとも奇妙な理屈だが・・・。

歌手では、何と言ってもゼンタを歌ったエルベートに尽きる。終演後、オランダ人役のマイヤーが最も大きな喝采を受けていたが、ボクのベストは断然エルベート。その声のよく通ること! 他の全ての存在を超越して響く声は、ゼンタの自己犠牲的な愛を描くのに相応しい美があって胸を打たれた。マリーの竹本節子さんは、厚木のモツレクにご出演頂いたばかりだが、人間性溢れる素晴らしく深い声。男声陣では、ダーラント役のシヴェクのピッチ感がボクとは少し合わなかったが、舵手の望月哲也さんは本当に立派! 益々惚れた次第。

演出は、妙な読み替えのないオーソドックスなのは良かったが、もうひとつキラリと光る部分も欲しかった。特に、ゼンタとオランダ人が光に包まれながら昇天すべきところ、オランダ人だけが地上で人として死ぬ、というラストには夢がないように思う。

31日の千穐楽は仕事が入っているため、今回のプロダクションは、本日1回だけの鑑賞となった。
もし、どうしようか迷われている人に相談されたなら、「どうぞご覧なさい」と言うだろう。

 

新国立劇場 2014/2015シーズン
ワーグナー《さまよえるオランダ人》
【ドイツ語上演/日本語字幕付】

2015年1/18(日)14:00、21(水)14:00、25(日)14:00、28(水)19:00、31(土)14:00
新国立劇場 オペラパレス

■指揮:飯守泰次郎
■演出:マティアス・フォン・シュテークマン
■美術:堀尾幸男
■衣裳:ひびのこづえ

■キャスト
【ダーラント】ラファウ・シヴェク
【ゼンタ】リカルダ・メルベート
【エリック】ダニエル・キルヒ
【マリー】竹本節子
【舵手】望月哲也
【オランダ人】トーマス・ヨハネス・マイヤー

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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ウッドデッキのメンテナンス第1弾

2015-01-28 16:13:36 | 日記


どうやら天候も回復したので、午前のレッスンから帰宅するとウッドデッキのメンテナンスを開始。レコードも聴きたいし、譜読みすべきスコアも山積みなのだけれど、これだけは気になって、早く手を着けたいのだ。

まず手始めに柵の部分から。
オスモウッドリバイバージェルを塗布して待つこと20余分。水を流しながらデッキブラシでゴシゴシこすると、出てきました。新品だった頃の赤みがかった地色が!

磨く前(左)と後(右)では、その違いは一目瞭然。いやあ、嬉しい。達成感はあるものの、両腕の疲れは半端でない。今日のところは全体の4分の1で精一杯。

しかし、こんなに苦労するなら、新品のうちに保護オイルかなにか塗っておいた方が数倍楽だったに違いない。メンテナンス不要と自信満々に断言した工務店を怨みたい(笑)!




※おや、表面が乾くと赤が消えて白くなってきた。十分乾燥させた後、塗料を塗ったら色が戻るだろうか?
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クラシックCDの名盤 大作曲家篇 第2刷

2015-01-28 13:58:51 | レコード、オーディオ



文春新書「クラシックCDの名盤 大作曲家篇」の第2刷が刷り上がり、今朝我が家に届きました!

初版とは帯が替わりました!
三浦しをんさんによる「音楽を愛するとは、こんなにも熱く険しい道なのか」のお言葉が大書されています。

敬愛する三浦しをんさんに腹の底から笑って頂けたこと、何より嬉しいですね。

ひきつづき、御贔屓にお願いします!!

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天気予報と睨めっこ

2015-01-28 08:15:57 | 日記


約5年間放置し、かなり変色してしまった我が家のウッドデッキ。

独の自然塗装メーカー、オスモカラーによるリバイバージェル+ウッドステインプロテクター・クリアープラスでその美しさは蘇るか?

やる気満々で目を覚ますが、天候不良。オスモウッドリバイバージェルで表面をリフレッシュさせたあとは、次なる本格塗装まで48時間の晴天が保証されなくてはならないとか。

しばらく、自分のスケジュール、および天気予報との睨めっこの日々がつづきそうである。


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愛知祝祭管ブルックナー第8番 2回目の出荷完了!

2015-01-26 14:47:38 | レコード、オーディオ

ご好評頂いている愛知祝祭管とのブルックナー交響曲第8番のCD(かもっくすレーベル)。

発売後、僅か3日目にして追加注文が入り、目出度くも二度目の出荷となりました! 皆様のご支援に心より感謝致します。

取り敢えず、手持ちの在庫はなくなりました。当初、全く念頭になかった再プレスをするや否やは、ここ数日の反響次第ということになります。決断のタイムリミットが迫ってきました。

ひきつづきご声援のほど、宜しくお願いします。

タワーレコード: http://tower.jp/item/3776402/ブルックナー:-交響曲第8番(ハース版),-他

HMV:http://www.hmv.co.jp/artist_ブルックナー-1824-1896_000000000019429/item_ブルックナー:交響曲第8番、バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲、他 福島章恭&愛知祝祭管、古井麻美子、清水里佳子(2CD)_6146347

レーベル:かもっくす 品番:OAF-1410(2枚組)

発売日:2015年1月23日

<DISC.1>[54:45]
1. ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
 中村詩穂(オルガン)、愛知祝祭合唱団
2. バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV.1043(第3楽章のカデンツァはJoseph Hellmesberger版を基にしたもの)
 古井麻美子(ヴァイオリン)
 清水里佳子(ヴァイオリン)
3. ブルックナー:交響曲第8番ハ短調(ハース版)第1楽章

<DISC.2>[76:53]
第2楽章、第3楽章、第4楽章

【演奏】
愛知祝祭管弦楽団
福島章恭(指揮)

【録音】

014年10月26日 愛知県芸術劇場コンサートホール(ライヴ)

 

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Waon Records 録音へのこだわり ~ 奇跡のワンポイント録音

2015-01-26 01:28:51 | レコード、オーディオ

この度の愛知祝祭管とのブルックナー第8番のCD。

大編成のオーケストラに対して、マイク2本のみによるワンポイント録音という点で、オーディオ的にも注目を集めているとのこと。

以下、録音を担当して下さったワオン・レコード(Waon Records)のHPに興味深いデータと記事がありましたので、ここに転載させて頂きます。

因みに、音ばかりででなく、趣味の良いジャケットやレーベルのデザインもワオンレコードの小伏さんの作品となっております。

かもっくすレーベル OAF-1410
(2015年1月23日リリース) 税別¥2,778 

録音日:2014年10月26日
場所:愛知県芸術劇場コンサートホール

Recording, Edit:小伏和宏 ・ Cover design:小伏和宏

 《DSD recording》

Microphone:MBHO MBP604/KA100DK
Method:OSS (Buffled stereo)
Pre-amp:Grace Design model 201
Recorder:KORG MR-1000 with Power supply:FSP 150W+Capacitor
Monitor:Grace Design m902B + Sennheiser HD580

 《96kHz 24bit PCM editing》

DDC:Weiss Saracon-DSD
Audio-I/O:Weiss AFI1
Monitor:Waon Reference Monitor

録音のこだわり
事前の下見がかなわなかった上に、仕込に許された時間が1時間しかなく、しかも舞台転換も超短時間、完全撤収も30分(結局伸ばしてもらえましたが…)の予定だったので、舞台上にスポットマイクを置くことが困難で、三点吊りのマイクだけで収録せざるを得ない状況でした。さらにフルオーケストラだけでなく、パイプオルガン、オルガンギャラリーの合唱団もそのマイクセットで収録しなければならなかったのです。音場再現だけを考えれば単一指向性マイクを使ったORTF法が適応できそうですが、この方法は低音が減衰してしまいせっかくのブルックナーのシンフォニーやパイプオルガンの迫力に水を差します。低音までフラットに録るには無指向性のマイクを使わなくてはなりません。舞台配置の関係でマイクから見た音源が左右それぞれ80°つまり左右見開き160°ほどにも広がっていましたので、140°までならリニアな音場再現ができるA-B法ではやや苦しい。マイク四本でPhilips方式も考えましたが、仕込時間が充分にありません。結局悪あがきはやめて、こういう状況での収録も視野に考案されたOSS(Optimal Stereo Signal)法を採用してマイク2本だけで録ることにしました。マイクにはMBHO社製高域補正型の無指向性マイクを、バッフルには不要な櫛形干渉が起きないSchneider Disc(やはりMBHO社製)を使用しました。結果的にこれが大当たりで、音質・音場再現ともに充分満足できる録音が出来たと思います。とても協力的な愛知県芸術劇場の舞台スタッフのおかげもあって、熱のこもった名演をなんとかお届けすることが出来ました。ぜひお楽しみください。

http://waonrecords.jp/data/oaf1410.html

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