待望のバッティストーニ&大阪フィルの定期演奏会。演目はレスピーギ「ローマ三部作」。
当初、本番を聴くことは諦めていたのだが、定期2日目の土曜日、混声合唱団ヴォイス(厚木市)の「ドイツ・レクイエム」レッスンの終わるのが正午、新横浜周りで急行すると15時40~50分にはフェスティバルホールに到着できる。ということは、コンサートの後半には確実に間に合う! ということに気付いた。
一刻も早くフェスティバルホールへというわけで、新大阪駅からタクシーで駆けつけると2曲目「ローマの祭」の静謐な「十月祭」の演奏中。ホールのご厚意で賑やかな「主顕祭」には後方ドアの辺りに入れて頂けたことは、ラッキーであった。タクシー代を惜しんで地下鉄を選んでいたら聴けなかった。如何なるときも、最善を尽くすべきなのだな。
休憩後は、眩いばかりの光彩に溢れた「ローマの松」。負の要素のない、真っ直ぐで美しくエネルギーを浴びることが気持ちよい。コンマス崔文洙さん率いる大阪フィルのポテンシャルを遺憾なく引き出した素晴らしいパフォーマンス。
「アッピア街道の松」では、客席上手上方と下手二階に配したバンダから音が降り注ぎ、比類なき高揚感とともに曲を閉じた。
実は、当初本番を聴くことを諦めていたこともあって、リハーサル初日を見学させて頂いていた。
バッティストーニの凄いところは、まずその精神と肉体から発せられる力によって、オーケストラのサウンドが否応なしに凄絶になるところ。これは大事なこと。
かといって、ワケの分からぬ棒でムチャクチャやるではなく、示される演奏像は明快で、舞台上の偶然に頼るものではない。求めるピアニシモの精妙さも美しい。また、楽器間のバランスについても、チェロとコントラバスの比率に気を配るなど、繊細であったりする。
そうした正統的な屋台骨があって、本番のステージでプレイヤー達に注がれる命が半端ないのだから名演とならないわけがない。オーケストラ側にそれに応える能力と感受性さえあれば。
リハーサルの日、マエストロの楽屋を訪ね、「次回は是非ともヴェルディ『レクイエム』を共演したい」とご挨拶してきたのは、大阪フィル合唱指揮者の役割として当然のこと。マエストロは笑顔で握手してくださった。近い将来に実現すること確信しているところである。