Thomaskirche トーマス教会
Sächsisches Barockorchester
Leitung: Akiyasu Fukushima
ザクセン・バロックオーケストラ
指揮: 福島章恭
エリシュカ先生のネタばかりで恐縮ですが、今回の大阪フィル定期の初日に敬愛する山崎浩太郎さんに聴いて頂けたことはボクにとって大きな事件でした。
東京で機会の持てないまま、いきなり大阪で自分の音楽を知って頂けたのも何のご縁でしょうか。
自分の本番指揮ではないにせよ、とても嬉しかったのです。
以下、山崎さんFBによる大阪紀行。全文のうち、関連のある部分を転載します(山崎さんよりの御承認あり)。
みなさま、一泊二日で神戸と大阪へ行ってまいりました。1970年の万博以来、45年ぶりの大阪。7歳で親につれ回されただけでしたから、自分の意思で初めて行動する阪神地区。もちろん表面をなでたにすぎませんが、さまざまな発見があり、自分がよく知っているつもりの東京や仙台に関しても類似や相違から見つめなおすことになる、収穫の多い2日間でした。
8日の8時22分に新大阪について、梅田から阪神電車で神戸三宮へ行き、海岸通りと元町を歩いたのち、阪急で西宮北口経由で宝塚へ。大劇場で宙組「王家に捧ぐ歌」第2幕を見てから宝塚線で梅田へ。夜はフェスティバルホールでエリシュカ指揮大フィルのドヴォルジャークの《スターバト・マーテル》を見て、曽根崎のホテル泊。
翌9日はお初天神に詣でてから中之島の中央公会堂などを見学、南下して心斎橋筋~道頓堀~千日前~難波と散歩。南海電車で三国が丘に行き大山陵古墳を半周、次いで中心部に戻って新世界と通天閣を見、天王寺から地下鉄で谷町へ行って大坂城を南北に縦断。いずみホールをながめて京橋から新大阪へ行き、19時50分発で22時23分東京着。
エリシュカ指揮大阪フィルによるドヴォルザークの《スターバト・マーテル》。衒いのない、堂々たる演奏。大フィル合唱団の合唱指揮をFB友達の福島章恭さんがなさっていて、澄んだハーモニー、うねるような呼吸感が見事でした。終演後にエリシュカが福島さんの仕事ぶりに熱い抱擁で応えたのを見て、こちらまで嬉しくなりました。
札響定期初日の終演後、楽屋で頂戴したエリシュカ先生からのお手紙。
原文は便箋に手書きですが、それを、プロハースカ尚子さんが翻訳し、さらにタイプしてくれたものを画像化してみました。
大阪フィル関係者、大阪フィル合唱団のメンバーにもいち早くお伝えしたく、ここに公開致します。
お忙しい中、ご執筆頂いたエリシュカ先生、ならびにお手を煩わせたプロハースカ尚子さんに、改めて心よりの感謝を捧げます。
そして、マエストロの末永いご健康と益々のご活躍を心よりお祈り致します。
早いもので、エリシュカ先生とのドヴォルザーク「スターバト・マーテル」初日から、もう1週間が経ってしまった。
気持ちを切り替えなければと思いつつも、エリシュカ先生との6日間があまりに濃密だったため、未だ余韻の中で生活していることを告白しなくてはならない。
さて、いま、もうひとつ思い出すのは、エリシュカ先生とオーケストラ、コーラス、そしてわたしを結んでくれた存在、通訳のプロハースカ尚子さんのことである。
ときに激するマエストロの言葉をまろやかに伝え、休憩を忘れて音楽に没頭するマエストロに時間を示すなど、そこにあるはずの言葉の壁が取り払われた以上の優れたお仕事をされたと思う。
音楽リハーサルの通訳は語学に堪能なばかりでは役不足となりがちだが、その点、桐朋学園器楽科のご出身(即ち、我が後輩)ということで、音楽の専門知識やリハーサルの段取りも万全。
マエストロからの指示の伝達が的確、かつ迅速であり、さらにはマエストロや演奏者の立場や気持ちを汲み取ることを忘れない、など、プロハースカさんの名通訳なしに今回のコンサートの成功はなかった、とも言えるだろう。
オーケストラやコーラス、そして合唱指揮者であるわたしにはステージ上で、マエストロに讃えられる場面はあった。
しかし、通訳者の彼女が舞台で喝采を受けることはない。
遅れ馳せながら、この場を借りて、プロハースカ尚子さんの功績を称えるとともに、感謝の念をお伝えしておきたい。
以下、大阪フィル合唱団団員の言葉から、いくつかを転載しておこう。
「プロフェッショナルであるということ。。。
私の周りには様々な職業のプロがおられる。特に身近なのが音楽関係のプロ。
今回の公演でもマエストロはじめソリストの方々、合唱指導者そしていつも凄いなぁと思うオーケストラのメンバーなどプロの仕事を見せていただいた。
でも、今回私が注目したのは「通訳者」。ドイツ語や英語を話されるマエストロがほとんどで聞いている方も何となく解るのだが、エリシュカさんはチェコ語で通訳なしでは全く分からない。
彼女の通訳は非常になめらかで的確、音楽の専門的なことも時々入るマエストロのジョークも自然に訳されて素晴らしかった。連日の何時間にも及ぶ練習を疲れた様子も見せず、マエストロは勿論出演者も全幅の信頼を寄せられるような、これがプロという仕事を見せてもらった何日間だった。
そんなあれやこれや、まだ余韻に浸りながらのベリーとの散歩の夕暮れ」(Y.H)
「何が感動したかって、あの通訳さんでした。飾り気のない自然体で、しかも機転が効いて、タイムキーパー的な役割も果たしながら、見事なまでにチェコと日本の架け橋になってくださいましたね。
今回の演奏会の成功は、あの方にかなり起因しているように思います」(Y.Y)
「彼女の仕事振りには感心しっぱなしです。せめて、ご挨拶したかったと残念に思います」(K.N)