福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

いよいよ夢のバロックオーケストラとの通し稽古

2016-02-29 15:30:38 | コーラス、オーケストラ


おはようございます。
ライプツィヒの朝7時20分はこんな感じです。部屋の窓から聖トーマスの塔と屋根が望めます。

18時00分よりソリスト、少年少女合唱団、混声合唱団、オーケストラによる全曲合わせとなりますが、16時00分には午後から始まっているオーケストラだけの自主練習に立ち会うつもりです。
ザクセン・バロックオーケストラを母体にベルリン古楽アカデミー、コンツェルト・ケルンらの強者の集う夢のバロックオーケストラとなります。

高野さんは、「ふだん、2時間半とか40分の『マタイ』を演奏している連中たから、福島先生の3時間を超えるスローテンポに抵抗を示さないだろうか? ビラーのテンポでさえ、遅いというのが今の古楽の一般的な考え方だから」
と心配なさっていますが、楽観的なわたしは大丈夫だと感じています。要は、そのテンポが必然であるか否か。速い演奏にだって退屈なものは、いくらでもあるわけですし。

ただし、昨日の聖トーマス教会聖歌隊席でのコーラス稽古では、東京公演のテンポより締まったやや速めのテンポとはなりました。残響の長さゆえに、ゆったりのテンポにコーラスが膨張して、アンサンブルが散漫になってしまったから。ただ、オーケストラと一緒になって再び戻す可能性もありますね。

オーケストラのリーダーはザクセン・バロックオーケストラのチェリストにして、クリストフ・ルセのオーケストラ(レ・タラン・リリック)でも首席を務めるハルトムート・ベッカーさん。前回の「ロ短調ミサ」での献身的な演奏から今回も大いに期待できましょう。

さてさて、どんな凄い演奏が誕生することか! 午前中は部屋でノンビリ過ごすつもり。今回の旅では、ゆえあってレコードは買いません。
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閏年のお蔭

2016-02-29 08:18:24 | コーラス、オーケストラ
ここライプツィヒも、日本に遅れること8時間、2月29日(月)となった。

これが実にラッキーなのである。

ライプツィヒでは、毎月最初の月曜日にデモがあり、聖トーマス教会が封鎖されてしまうとのこと。ドレスデンのような凶暴性には薄いとのことだが、しかし、もし今年の3月1日が月曜日だったら、我々の「マタイ」公演は完全にアウト! 4年に1度の閏年のお蔭で難を逃れたというわけであり、これも天のご加護と呼べるかも知れない。

なお、以前、本公演が「トーマス教会に於ける、日本人の指揮者とコーラスよる初のマタイ受難曲」と告知したところ、「否、BCJが既に行っている」という声を聞いた。
バッハ資料財団の高野さんによれば、正確には以下、「バッハ・フェスティバルのようなお祭期間でなく、四旬節に行われる演奏会としては初の快挙」とのこと。説明の足りなかったことをお詫びしたい。
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聖トーマス教会にてコーラス稽古

2016-02-29 06:30:42 | コーラス、オーケストラ


「マタイ受難曲」本番2日前の本日(2月28日)、懐かしい聖トーマス教会の聖歌隊席にて3時間にわたるコーラス稽古が行われた。

明日のゲネプロ、明後日の本番と合わせ3日間も、この聖歌隊席を使わせて頂けるというのは異例中の異例とのこと。まこと有り難いことである。

本日はオルガンでの稽古であったが、とんだハプニングがあった。現地オルガニストとの契約が、最初の2時間しかなされていなかったのである。そこで、最後の1時間はツアーに同行してくれている小沢さんの演奏での稽古となった。

小沢さんは卓越したピアニストであるばかりでなく、オルガンで弾いた平均律クラヴィーア曲集第1巻のCDが「レコード芸術」誌の特選になるほど、オルガン演奏にも精通しており、それはそれはステキな演奏。小沢さんも「ここでオルガンを弾かせて貰えるなんて!」と歓びを口にされていました。

なお、この練習中、たまたま礼拝堂を訪れた方の中には、オフィスに駆け込んでチケットをお買い上げになった方も複数いらしたとか。これまた嬉しいことである。

さあ、いよいよ、明日はソリスト、オーケストラとの合わせとなる。緊張するというより、ワクワクするというのが正直な感想である。

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天空の画廊 クルト・クヴェルナーとの出逢い

2016-02-28 08:34:12 | 美術


今回のドレスデン滞在では、体力温存のため美術館に行かないと決めていたのだが、新市街地の路地裏を歩いていると気になる画廊に出逢ったので、覗いてみた。

GALLERY HIMMEL=天空の画廊

まず、画廊の名前が素敵ではないか。
そこで、2月末まで開催されているのが、Curt Querner (クルト・クヴェルナー,1904 - 76)展。はじめて聞く名前だが、その風景画や人物描写の奥深さに忽ち魅せられてしまった。ドイツ国内では著名だという。







「レコード買うのやめて、どれか買って帰るか?」と、持ち前の物欲が頭をもたげたものの、気に入った作品が9800~14,000EUROとのことで一旦は諦めた。否、作品の価値からいって、決して高くないのだと思う。気に入ったわけだし。たとえば、シャガールなど人気作家の版画を買うのなら、こちらの一点ものの水彩画や油絵を買う方が賢いに違いない。









宿から画廊まで徒歩5分ということもあり、結局、ドレスデン滞在の3泊+1泊(計6日)の間に5度も訪問してしまった。誰もが訪れる観光地を早足で駆け抜けるのも悪いとは言わないが、自分だけの名所に何度も訪れるという方が性にあっているようだ。



ネルソンス&シュターツカペレ・ドレスデン終演後、いよいよライプツィヒに発つ前、予約の列車まで小一時間あったため、画廊を再訪。店主のMichaelさんと記念撮影。Michaelさんは奥様ともどもライプツィヒご出身で、バッハの音楽をこよなく愛されているとか。不思議なご縁を感じた次第。



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アンドリス・ネルソンスのショスタコーヴィチ8番

2016-02-28 07:44:55 | コンサート


次期ゲヴァントハウス管弦楽団シェフのアンドリス・ネルソンスをドレスデン・シュターツカペレ定期演奏会で聴くという、なんとも粋な趣向。



ううう凄い。既に前半で無条件完全降伏(幸福?)。
ブリテンのパッサカリア、ツィンマーマンのトランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」、ショスタコーヴィチ「8番」というプログラムは、いずれも、世間の不条理、生まれながらの宿命などを思わせる、まさに経済が破滅に向かい、戦争や紛争の跫音の近づいているかのような今の世にピッタリ。




ブリテンのパッサカリアは「ピーター・グライムス」からの音楽で、主人公の背負う宿命の重さが痛切な叫びとして聞こえてくる演奏。
ツィンマーマンのトランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」は、ときにジャズのような、ときにプログレのような様相を見せながらも作曲家の内面の苦悩を語る作品だが、ドレスデン・シュターツカペレは現代ものをモノともしない強力な技術とアンサンブル力をみせる。
それにしても、超絶技巧オンパレードのこの作品を見事に吹ききってしまう独奏者ホーカン・ハーデンベルガーは化け物だ!



さらに、休憩後のショスタコーヴイチ「8番」には、全く打ちのめされた。虐げられ、亡くなった魂への深い鎮魂と痛切な祈りが巨大な波となって会場を震わせる。
もはや棒がどうこうでなく、ネルソンスの魂から生まれる無尽蔵のエネルギーがその肉体を通して発せられる様は阿修羅の如く。フォルテとかピアノではない、その背後に広がる世界の大きさには気が遠くなるほど。



しかも、これ見よがしに効果を狙う場面は皆無。ドレスデン・シュターツカペレの卓越したアンサンブル能力と深い響きによって、いかなる怒涛の響きの中にあっても高貴さを失わない稀有のショスタコーヴィチとなったのである。
ネルソンスはベルリン・フィルのシェフ候補でもあったと聞くが、ゲヴァントハウス管は賢明な人選をしたと思う。
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アラン・ギルバート&ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管

2016-02-27 15:48:12 | コンサート


「シベリウス生誕150年、デュティユー生誕100年記念コンサート」と銘打たれたゲヴァントハウス管の定期演奏会初日(2月25日)。

都響のワーグナーを聴き損なったアラン・ギルバートがどんな指揮をするのか興味津々。一番のお目当てはシベリウスの「7番」。

ところが、シベリウスのみが割愛され、デュティユー~シューマンのピアノ協奏曲(ピアノ: アンスネス)、シューマン「春」という生誕記念とは無縁のシューマン主体のコンサートとなった。敢えていえば、ご当地ゆかりの作曲家ということか・・。

一番楽しめたのがデュティユー。
どこか東洋的な不可思議で心に懐かしさを覚えさせる音響の美。

一方、シューマンの2曲は、オケもよく鳴っているし、バランスやテンポも良いのだが、なにか足りない。憂い、空想、瞑想性といったボクがシューマンに期待するものがなく即物的というか、健康的に過ぎたのだろう。

もちろん、悪い演奏ではまったくない。聴衆もけっこう沸いていた。

アンスネスはコンチェルトも音楽的で立派でかったが、アンコールのショパン「即興曲」に音色の繊細さがより際立っていた。

因みに、コンサートホールとしてゲヴァントハウスの音響は素晴らしいの一言に尽きる。一見、サントリーホールのような形状に見えるのだが、たとえば、ピアノ協奏曲のオーケストラ全開の中、ピアノの細部の細部までが明瞭に聴き分けられる、或いは見事にブレンドされている、ということは、日本で経験したことがない。何か根本的なところで設計思想が違うのだろうか?

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我が人生最上級の体験 ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の「ワルキューレ」

2016-02-27 08:06:55 | コンサート


ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の「ワルキューレ」(2月23日)。我が人生に於いても、最も感動的な体験となった。

本来、ブログ用にオリジナル記事を書くつもりだったのだが、当地で予定が目白押しの上に明日のコーラス合流を控えて書けそうもないので、取りあえず、覚え書き程度に書いたFacebook記事を転載しておきたい。



それにしても、ゼンパーオパーの内部の美しさ! 音響の素晴らしさには、全く魅了された。写真で伝わるだろうか?



「ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場の『ワルキューレ』。極上の出来。
かつてベートーヴェンやブルックナーで、急発進、急ブレーキ、急ハンドルを繰り返したティーレマン(いまは知らない)が、ワーグナーでは悠然たる指揮ぶりで、各幕の頂点やクライマックスでもせいぜい8分の力でオケを忘我の境地へと導くという巨匠の芸。
歌手は皆よかったが、ジークリンデ役のペトラ・ラングが傑出していた。ジークリンデの背負ってきた悲しみと一夜限りのしかし最高の歓び、愛する者の喪失と再生、すべての感情がその豊かな声と一途な姿から滲み出て、忽ち虜になってしまった。ペトラ・ラングは、新国立劇場の『ローエングリン』(5月~6月)にも出演するので、大いに楽しみだ。
(体力温存のため、他の歌手は割愛。それぞれ素晴らしかったけれど)
シュターツカペレ・ドレスデンの深い音色も昔のままで、これ以上の至福はなし。生の臨場感ゆえに、クナの第1幕を含むあらゆる録音を上回る感銘を受けた次第。」

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急告!「マタイ受難曲」公演にご参加の皆さんへ

2016-02-26 07:59:08 | コーラス、オーケストラ

「マタイ受難曲」ライプツィヒ聖トーマス教会公演ご参加の皆さん、そろそろ日本を発たれる頃ですね。その皆さんに身の引き締まる重要な報告があります。

本日、バッハ資料財団の高野昭夫さんにお目にかかって宣告されました。

「おい、トーマス教会の『マタイ』は、休憩ないからな!」

2013年8月、「マタイ」より尺の短い「ロ短調ミサ」ですら、休憩のないことに驚かされましたが、いったいドイツ人の膀胱はどうなっているのでしょうか(笑)? あの長いワーグナーの楽劇にしても幕毎に休憩が入るのだから、トーマス教会に於ける大曲演奏は、まさに試練の場。
もちろん、休憩なしだからといって、テンポを速めることはしないので、福島章恭のマタイ時間=約3時間5~10分、トイレ休憩等の全くないことを、いまから覚悟して演奏に臨んでください。
また、長時間休憩なし公演に向けて、体力に自信のない方、体調が万全でない方は並び位置など配慮しますので、お申し出ください。
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低く垂れ込めた雲

2016-02-23 18:07:49 | コーラス、オーケストラ


19日のライプツィヒ到着から昨日までは、比較的暖かな陽気で、日中はマフラーも手袋も不要で、拍子抜けするほどであったが、これからは間違いなく下り坂。本日のドレスデンも雪がちらつくかも知れない。
天気予報によれば、「マタイ受難曲」公演の行われる3月1日(火)は、最高気温0度。更なる冷え込みが予想される。

「低く垂れ込めた雲」
まさに、受難の音楽を演奏するに相応しい環境とも言えるが、こちらも相応の準備と覚悟をもって臨まねばなるまい。
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チーズバーガーとタイムの咳止めシロップ

2016-02-23 03:33:18 | グルメ


ゼンパーオパーを眺めつつの優雅な"ひとりディナー"は、その名も"クラシック・ウェスティン・チーズバーガー"。

予想はしていたが、デカい!
しかし、味は大味ではないぞ。しっかりと肉の味の滴るハンバーガーで、まさに本格派。チェーン店で出されるのとは全くモノが違う。満足はしたが、ここ数日の節制の効果を1食で吹き飛ばす強者には違いない。
ただ、さすがにポテトまでは食べきれなかった・・。



こちらは、新市街地の薬局で見かけたシロップ。見るからに咳止めに効果がありそうなパッケージので買って帰る。
咳を鎮める作用のあるハーブ=タイムのシロップとのことで、黄金に輝く色といい、ちょっと粘りを含んだとろみといい、砂糖を煮詰めたような濃厚な甘さといい、いかにも咳を止めるぞ、という雰囲気が半端ない。
説明書によれば、、3歳以上大人までは、1回に5ml、1日に3~4回服用しろと書かれている。3歳と50台が同じ量で良いのか? 日に6回くらい飲んでも良さそうではないか、と訴えたくもなるが、中毒になってもいけない。ここは素直に従っておくのがよろしかろう。
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