福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ウィーンは雪模様

2017-11-30 07:53:39 | コーラス、オーケストラ


恐れていたことが現実となりました(笑)。今朝、目を覚ますと、窓外には広がる雪景色。シュテファン大聖堂が遠くに霞んで見えます。
ここは長岡に非ず、ウィーン。深々と冷え込んできました。モツレク本番の12月5日午前零時には、どこまで冷えるのか??

間もなく旅立ちのモーツァルティアン・コーラス・ジャパンの皆さん、足元と寒さ対策に気をつけてお越しください。



昨夜はシュターツオパーにて、ペーター・シュナイダー指揮の「ナクソス島のアリアドネ」。期待を数十倍上回る出色のプロダクション! 後ほど、元気があったら書きます。というときは、たいていアテにはなりません。

午前8時、そろそろ朝食に向かいます。

追伸
モツレク本番の4日から5日にかけて、予想気温は3~4℃。零下でないだけ御の字と考えるほかない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クナッパーツブッシュ サイン入りポートレート

2017-11-30 00:24:36 | レコード、オーディオ


ウィーンの街を歩いていると、こんなお宝に出会ったりします。

クナッパーツブッシュのサイン入りポートレート

真贋は確かめようもなく、「ホンモノだよ」と言う店のおばちゃんを信じるのみ。

他にないのか?

と尋ねるも、これがサイン入り最後の1枚とのこと。ベームなら何枚もあるよ、と言われたけれど、もちろんベームも大好きだけれど、やっぱりクナッパーツブッシュは別格なのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朗報! シモーネ・ヤング先生 モツレクに来てくださることに!

2017-11-29 00:19:07 | コンサート


シモーネ・ヤング先生から、つい先ほどメールが入りました。

12月5日午前0時からのモーツァルト「命日追悼特別演奏会」を聴きにきてくださると!

こんな名誉なことはありません。

シモーネ・ヤング先生は、現在シュターツオパーで「ダフネ」を指揮中。大阪フィルでの共演者と、同じ時期にウィーンに滞在することは偶然とは思えません。

もともと高いボルテージがさらに上がりました。

ウィーンはただいま午前0時半。
12月5日の同じ時間は、モツレクの半ばを過ぎている頃。なんだか凄い演奏会となりそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カプツィーナ教会にご挨拶

2017-11-28 15:09:53 | コンサート


本日、11月28日は夜のギドン・クレーメル無伴奏リサイタルまで、特に用事がないため、しばしウィーンの街を散策。

ネット予約していたシュターツオパーのチケットをビュローで受け取り、ケルントナー通りを経て老舗楽譜店ドブリンガーへ。

その途中、一本脇道に入り、我々が12月6日にモーツァルト「レクイエム」コンサートを行わせて頂くカプツィーナ教会にご挨拶して参りました。



教会入口には、コンサートを告知するポスターが!
合唱団のほか、オルガンを弾く小沢さちさんの名前もしっかり印刷されております。



さらに、礼拝堂では、すべての座席にコンサートの案内が置かれており、身の引き締まる想い。



このオルガンはこの夏に設置されたばかりの新しい楽器。わたしたちのコンサートの収益の全ては、このオルガン設定費用に充てられます。



ハプスブルク家ゆかりの聖なる場所で、コンサートを行える幸せと責任を感じつつ、カプツィーナ教会をあとにしました。12月5日のシュテファン大聖堂公演が終わっても、全く気が抜けません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤンソンス&バイエルン放送響のブルックナー8番

2017-11-28 09:52:03 | コンサート


ウィーン最初の夜は、ムジークフェラインザールにて、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響によるブルックナー交響曲第8番(ノヴァーク版第2稿 )を聴く。

同じ時間には、コンツェルトハウスでヘレヴェッヘ指揮によるベートーヴェン:ハ長調ミサの公演もあって大いに迷ったのだが、やはり、最愛のブルックナーの魅力には抗えず、こちらを選択。

座席はバルコン・ミッテの左端。日本のホールでいうと2階席正面。ここで聴くのははじめてだったが、ホールが楽器である、即ち、スピーカーでいうとエンクロージャー(箱)の極上さを実感させてくれる座席で、大いに気に入った。



結論から言うと、素晴らしい名演。もしかすると、上に述べたホールの良さと一体化した感動だったかも知れない。

ヤンソンスのアプローチは、予想していた通り極めてオーソドックスなもので、テンポやバランスに於いて奇をてらう場面は皆無。それは良いのだけれど、転調してゆくときのワクワク感がなかったり、全休止の意味が薄かったり、たとえば、第1楽章終わり近くのトランペット(とティンパニ)に厳しさに不足していたり、とわたしの期待するブルックナーからの距離は相当にあった。
しかし、そこに鳴るサウンドがどうにも良いのだ。すべての弦楽器奏者のフル・ボーイングから鳴る豊かなサウンド、蕩けるような金管のハーモニー。奥行きの深さと重層性、もうその響きに身を浸すだけで幸せな瞬間が多かった。あの豊穣な響きのまま、わたしのテンポや解釈を実践できれば最高なのだけれど、それは無い物ねだり(笑)。あの響きを引き出したのはヤンソンスの人徳や実力であることも確かなのだから。



終演後の聴衆の熱狂は凄まじいものがあったが、わたしの周囲には、明らかに作品に退屈している人々も多く(第1楽章では遠くで携帯の着信音あり)、その影響で演奏に集中しづらい場面のあったことも事実。
この夜、たまたまウィーン滞在だった観光客も混ざっていたのだろう。その点、ブルオタのみの集まる日本のブルックナー・コンサートのような宗教的雰囲気とは違っていた。



もうひとつの驚きは、「携帯電話の電源を切れ、演奏中の写真撮影は禁ずる」というアナウンスのタイミング。オーケストラが入場し、チューニングが終わり、いざ固唾を呑んで指揮者の登場を待つ、というときに場違いなブザーが鳴ってアナウンスが入る、というもの。これには拍子抜けしたが、それだけマナー違反をする客が多いということなのだろう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウィーンに到着

2017-11-27 14:13:15 | コーラス、オーケストラ


ウィーンに到着して最初の食事は、シュテファン大聖堂の全てのコンサートを取り仕切っていらっしゃるK und Kの清水さんとご一緒。まずはヴィーナー・シュニッツェル、ということで、第六感で選んだお店が大正解。滞在中、また訪れることになりそうです。

順序は逆になりますが、ウィーン空港到着の図。


宿から歩いて数分、ベートーヴェンにご挨拶。


モーツァルトの亡くなったお宅の前にて。いまは普通のお店が入っていて、趣のないのは残念。後日、プレートを撮り直します!


シュテファン大聖堂の売店では、我々のコンサートチケットを発売中。良いお席はかなり埋まってしまっているとのこと。お求めはお早めに!


では、これより昼寝して、夜に備えます。

下の写真は、パリ~ウィーン間、雲上の夜明け。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いざウィーンに向けて出発!

2017-11-26 22:23:47 | コーラス、オーケストラ


♪いよいよウィーンに向けて出発。
エムセックのFB記事を下に転載します。

「12月1日にいよいよ出発の、ウィーン聖シュテファン大聖堂で歌う『モーツァルト命日追悼コンサート』ツアーの国内最終練習会が都内で行われました。
先日東京オペラシティにて開催した本ツアーの壮行演奏会も大成功にて終演し、合唱団員の士気も高まる中、より高い完成度を目指して、福島先生の熱心なご指導が続きました。



聖シュテファン大聖堂での本番では、本日ご参加いただいた約50名に名古屋、関西、仙台などから、さらに70名の合唱団、現地ではウィーン少年合唱団のOBで結成された男声合唱団ヴィエネンシスが加わり、約150名での演奏となります。
きっとオペラシティとはまた違った、素敵なハーモニーとなることでしょう。
今から本番が待ちきれません🎵



指揮の福島先生は、早めに現地で調整されるため、本日の深夜便にてウィーンへ向けてご出発されます。
先生、どうぞお気をつけて!
ウィーンでもどうぞ宜しくお願い致します🎵」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カプツィーナ教会に於けるモーツァルト「レクイエム」

2017-11-23 07:29:37 | コンサート


ウィーンのシュテファン大聖堂に於ける「レクイエム」追悼公演の翌日12月6日(水)には、カプツィーナ教会にて、モーツァルト「レクイエム」公演が行われることになりました。
同教会でモーツァルト「レクイエム」公演が行われるのははじめてとのこと(ご葬儀は除く)。こちらは、オーケストラによらず、小沢さちさんによるオルガンとの共演となります。

光栄なことに、ソリストのうちお二人、トラットニック(ソプラノ)さんとハインリヒ(テノール)さんは、シュテファン大聖堂公演に引き続き、歌って頂けることになりました。さらに、バスをフォルクスオパー専属歌手の平野和さんが歌われます。

Sop: サンドラ・トラットニック
M.Sop: マルティーナ・シュテッフル
Ten: ゲルノート・ハインリヒ
Bas: 平野 和

合唱: モーツァルティアン・コーラス・ジャパン

オルガン: 小沢さち

指揮: 福島章恭

その地下にある納骨堂には、オーストリアの統治者であったハプスブルク家の人々の棺が安置されている、というカプツィーナ教会。もちろん、フランツ・ヨーゼフやエリザベートの遺骨も納められています。

収益金はカプツィーナ教会のオルガン設置費用ために寄付されます。既にチケットの7割は売れているとのことです。

ウィーン滞在中に二度もモーツァルト「レクイエム」を演奏できる歓びに胸を震わせつつ、責任の重さを感じております。

12月5日と6日、ウィーン滞在中のお知り合いなどいらっしゃいましたら、御宣伝頂けると幸いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーツァルト「レクイエム」特別演奏会を振り返る 3.「レクイエム」について

2017-11-20 20:59:34 | コンサート

モーツァルト「レクイエム」に190名を超すコーラスで臨む、というのは些か時代錯誤と思われても仕方ない。

わたし自身、かつてクラシカル・ピッチによるピリオド楽器によるオーケストラと中編成のコーラスを指揮したことがあり、それはそれで美しいモーツァルトであった。

しかし、今回は批判を承知で、わたしを育ててくれたベーム、ワルターのスタイルを踏襲し、大編成のオーケストラ&コーラスで臨むこととしたのである。蓋を開けてみたら、想定よりかなり大きくなってしまったのだが・・。

東京、厚木、長岡、名古屋、大阪、仙台の各練習会がひとつになったのは、本番前日。それでも寄せ集め感が微塵も生まれなかったのは吉としたい。

団員各位には精神的にも、技術的にも、もっともっと上を目指して欲しいが、各レッスン会場ともに、それぞれの課題に取り組み、本番では最善の姿を見せてくれたことは評価できるだろう。お疲れ様、そして、おめでとうと言いたい。

文句なしに素晴らしかったのは、4人のソリスト陣、即ち、平井香織さん、山下牧子さん、菅野敦さん、青山貴さんである。ステージ上の並びが、下手(向かって左)よりテノール、ソプラノ、アルト、バスと変則的なのは、ベーム&ウィーン響がピアリステン教会で行った映像作品に倣ってのこと。この並びだと、レコルダーレのアンサンブルが引き立つのである。

どの場面も素敵だったが、殊に上記レコルダーレのカルテットでは、もはや我々の魂はオペラシティにはなく、別の聖なる空間へと離脱していた。ゲネプロでは、余りの美しさに「これが終わったら帰ってもいい」と指揮台から冗談を言ったものだが、幾ばくかの本気も混ざっている。それほどに魅了された。しかし、本番の高貴さはそれを遥かに超えた。さらに、ベネディクトゥスに於ける高揚感は天にも昇るほどで、天国のジュスマイヤーも「自分の書いた音楽がこんなに美しかったのか!」と驚いたに違いない。



いよいよ、ウィーン公演である。オーケストラもソリスト陣も、モーツァルトを知り尽くしたスペシャリスト達。何も心配することはない。

シュテファン大聖堂という聖なる空間で、どんな奇跡が生まれるのか、今からワクワクする気持ちを抑えきれないでいる。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーツァルト「レクイエム」特別演奏会を振り返る 2.「40番」ト短調 ~ 疾走しない悲しみ

2017-11-19 21:12:44 | コンサート
コンサートの前半は「魔笛」序曲と「40番」。

当初、「レクイエム」の前プロを「ジュピター」にするのか「40番」にするのか大いに迷った。去る3月の長岡リリックホールでの「ジュピター」を録音で聴いて、「まだまだ、もっと出来るぞ!」と発奮したからだが、11年前にウィーンで振って以来ご無沙汰の「40番」の魅力は抗しがたかった。そこで、ラッパとティンパニを擁し、幕開けに相応しい華やかな空気感を持った「魔笛」序曲を置くことで、「ジュピター」への誘惑を断つことにしたのだ。



「魔笛」序曲にしろ、「40番」にしろ、リハーサルの途中で指揮を止めて、長々と指示をする、という場面は殆どなかった。それが指先であれ、広げられた両腕であれ、顔の表情であれ、我が想いを肉体に表現すると、オーケストラは、ほぼ思った通りの反応を見せてくれたからだ。

さすが、プロフェッショナルと言いたいところだが、このあたり、年がら年中付き合いながらも、なかなか反応してくれない各コーラスには見習って欲しいところである(笑)。



ところで、わたしと東京ヴェリタス交響楽団の「40番」には、「疾風怒濤とは無縁の堂々たる表現」「ゆったりしたテンポによる大きなスケール」といった感想を多く頂戴した。

実は、つい先日まで、わが胸の中には、それとは別の音楽、カザルスのライブ録音のように激しく、熱い演奏が鳴り響いていたのだ。しかし、本番の直前、わが「40番」へのアプローチが激変する出来事があった。

母の死である。
本番の4日前、11月12日(日)14時58分、鹿児島の病院にて母は息を引き取った。ちょうど町田市合唱祭にて、スウィング ロビンのリハーサルを控えていたころである。そのステージでは、木下牧子先生の「鴎」(詩・三好達治)を振りながら想いを天に馳せ、母の魂に別れの挨拶をした。

ここひと月の間、時間を見つけては鹿児島を訪ね、その都度、最後の別れのつもりで接してきたので、大きな後悔はない。翌13日にお通夜、14日に告別式を済ませると急いで帰宅。前日の15日には、ソリストとオーケストラを迎えてのリハーサルを行い、コンサート当日を迎えたというわけである

葬儀は悲しみに満ちていたが、同時に涙に濡れた幸せも感じることもできた。天災、事故や戦争などにより、いったいどれほどの人々が、身内との静かな別れの時間を持つことができないことだろう。それを想像するに、こうして家族揃って母を見送ることの出来たことの有り難さをしみじみと感じたのである。

いざ母を亡くしたあと、「40番」のスコアを開いたとき、心の中に疾風怒濤は吹き荒れることはなかった。むしろこの作品を熱く、激しく演奏しようとすることに「嘘」を感じてしまったのだ(カザルス盤の否定ではない。あそこにはギリギリの真実がある。とても真似のできるものではない)。結果、遅めのテンポを基調とした、どこか客観的なモーツァルトとなったわけだが、自分の意思というよりも、何者かがこのようなテンポや表現を選ばせた、と思えなくもない。

さらに言うなら、もしプロオケの定期演奏会のように、本番が2日あったなら、二度目の演奏は全く違ったものとなったような気もする。叶わぬ望みだが、もうひとつの演奏も聴いてみたかったものだ。



今回の演奏は、あの愛知祝祭管とのブルックナー「8番」の驚異のワンポイント録音を成し遂げたワオンレコードさんによって記録された。もちろん、今回も純度の高いワンポイント録音である。タケミツメモリアルのアコースティックの素晴らしさから、相当な優秀録音が予想される。

仕上がりを聴くまでは何とも言えないが、出来映えに満足ゆくなら「魔笛」序曲と「40番」だけでも、アナログ・レコード化したい気持ちが沸き起こってきている。もちろん、資金繰りの困難は予想されるし、演奏家たちへの了解を得るというハードルも横たわってはいるのだが・・。

いかんいかん。焦りは禁物。いまは先走ることなく、シュテファン大聖堂でのモーツァルト「レクイエム」公演に集中することにしよう。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする