帰国の朝・・・・・
何度経験しても、本当に嫌だ!この地から離れたくない。
それなら住めばいいのだが、日本での諸々のしがらみが捨てきれない。度胸がない。
それに比べて、在住の皆さんや娘は、いいとこどりの旅人の私とは違い すごいなと思う。
と、まあ自分が悪いのだが、ついつい不機嫌になる。
また、こうなった私を見た娘が「お茶しよう。」と準備したトレイを持って、部屋の外の階段を上り始めた。
「???」と思いながら、娘についていったほの暗い踊り場の扉の向こう、
この目に飛び込んできたのは、底抜けに明るい日差しとイシスブルー(勝手な色の命名)の空、そして名だたる三大ピラミッド。
これぞ、エジプト!という愛してやまない光景だった。
ぐずる私には、絶大な効果を発揮する娘の演出だった。
しばらく絶句。。。
なんてピラミッドは美しいのだろう。人間の努力の塊だからだろうか。
どうして、エジプトの空と日差しは心地よく、人に活力をくれるのだろうか。
まったく、なんて不思議で素敵な国なんだ!エジプトは。
屋上テラスから見下ろすと、人々の生活模様が窺える。
立ち話する人、乗馬をする人。
飼い犬のように、つながれたラクダも発見。
このあたりに住んでいる人々にとって、ピラミッドも日常に溶け込んだ なんでもない風景のひとつなのだろうか。
風が心地いい。
私が去ったあとも、仕事に取り組む娘。
エジプトへ恩返しをしたいと言っていたが、ちょっとは役に立てているのかな。
そして、この後、もうひとつのビックリが。
気になっていた扉がある。
入ってしまおう。
扉を開けると
なんと、素敵なお部屋が出現!
間取りは、一階下の娘の部屋とほぼ同じ。
しかし、この部屋のすごいところは、部屋の窓からピラミッドの全貌を見ることが出来ること。
朝日に照らされたピラミッドで目覚め、音と光のショーで彩られたピラミッドで眠る。
ドラマ「家売るオンナ」の北川景子さん風に「お客様!このピラミッドの見える部屋、お借りになりますか?」と聞かれたら
諸手を挙げて「はい!!」と答えたい。
娘にどうしてこの部屋を借りなかったのか聞いてみた。
「外からハシゴをかければ上ってこられるし、扉のセキュリティも悪かったから。」
そうか、異国で生活するということは、夢物語ではいられないのだ。
空港へ向かう時間が迫ってきた。
娘とピラミッドのお陰で、忘れられないひとときを過ごすことが出来た。
この目に贅沢すぎる絶景を焼き付けて、心のお土産として、、、しかたない、、、日本へ帰ろう。。。。
2013年春、エジプトの数々の思い出を抱きしめて。