カイロ大学文学部日本語学科准教授でいらっしゃるアハマド先生に
この夏、日本でお会いすることが出来た。
大変チャーミングでユーモア溢れる方、日本語が日本人以上に堪能でいらっしゃる。
長くお話していると、エジプトの方だということを度々忘れていた。
(先生が古くから親交のある長尾さんと)
エジプトで1974年設立された日本語学科の第一期生で、カイロ大同期には、小池百合子氏もいらしたそうだ。
その後、同大学日本語学科の准教授になられ、「源氏物語」のアラビア語訳をはじめ
古典から近代に至る日本文学の研究を続けられている。
エジプト革命の際は、来日・TV出演され、エジプト人から見たリアルな解説を展開されていた。
(アハマド先生の論文)
「フーテンの寅さん」こと渥美清氏がご存命なら、エジプトでの寅さんの計画が進んでいて、
山田洋次監督とも面識がおありになったようだ。
残念!!寅さんとマスリーヤ(エジプト女性)の恋が見たかった。
先生とは私達も不思議なご縁があった。
先生の若き学生時代の留学先が、私の実家のすぐ近くだったのである。
名古屋市中村区の大門という繁華街で、検事になられたご長男はそこで誕生。
先生にとっては、私の故郷が思い出深い大切な場所となった。
(ホームスティされていた薬屋さん)
そして時を経て、今度は娘が先生のマンションで暮らし、エジプトでのかけがえのない思い出を刻んだ。
娘が革命のため帰国した後、メッセージをいただいた。
「昨日は久しぶりに、あのマンションの様子を見に行きました。
とても綺麗に掃除されていたので、また住みたくなりました。ありがとうございます。
しかし千明さんが残した身の回り品を見たとき、なぜかこみあげてきたのです。
千明さんがここを離れても、千明さんの魂が部屋の隅々に生息しているような気がして
この先、私がこのマンションにいつか住み移ってもいいのかなと思いました。
こうなったら千明さんのためにキープしておこうと思ったぐらいです。できるものならそうしたいのです。
千明さん、あなたの魂はここにいるから、是非いつかエジプトのマイホームにもどってください!!」
(原文のまま)
(ベランダから見えるピラミッド)
このメッセージをいただいて、胸がいっぱいになった。
娘もエジプトへ戻りたいと強く願ったと思う。
そして来春、再び娘はエジプトへ向かう。
あの明るい日差し溢れ、ピラミッドが見守ってくれる心休まるマンションへ、戻ることを願って。