師走から正月と、2年越しでようやく読み終えた。
昨秋読んだ第1巻の続編で、2段組み640頁の大冊。「すばる」2001年11月号~2004年7月号連載。
物語~朝鮮人の父と日本人の母との間に生まれた重夫少年は、父の消息を追いつつ、母とともに上海で暮らしていたが、叔父(母の長兄)を頼って広州に移り住む。当時(1926年)の広州は、孫文が創生した国民党の本拠地であり、革命の機運に満ちていた。そして、同年7月、総司令官に蒋介石を抱く国民革命軍が北伐を開始する・・・
重夫は、香港の英国人校で学ぶことになるのだが、それは「頼りにならない味方より、立派な敵の方がよい。立派な敵には学ぶものがあるが、頼りにならない味方には何も学びとるものがない」という叔父の方針によるものであった。
そして今、「北伐」という中国革命に参加している父に会うために、国民党政権の役人やロシア軍事顧問団などの一団に紛れて、革命政府のある武漢へと旅立つ。
この間、ユダヤ/中国混血の学友、朝鮮政府役人の娘や軍事顧問団で働くロシア女性などとの交流を通じて、逞しく理知的に成長して行く。今後(第3巻)の展開が楽しみである。