文壇の大御所、故司馬遼太郎氏の「短編全集」全12巻の内、67~8年に記された第11巻を読みました。
同氏の執筆活動が最も旺盛だった40歳代の作品で、「豊臣家の人々」第5~9話に加え、「惨殺」や「故郷忘じがたく候」など、よく知られた短編が収容されています。同氏はこの時代、これらの短編の他、巨編「坂の上の雲」を新聞に連載していました。
物語~「淀殿・その子」天正11年(1583年)4月24日、北の庄城が落ち、母お市の方、義理の父柴田勝家は自刃して果てた。茶々(後の淀殿)ら姉妹三人は、敵方、秀吉の下におくられる・・・
綿密な時代考証と同氏独特の語り口で読者を引き込んで行きます。久しぶりに心地よい読後感を味わいました。一読をお勧めします。