玉岡かおるさんの力作「銀のみち一条(上下)」をとても感心しながら読みました。
時代は明治の後半、舞台は兵庫県の生野銀山。
新しい明治の女を志すハイカラ女学生と、銀山の近代化のために奔走する構内夫とが繰り広げる波乱万丈の物語。
先にご紹介した「切羽へ」や、「金魚生活」とはまったく異なり、史実を土台とした明治の青春群像を克明に綴って感動的です。
トモニマイリマス、アナタノ道ヲーーー。
鉱山の付属病院長の家に生まれた令嬢と一介の構内夫との間には、越えがたい階級の壁が横たわっていた。しかし、愛するが故に、その女(ひと)のためならば生死をも厭わず火の中に飛び込むことができる。日本人の魂がまだ健在だった明治を生きた人々の物語です。一読をお勧めします。