自然は微妙なバランスの上に成り立っている。
ということを、ここニセコに住んでみて初めて体験した。
拙宅の敷地西側の一角に、白樺の大木がある。
幹周りが2m近くもあって、この林の主的存在である。
しかし、小生らがここに住み始めて5年ほどした時分から、この大木の枝に葉が付かなくなり枯れはじめた。
当時、なぜ枯れるのかよくわからなかったが、町の自然教室でニセコの自然の成り立ちなどを学ぶ内、「林床をきれいにし過ぎた」ことが原因であることがわかった。
つまり、この辺は、その昔火山灰が固まってできた土地で、栄養分の少ない貧弱な土壌なのだ。
従って、林は熊笹が密生して樹木の落ち葉をひとつ残らず蓄え、それを(熊笹が)有機肥料に替え、樹木と分かち合い共生するシステムをとっている。
従って、林床から熊笹を駆逐し、さらに下草なども取り除いてきれいにしてしまうと、林床は落ち葉を蓄えることが出来ないから、結果として樹木の栄養が不足して枯れ出す。
拙宅では、これに気付いてから、この大木の近くまで拡張した畑を止め、毎年、晩秋には落ち葉を厚く敷き込むようにして来た。
その結果、以前は、大半の枝に葉が付かなかったが、今、改めて見上げると、まだ、一部枯れ枝も残るが、大部分の枝にはきれいな若葉を付け元気を取り戻したように見える。
私たちは、こうした自然の在り様をよく理解し、人間の勝手で(林床をきれいにし)自然にダメージを与えないようにしなければならないと思う。