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香落ち上手戦記 下手居飛車穴熊1  ~その3~

2019年06月18日 | 対局日誌
●第5図までの指し手
▲2四歩
△同 歩
▲8五銀
△同 歩
▲7九金寄


△8五桂の圧力に耐えかねた下手は自ら銀桂交換しました。
不利を自覚しているので、暴れることなく一旦▲7九金で離れ駒を解消し、チャンスを待ちます。
ここで形勢判断です。
駒の損得は上手「右桂馬5点+歩1点で合計6点」、下手「銀1枚で7点」と数えます。
玉形は下手の方が堅いですが、駒の効率は上手が上回っていますし、手番も上手です。
これを総合的に判断しますと、下手は香車1枚分のハンディを未だ失う事無く局面の均衡を保っていると言えそうです。
二段クラスになれば、こういう判断は出来る様になっていますので、▲7九金の様な手はいわゆる「つけを払った手」なのですが、実戦的に有効と思います。

●第6図までの指し手
△8二玉
▲6六歩
△7三金
▲6五歩
△同 歩
▲7五歩
△4六飛
▲同 歩
△3九角
▲6八飛
△7五角成
▲3一飛


居飛車穴熊攻略の主役は△3三角です。この角筋をいかに残しつつ、玉頭から攻撃するかが重要です。
しかし第5図でそれを実現するには歩の数が足りないんですね。それを促すのが自ら下手角筋に入る△8二玉です。
上手の角筋を遮る効果もある△6六歩は当然の一手に見えますが、実は上手から誘っています。
その後の手順をご覧頂ければお分かりになると思いますが、下手に攻撃をさせて歩を稼ぎ、△7五馬で制空権を得ました。
駒落ち上手はそういう技を使わってハンディキャップを補います。
対抗形の将棋は「玉頭戦が命」と下手が分かっていれば、この局面を上手に許す選択はしなかったでしょう。
また、盤面右側の桂馬と香車が戦いに全く参加しておらず、「もともと香車があっても無くても関係ない展開」にするのも上手の狙いです。

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