岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「一人で登山するな。」ということについて (その一)

2007-04-13 05:14:23 | Weblog
 先日、『あなたはいつも一人で登山しているようですが、「一人では登山するな。出来るだけ複数か集団で登山をしなさい。」とよく言われるのですが、このことについてどう思いますか。』というメールを戴いた。

 この主題については、常日頃、考えていることでもあったので、思いつくままに書いてみた。書いた結果、かなりの分量となり、一回のブログでは納まらないものになってしまった。数回に分けて掲載することにする。

 最初に断っておくが、私は自分を「単独山行をしている登山者の一人」であると考えている。
 高校山岳部の顧問を三十数年続けながら、「単独山行をしている登山者」とするには矛盾はあるが、それ以外の山行では圧倒的に「単独山行」が多いということも事実なのである。
 しかし、複数名で一緒にする山行が全くないかというとそうではない。
 今年の一月からの岩木山登山は、Tさんという相棒と一緒で、すでに四回も登っている。この四回の登山は、最近では味わったことがないほどに楽しいものであった。

 次が私の「一人で登山するな。」と最近、喧伝され、誰かによって意図的に醸し出されている風説に対する回答であるが、このような「気持ちでいる」程度の感じで読んで頂けると嬉しい。

 …「一人で登山はするな。」と言われると、私は「余計なお世話だ。」と言うはずだ。ただし、家族や親しい人の純粋な「心配」から発せられたことに対しては「ありがとう。一人でも大丈夫です。」と応じて、結局「一人」で出かけるだろう。
 それ以外の人(山岳団体、警察・消防、山岳雑誌、ツアー会社、登山教室、マスコミ関係者)たちからのものに対しては、「余計なお世話だ。単独山行の禁止なんておかしいでしょう。」と、強く反論すると思う。

 私の登山のスタンスは基本的には「単独山行(単独行とも言う)」である。それは、登山とは「自助努力に支えられた自己責任の世界で繰り広げられる行動・活動」であると考えているからだ。
 登山や山歩きをはじめてすでに四十数年になるが、この考えは今も変わっていない。単独山行が出来なくなった時には、私は「登山」を止める覚悟でいる。

 私が尊敬する登山家はラインホルト・メスナーと加藤文太郎の二人である。
・ラインホルト・メスナー (世界に14座ある8000m級の高山をすべて登頂した人。二、三山は弟と行動をともにしたが殆どが単独行であり、無酸素登山・酸素ボンベを使用しない高度順応型の登山・私もこの方法で、1988年に7000m近くまで登った。)
・加藤文太郎 (新田次郎の『孤高の人』のモデルになった人物。昭和11年1月に槍ガ岳北鎌尾根で不帰の客となる。「生まれながらの単独行者」といわれる加藤の遭難は新聞でもかなり大きく取り上げられ、「国宝的山の猛者、槍で遭難」と書いたものもあった。皮肉にもこの時、加藤には同行者がいた。山岳関係者のなかには、加藤にヒマラヤをやらせてみたいと考えていた人も多かった。)

 私は現在、集団としての、ある山岳会に入会しているが、その理由の一つは、私が創設メンバーであるということ、造った以上はそれに対して責任があるから続けている。
 もう一つは、山岳会を組織している会員一人一人が、能力的にも力量的にも単独山行が出来ること、それが集団となった時には「最大の力」を発揮出来るものになるだろうと考えているからである。
  だから、私は「単独山行」が出来なくなると山岳会を脱退して、山登りを止めようと決めているのである。
 なぜかと言うと、『単独山行の限界を認識して初めて「集団」に依拠した登山に移行するべきもの』と考えているからである。
 私は単独山行の限界も体験していると考えている。せめて、もう一人の仲間がいたら「これは出来たのに」とか「あれほどの苦労はしなくてもよかったのに」という経験を数多くしている。
                            その二に続く。
 
 明日、14日は「岩木山を考える会」の2007年度総会です。
皆さん、是非参加して下さい。会員でない人の「参加」も可能です。
 本会ホームページのとびら画面中に「14日は総会…云々」という「動く」見出しがあります。それをクリックすると詳しい案内が表示されます。そこには議案も掲示されていますので、それを一読してから参加されることをお願いいたします。

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