岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

日赤奉仕団岩木山パトロール隊が実施した『冬山訓練』に参加(2)

2009-03-02 05:15:18 | Weblog
(今日の写真は2月28日に行われた「岩木山パトロール隊『冬山訓練』」での一コマである。一緒に参加したTさんが撮影したものだ。これは、「雪洞」を実際に造って内部から掘り出された雪を排出しているところである。)

 この訓練には本会はじめ、パトロール隊隊員、消防関係者、それにスノーモービルを公的に組織して、冬期山岳遭難救助・捜索に協力したいと考えているグループが参加した。参加者の所属別に見ると「スノーモービル」関係者が一番多かったようである。総勢35名となった。
 また、「スカイライン株式会社」も全面的に協力してくれた。「スカイライン株式会社」はこの日のために、2月9日から「圧雪車」を出動させて「ライン」の整備をしてくれた。既に、この時点で「救助・搬出」を含む「訓練」の原初的で基本的な部分が遂行されていたことになる。有り難いことである。
 これで、「スノーモービル」の移動が迅速と同時に「安全」に行えたのだ。なお、当日も「圧雪車」で人員や訓練用の物資および道具を運搬して、登下山をスムーズにしてくれた。同行取材の記者もこの「圧雪車」に同乗して訓練場所の「スカイラインターミナル」まで行った。当然帰路も同乗した。本会幹事のKさんもこの「圧雪車」に同乗した。ただし帰りにはスキーで下った。

 私とTさんは「スノーモービル」に乗せて貰って行った。2人にとっては「初体験」だった。その速いこと、帽子が飛ばされそうになり、思わず、深く被り直したくらいだ。
 私のザックには雪洞内で使うための寝袋やマット、ガス、火器、コッヘルなどが入っていて重く嵩があった。それを背負っている私が「スノーモービル」の後部に乗っているものだから、運転が難しそうで、ハンドルが横に揺られていることがよく分かった。その都度、倒れそうになるのだが、さすが「運転技術」は大したもので、ぐんぐん登って行った。しかし、スピードは安全のために「抑えて」いたらしく、数台の後続「スノーモービル」に追い抜かれた。
 あとで、運転している人に訊いたら、「積雪状態にも因るが今日のような圧雪されたルートだと、スカイラインの入り口からターミナルまでは15分程度で行ける」ということだった。
 距離は大約10kmである。実に速い。仮に、スキーやワカンでこの10kmを登ったらどの程度の時間がかかるだろう。スキーだと3時間以上、ワカンだと4時間以上はかかるだろう。もっと、距離の短い「岳登山道尾根ルート」を登ってもスキーで2時間30分、ワカンだと3時間はかかるのである。

 「山岳遭難救助」の基本であり、もっとも重要なことは「速く行動を起こし、迅速に救助すること」である。「雪崩遭難」には特にそのことが求められる。そのために、これからの「捜索・救助活動」には、この「スノーモービルの速さ」と「機動力」は欠かせないものだろう。

 私は数年前から「捜索・救助」に関わる「連携組織の構築」を岩木山パトロール隊に提言してきた。つまり、こういうことだ。
 「遭難」が発生したという時に、あちこちに連絡を入れて「連携組織の構築」を図るのでは、それだけで「時間」がかかり、行動をおこすことが「遅れて」しまう。
 だから、あらかじめ、「連携組織の構築」しておく必要がある。
 中心になる組織は「岩木山パトロール隊」である。これが指揮系統の要に位置する。その脇には自然保護や岩木山を熟知した登山者集団を配置する。それらと対置させて「捜索・救助」活動の機動的な組織として「スノーモービル隊」を設定する。また、「スカイライン株式会社」と「鰺ヶ沢スキー場」も「連携組織」として参加して貰う。
 事前に「捜索・救助」活動の「ベース」となる場所を決めておく。岳・百沢尾根エリアの「ベース」は「スカイラインターミナル」である。
 長平・追子森尾根エリアは「鰺ヶ沢スキー場」の上部辺りとする。もう一つは赤倉・弥生尾根エリアだが、このルートには「既存」の施設はないので、「ベース場所」と、そこまでのルートを開拓しなければいけない。
 私は、「スノーモービル」が登ることが出来るルートであって、しかも「植生破損」などの被害を最少に抑えることの出来るルートは、弥生から水無沢左岸尾根を通る「古い登山道」跡沿いがいいと考えている。
 もちろん、「ベース」となる場所は赤倉尾根の西に広がる水無沢の若干なだらかな「標高1200m」程度のところである。
 「捜索・救助」に関わる人間は圧雪車やスノーモービルで、先ずはこの「ベース」に集結した上で「捜索・救助」に向かうことになる。

 岩木山パトロール隊はこの「構想」を実体あるものにするために、昨年からスノーモービルの参加依頼をして「救助・搬出」の訓練を実施しているのだ。
 もう一つ、具体的な提案をしたい。それは、連携組織の人たちにそれぞれのベースまでの「ルート」の詳細を知って欲しいということである。
 特に、「スノーモービル」にあっては、そのルートでの実質的な「走行」訓練を実施して欲しいということである。
 そのために、青森県自然保護課、津軽森林管理署、スカイライン株式会社、鰺ヶ沢スキー場などの関係機関が、冬季の数日間を、「連携組織」に登録してある人たちへの「スノーモービル」での入山を許可して貰いたいものである。
  
 今回の「冬山訓練」にも、「スノーモービル」を「愛好」する人が十数人参加した。「ビバークの仕方」「雪洞の造り方」「ゾンデ棒の扱い方」「弱層テスト」などに深く強い関心を寄せていたように、私の眼には映った。
 雪洞造りの「雪の掘り出し」に一番労力を提供してくれたのは「スノーモービル」の人たちであったように思えた。今日の写真に写っている人の大半は「スノーモービル」関係者である。
 「搬送訓練」では「アキヤボート」2艘、それにシートボートなどを「スノーモービル」が牽引して滑走する見事な連係プレーを見せてくれた。(明日に続く)

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