岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

ザゼンソウの不思議・ミズバショウ沼自然(植物)観察の視点

2007-05-03 06:02:50 | Weblog
ザゼンソウの不思議・ミズバショウ沼自然(植物)観察の視点

 ザゼンソウは、原始的なサトイモ科植物で、湿地に生えることや、早春の開花植物で花の後に葉が伸び出すことなど、ミズバショウと類似点も多い。
 その一方で、違う点も多くみられる。例えば、ザゼンソウは、花に悪臭があり、その匂いに誘われてハエがやって来ることや、自家不和合(同じ個体の花の花粉では、受粉してもタネができない)などが異なる。

 だが、もっとも興味深い違いは、昨日も少し触れたが「発熱するか・しないか」である。植物が発熱するの?と不思議に思う人も多いだろう。
 いくつかの植物では花が咲く時に熱を発することがある。
花が発熱する現象は、ハスやサトイモ科植物で知られており、とくにザゼンソウが有名である。この植物は早春の寒さの中で、花は15~35℃(平均して20℃)の温度を保っている。
 
 さて、サトイモ科植物は、どうやってそんな高い熱を発生さているのだろうか。

 それは、花のひとつひとつの細胞の中にある「ミトコンドリア」と呼ばれる「エネルギー発生器官」の働きを活発にさせることで、高い熱を作り出しているのである。この時、細胞の酸素消費が大きくなり、呼吸が活発になるのだそうだ。

 それでは何のために熱を出すのだろうか。
 これには次の三つの理由が考えられている。

1.虫を誘う匂いを、強く放つため
 花の匂いは、その虫を誘うためのものである。その匂いを広めるためには、花が温かいと都合がよい。
2.あたたかさで、虫を誘うため
 虫の体温はとても気温の影響を受ける。寒くなると虫は動けなくなるので、温かい花は虫にとってとても魅力的である。
3.寒い気候の中で自分(の花)を守るため

 座禅草は岩木山では生息地が少ない上に、生息数も少なくなってしまった。山麓の沢沿いの湿地が畑や造成地になってしまったからである。

 ところで、このミズバショウ沼公園で植物分野の野外観察をする場合、どのような見方ができるのだろうか。次にまとめてみた。
 この「見方・視点」にそって観察すると2時間以上は必要になるはずである。

? 広い範囲で眺めて、自分が今いるところと観察地との見え方の違いをとらえよう。
? そこの自然のおよその状態(植生=そこに生えている植物をひとまとめにして見たもの)を把握しよう。
「森林か草原か、広葉樹林か針葉樹林か、草丈の高い草原か低い草原か、沼地か湿原か」という見方は草木の名前が解らない時でも、場所の自然を記録する上で役に立つものである。
? 沼が湧き水なのか沢からの流入なのか、水源をとらえ流出口も確認し上流下流の地形、住宅地などとの関わりもとらえよう。
? 沼周囲の木道をゆっくり歩いて岸辺の植物に注意し、「見て聴いて嗅いで触ってなめて」みよう。
 その中で…
a 歩道の沼側と陸地側に違いがあるだろうか。
b 水面や水際に植物は生えているだろうか。
c 樹木の背丈と間隔と広がり、葉のちがいはどうだろう。実や種子はついているか。
d 木道下の湿地の草や花を見てみよう。葉の大きさや形のちがい、花の色はどんなもので何が多いだろうか。
e 実はついているか。色はどうだろう。種はあるだろうか。
f 春からの花の名残をさがしてみよう。
g これから咲き出すつぼみのものはあるだろうか。
h 樹木の花にも目をやろう。
i 枝の張り具合や傾き、幹の模様や付着・寄生物に注意しよう。
j 優占樹木や特徴づける樹木はどんな「木」だろうか。
…などに目をこらそう。

? 沼が何のために利用されてきたのか、その痕跡を植生からさぐろうう。
? どんな人工物に出会うだろう。自然の中の人工物に注意して適否さぐろう。観察地内の人工物と景観、植物との関わりを考えよう。
? 沼周辺の植生と盛土芝生部分の植生の違いに注目しよう。芝生の上は裸足になって歩いてみよう。そのほかに形や色の違いから他から移植されたものだと思えるものはないだろうか。
? 沼の盛土側の植物と木道奥の植物の目に見える違いを発見しよう。
? 昆虫や動物・鳥との関わりから植物を見てみよう。
? どこにでも生えているもの、咲いているものに目をこらそう。

以上の視点での観察が出来るので「自然観察会開催地」として十二分に、その条件を整えているといえるだろう。

 皆さんにお聞きします。次のことについて情報のある方は本会事務局、三浦(?0172-35-6819)お知らせ下さい。

 先日の調査で「沼の岸辺の水面」に弱り切って「横向き」状態になり、浮かんでいる「ワカサギ」に似た小魚を2匹発見しました。
 これは「ワカサギ」で間違いないでしょうか。「ワカサギ」はもともと沼に生息していたものでしょうか。

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