岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「ギャラリーNHK」企画展「岩木山の花々」と高田大岳登山(フロク)

2007-07-23 06:59:45 | Weblog
 「岩木山の花々」写真展の準備がほぼ完了した。もう少し早く終えることが出来るはずだった。ところが、NHKからの追加依頼があったのだ。会場2階のホールにも期間中展示したいので、いくらか写真を「多め」に用意してほしいということである。
 今回展示する写真のA4版と6切りは、すべて自分でプリントしたものである。私が使っているプリンターはエプソンのPM-4000PXで、用紙は顔料専用のフォトマット紙である。これは光沢感がない。つや消しされた落ち着いた質感と風合いが私の好みにあったので、使っている。
 写し手も、印刷するのも、文章を書くのも、その他の会場貼付物を作るのも、会場のレイアウトをするのも、期間中会場を管理し、受付をして、来場者に説明・解説をするのも、来場者の質問に答えるのもすべて、自分でしなければいけない。写真も「手作り」だから、枚数が増えるとそれだけ、手間暇がかかり、忙しくなる。
 とか何とか言っていても、準備は99%完了した。

 そんな中、土曜日21日に、八甲田山系の高田大岳に登ってきた。谷地温泉からのピストンだった。本当は谷地温泉から高田大岳を越えて、小岳から酸ヶ湯温泉に下山したかったのだが、「自動車(足)」の都合でピストン登山となった。
 とにかく、20数年ぶりの高田大岳だった。青森県高体連山岳競技の会場ルートの一つだったので、毎年生徒と一緒に登った山である。懐かしかった。白い小花のイソツツジも歓迎してくれた。感想は沢山あるが、それは次の機会に書くことにしよう。
 ただ、一つすごく感激したことと、その裏返しであるが、大いに気になったことがある。
 それは、「登山道は昔のままで人工的な整備はまったくされていなかった」ことである。実に嬉しい。ぬかるみがあり、藪こぎがあり、枝にザックをとられ、石や岩角、それに木の根に足をとられながらの登りである。
 下りは藪で「足を置く」場所が見えず、転倒を防ぐために、枝や笹だけを手がかりとして全身を支え、慎重にという訳である。これが「本当の登山」というものだと思い本当に嬉しかった。このような場所ではストックはただただ「邪魔」なものである。それを証明するようにストックの落とし物(ひょっとして邪魔なので置いていった?)があった。他に、開栓していない清涼飲料500mmプラボトル一本も見つけた。こんなことになるので「整備」を叫ぶのかも知れない。私はゴミ拾いだ。両方とも腐らない「異物」なので持ち帰った。
 その上、下山時には「雨」の洗礼まで受けるという、さらに嬉しい「破目」になった。
 そして、思ったのだ…。
 「南八甲田山の登山道よりも自然度が高いなあ。(歩きやすさを求める登山者の思考では、「荒れている」となる)。それなのに、どうして、南八甲田山の登山道整備を主張する登山者や山岳団体が高田大岳の登山道の整備を主張しないのだろう。」と。自然にははっきりとした摂理がある。登山という自然を相手にする行為を愛する者たちも、それ故に、自分たちも「自然に対等な摂理を持って物事をとらえなければいけない。」だろう。自分たちの「勝手」や「自己矛盾」は許されない。

 八甲田山のことを書いたついでに、今朝は写真展の一枚、キンコウカを紹介しよう。
 あの、毛無岱湿原に咲くキンコウカである。岩木山にはキンコウカは生えていないと思っている人は多いだろう。ところが、ちゃんと咲いているのだ。

キンコウカ(金光花・金黄花)
         ユリ科キンコウカ属の多年草

垂水に洗われ、禊ぎをして一途に祈る敬虔な小花たち

 友人のTさんと「キンコウカというと、あの八甲田・毛無岱にたくさん咲いていて、黄金色に染めているあれでしょう。残念ながら岩木山では見たことがないので、ないものと思っています。」「実は、私は見ているんですよ。」…という会話をした。
 その後、咲き始める季節を待って二人で出かけたのである。ある沢を詰めて行くと、それほど高さも斜度もない道の法面を思わせる草付きに出た。見上げるとそこには確かに、「黄色の細い花びらが太陽に反射して、金色に輝く」という花名を与えられた、垂水に洗われ、禊ぎをして一途に祈る敬虔な小花たちのキンコウカが生えていた。キンコウカという名前は、その上花の色が黄金色をしているので名付けられたと言われている。
 これは北海道、本州中部地方以北の湿地や岩場に見られるものだから、岩木山で見られても別に不思議ではない。
 星形の花自体は小さいが、毛無岱ではしばしば大群落をつくり、黄色のカーペットを敷いたようになるので、遠目にもその存在を確認できるが、目の前に生えているものは写真からも分かるようにかすかに水が流れる滝状の岩盤に張りつくようにして咲いているのである。
 あまりの違いに一瞬呆然としたが、間違いなく、それはキンコウカであった。私のメモ帳「岩木山の花々」にはまた一つ花名が増えた。

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