岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

草花や樹木の花の遅咲きは自然が鳴らすひそやかな警鐘か(その4)

2007-10-20 06:06:48 | Weblog
(今日の写真はある年の11月8日に岩木山で発見した「クマ」の足跡である。)

 足跡は本当に「今しがた」歩いたものだった。型くずれはないし、雪も積もっていない。この足跡を辿ると、きっと「クマ」に出会えると思った。そう思って「はっと」した。もし、「熊撃ち(ハンター)」)がこの「足跡」を見つけたら、おそらく「撃ち殺して、捕獲」するだろう。捕獲した後で「害獣駆除」と理由付けを行政から事後承諾を受けると、法律的には何ら「問題」にならない。
私は、そんなことを考えたのである。そして、写真に収めた後で、この「足跡」を、かなり長い距離に渡って、私の「靴」で踏み消したのである。
 下山の時もそこを通ったが、幸い午後から「暖気」となり、雪が溶けて「足跡」はほぼなくなっていた。「ゆっくり冬眠しろよ」と願いながら、どこかでほっとしていた。

   ☆ 草花や樹木の花の遅咲きは自然が鳴らすひそやかな警鐘か(その4)☆
(承前)

 10月10日も14日も、山頂に設置された「鐘」を多くの登山客たちが、歓声を上げながら鳴らしていた。山頂までの登山道沿いには、まったく時季外れで遅咲きの「ミヤマキンバイ」が「寒そうに」は黄色の花びらを震わせていた。
 この人たちは、登ってくる途中、「ミヤマキンバイ」に気づかなかったのだろうか。確かに10日は霧雨で視界は余りよくなかったし、14日は強い北西からの風が吹き荒れ、しかも時折、雲に覆われて周囲がよく見えないという事情もあった。ヤッケのフードで顔をすっぽり覆っているので視野狭窄で見えない場合もあるだろう。
 しかし、「山になれている者」は、どんな時でも、特に「異種」や「異物」を目敏く見つけるものだ。

 山頂に設置されている「鐘」の意味も知らずにただ、連打する前に、この時期に「咲いているミヤマキンバイ」が発する「警鐘」に思い及んでほしいものだと、密かに思った。
ところで、「山頂に設置されている鐘」にはどのような意味と意義があるのだろう。私は、次のように考えている。
 その1つは、「岩木山でこれまでに雪崩や落石で亡くなった人たちの鎮魂のため」であり、もう1つは「救難信号:10秒間隔で6回鳴らすことで(救助を待つ)という意味になる」ということである。
 連打している人の何割が、この意味を知っているのだろうか。

 「遅い」のは草木だけに見られるものではないようだ。明らかに動物の世界にも見られている。そう言えば、昨年「冬眠」出来ないクマのことが話題になっていた。
 数年前に、5cmほど積もった雪の上に「クマの足跡」を発見したのは11月8日の午前8時頃であった。当時でもその時季には「冬眠」前のクマが「冬眠前の餌」探しのために歩いているのであった。今年はもっと遅い時季、12月に入っても「彷徨」しているクマに会えるかも知れない。

 ところで、毎日新聞の「余録」(紅葉前線)(10月18日付)には…
 『(前略)…実際に気象庁の生物季節観測の対象になっている秋の鳥は、キーッと甲高い声を青空に響かせるモズである。その初鳴きが全国の気象台などの共通の観測項目になっていて、たとえば今年の仙台のそれは10月2日だ。なぜか平年よりも38日遅かった。
 ▲すでに北日本の高地から南下を始めた紅葉前線だが、生物季節観測でいう紅(黄)葉日と落葉日は気象台などで定めたイチョウとイロハカエデの標本木が基準となっている。ついでながら先月末の気象庁の予想では、関東の今年の紅葉の見ごろは平年より5日以上は遅い見通しという。
 ▲1953年に始まった生物季節観測でこの50年の長期的な変化を見ると、カエデの紅葉は2週間以上も遅くなっている。(中略)身近な生き物たちは地球温暖化の確かな証言者である。』…とあった。
 
 昨日までは、朝の外気温が10℃以下で続いていた。その中で、一番低かったのが、3.7℃だった。「やはり秋なんだなあ」と、すべてが「遅い」と言われる中で、ひょっとしてこれからは「正常な季節」の推移を示してくれるのかなあと思っていたが、何と今朝は「12℃」である。
 大陸から「冷たい」前線が近づいて、今日は列島を通過するという予報だった。気温も下がると予想したのだが、今朝は思いがけず「温い」朝となった。(この稿はこれで終わり。)

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