岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「ムラサキケマン(紫華鬘)」とは言うが… / 「弘前公園」は熊野神社とつながっている

2010-05-12 05:13:30 | Weblog
 (今日の写真は、ケシ科ケマン属の一年草「ムラサキケマン(紫華鬘)」である。「ムラサキケマン」は日本各地に生育する極めて普通に見ることの出来る花である。
 もちろん、岩木山の山麓にも生えている。よく見られる場所は「小森山」近くの道路端である。恐らく、今頃盛んに咲いていることだろう。
 だが、これは「岩木山」のものではない。これは「加藤川」が「平川」に流れ込んでいる少し手前の農道の縁に咲いていたものだ。)

◇◇「ムラサキケマン(紫華鬘)」とは言うが…その色具合いは微妙だ ◇◇

 …この「ムラサキケマン」がいつも見せる普通の「紫と白」という色彩だったら、「何だムラサキケマンか」といって、おそらく「カメラ」を向けることはなかっただろう。
 それでは何故、カメラを向けて撮影し、今日の写真に登場したのだろうか。それは、その色具合にあった。ただ、この「ブログ」に載せると「実際の色具合」が違うものになることがしばしばなのだ。
 色具合、「ムラサキ」という名を戴いているから「紫」色が基本で、「紫系」であることには変わりはない。だが、その紫色の明るいこと、非常に「赤」に近い。明るく淡い臙脂系の暖かい色具合だ。
 花茎の頂点部分のものは、「距」までを濃いピンクで染め上げている。下部のものはその「距」の下地に淡いピンクの水彩絵の具を染みこませて、「白」を微かに浮き上がらせている。
 こうなると、これは、もう一幅の「絵」である。殆ど人の歩かない川沿いの堤防に造られた農道、そのニセアカシアの並木の道端に「展示」され、陳列されている「絵」は多くはない。ほんの数枚を数えるだけである。
 そこは自然が、そして、春の女神が描いた「絵の展覧会」場であるに違いない。「ムラサキケマン」に込められたこの色彩は人の手に依るものでは決してないし、「人」にはこの色具合を出せないだろう。
 それに、この葉の色もいい。淡い緑の葉の鋸歯には鋭角がない。それぞれが陽光の向きに反っていて丸みを帯びている。何という優しさであろう。思わず指先でそっと触れたくなる。その上、淡い臙脂の縁取りまでがしてあるのだ。自然の造化は微妙に手が込んでいて奥が深い。
 私は、写真を2枚撮っただけで、あとは10分ばかり、この数枚の絵をじっくりと鑑賞した。春は優しい。そして、美しい。

 「ムラサキケマン」は、秋に芽生える。そして、春に花を咲かせる。全体が「柔らかい」感じのする草である。事実、花も茎も葉も「軟らかい」のである。折れやすく「潰れ」やすい植物だ。
 「ムラサキケマン」は平地や山麓の日陰のやや湿った所、畑の土手などの、直射日光がいくらか制限されているような場所に生える越年草だ。葉は 2、3 回羽状に細かく裂け、裂片には更に深い切れ込みがある。
 花は紅紫色が主体であるが、時には「白色」のものもあるし、「白と紫」の混じった花もある。長さが約2cmの筒状花である。
 和名は「紫色のケマン(華鬘)」であり、別名を「ヤブケマン(藪華鬘)」ともいう。「華鬘」というのは仏殿の欄間などの装飾具のことだ。
 白花で先端だけ紫色のものを「シロヤブケマン」、全部白いものを「ユキヤブケマン」というそうである。それでは「今日の写真」のものは、何と呼べばいいのだろうか。「ベニケマン(紅華鬘)」などはどうだろう。

◇◇「弘前公園」は熊野神社とつながっている…キビタキとメジロがやって来た(1) ◇◇

 この「題」を見て、何を馬鹿なことを言っているのだという人もいるだろう。実際1kmほどは離れている。「つながって」はいない。
 無理に「つなぐ」と「陸続き」ということである。これは理由にはならない。ただ、物理的につながっていることもある。それは「熊野神社」の裏手を流れる水田ための用水堰である。これは弘前公園の西壕が水源であり、そこから流れてきている。その昔、「熊野神社」から北側の裏手は「田んぼ」だったのだ。町名である「田町」もそれに由来する。

 …だが、空を飛ぶことの出来る「野鳥」たちにとっては「空間」にも連続するラインが存在する。羨ましい限りである。「野鳥」たちはこの世界に「区切り」のないことを教えてくれる。渡り鳥はまさにそうである。風も同じだ。特に偏西風はそうだ。
  
 先日、私の狭い庭の若葉を出したばかりの「桑の木」に「キビタキ」が一瞬だが、止まっていた。すぐに、藤の蔓を伝い、せわしく動きながら「沈丁花」の花群れに潜り込み、「満天星(どうだんつつじ)」に移って、次に我が家の庭では一番「高木」である「モミジ」の枝に止まった。
 少し、じっとしていてほしい。じっくりと観察したいと思ったが、彼女は忙しく動いて、間もなく視界から消えてしまった。
 「キビタキ」は大体、スズメと同じ14cmほどの大きさである。雄は黒い羽根に白い筋、目の上には黄色の線があり、くちばしの下から腹部にかけて、オレンジに近い黄色、さらに下部は「白」であり、よく目立つ鳥である。「黒い羽に黄色の胸」と覚えておくといいらしい。だが、雌は「上面が褐色で、腹部は褐色がかった白色」という色合いなので、非常に目立たないのである。
 庭にやって来たのは雄だ。だから彼女とは呼べないが、私にとっては、庭に一気に初夏を運んで来た女神に思えたのである。
 もちろん、岩木山でもよく見かけるし、鳴き声も聴く。当然、弘前公園にもいる。樹木の低い梢に止まって「囀って」いることが多く、先日植物園を訪れた時も、その素晴らし「囀り」を耳にしている。まだ見たことはないが、林の中を飛ぶ虫を「フライングキャッチ」するそうである。

 …何だか、力が抜けてぼんやりしたままで、まだ、庭を眺めていた。恐らく「虚ろな眼」をしていたであろう。(明日に続く)