岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

野鳥の名前とその鳴き声をもっと知りたい

2010-05-03 05:12:31 | Weblog
(今日の写真は、スズメ目シジュウカラ科の「コガラ(小雀)」だ。岩木山百沢登山道尾根標高1000m付近の疎林帯で撮ったものだ。
 亜高山帯の林で繁殖し、冬は他の「カラ類」の群れに混じる。別名を「コガラメ」とか「十二雀(じゅうにから)」というらしい。
 これは北海道、本州、四国、九州の山地の林にすむ留鳥で、体長が約12.5cmで、私たちが見慣れている「スズメ」よりかなり小さい鳥だ。)

◇◇ 野鳥の名前とその鳴き声をもっと知りたい ◇◇

 岩木山に登り、山麓の森を歩く。山頂部の岩稜帯には、そこに棲む野鳥がいる。その下部のハイマツ帯にも、そこに棲む鳥がいる。「ビンズイ」や「ホシガラス」だ。
 このように、登山をする者にとって野鳥との出会いは極めて「自然体で自然を実感する」ことの一つである。これは、登山者そのものが「自然の一部」になっていることの証左でもあるだろう。
 残雪の疎林、「コガラ」との出会い、先ず、「コガラ」はその鳴き声で、私を迎えてくれた…。
 「コガラ」の「さえずり」は「ヒッツーヒー、ヒッツーヒー」と体の割にはかなり、「甲高い」声であり、澄み切った感じがする。一方、「地鳴き」は「ツツッジャージャージャー」と結構「かしがましい」のである。
 よく一緒に群れをなして同じく森の中を移動している仲間には、「シジュウカラ」科の「ヒガラ」や「シジュウカラ」がいる。
 これらとは非常に似ているので、「見た目」にはなかなか区別が出来ない。だが、「コガラ」の頭部が「ベレー帽を被っているように見えること」と、「喉」の部分の「黒」が小さいことで区別する。また、「ヒガラ」の雄の頭部には冠羽(頭のてっぺんに見える小さな三角形の羽)があるし、「シジュウカラ」の「喉」の部分には「黒いネクタイ」を付けたように長い黒の部分があることでも区別が出来る。
 一般的には「針葉樹などの多い山地の林」に棲んでいるらしいのだが、この日はダケカンバやミズナラ(ミヤマナラ)の疎林にいたのである。
 もちろん、厳冬期には山麓の林や里山にも降りることもあるらしい。いわゆる「カラ」類は「林内」では棲み分けをして、餌場が競合しないようにしている。
 「コガラ」は夏季には林の下層で、冬季には中層で餌を採ることが多い。餌は「昆虫やクモ類」だ。巣は、樹上の枝などではなく「朽ち木などに穴を掘って造る」とされている。
 私は「山」で出会える野鳥の中で一番好きなのは「スズメ目エナガ科」の「エナガ」だ。「エナガ」については、昨年か一昨年のブログで書いたので、今日は触れない。
 だが、「カラ類」も好きである。「カラ類」の中では、特にこの「コガラ」が大好きである。さえずりも可愛いし、体の白と黒のコントラストもまたいい。それに小さいことがいいのだ。「小さい」ということは「可愛らしさ」の原点だろう。
 エナガもそうだが「人」を余り恐れない。本当に近くまでやって来る。雪の上に腰を降ろして休んでいると、傍らに置いた「ザック」に止まったりするのだ。そんな時には、間近で見ることになるが、実に小さい。手のひらにすっぽり入ってしまうほどに、本当に小さいのだ。
 こんなに小さいのに、強い風の中でもよく飛ぶのである。何だか、大したものだと感心してしまう。恐らく、相当に大変なことなのではないだろうか。
 それはそれとして、とても、人懐っこくて、足元とか近くにも、結構、平気で寄って来るのである。もちろん、「こちら」が、静かで「不動」の状態にいるという条件下のことである。観察会など大勢で歩き、おしゃべりをしていては「足元」に寄ってくることなどは到底ないだけでなく、それこそ「飛び立って逃げて」しまうのが落ちだ。
 その日の「コガラ」との出会いは、私に「ヤマガラ」、「シジュウカラ」、「ヒガラ」などとの出会いをも希望させたのだ。何故かというと、「コガラ」はこれらと混群を作ることが多いからである。
 焼止り小屋からの下山途中、そして、「石切沢5号砂防堰堤」付近から小森山南麓を辿って国民宿舎「岩木荘」バス停まで、私の目と耳は「ヤマガラ」、「シジュウカラ」、「ヒガラ」を追い続けていた。だが、その出会いはなかったのだ。
 しかし、嬉しいかな、小森山の畑地に出た時、そのまだ何も植えられていない「畑地」から、数十羽の小鳥が飛び立って、道路向かいの「ミズナラ」に止まったのである。それは「マヒワ(真鶸)」の群れだった。
 そして、その飛び立った後の畑地には、まだ野鳥が数羽いたのである。それは、ちょっと見には「オリーブがかった褐色で、胸の周りが橙色を帯びた赤」という鳥だった。
 私は「野鳥図鑑」をよく開く。だから、野鳥の名前だけは結構インプットされている。だが、残念ながら、その名前と姿、名前と鳴き声がまったく一致しないし、分からない。 だが、この鳥の姿は私に「アカハラ(赤腹)」という名前を簡単に思い出させたのだ。これは「スズメ目ツグミ科」の「アカハラ」だったのだ。「カラ類」に比べたら遙かに大きな鳥だ。彼らよりも10cmは大きい。4月半ばにやって来るらしい。ちょうど林縁にあたる畑地で、落ち葉をひっくり返して、何かを食べている。蜘蛛やミミズなどを掘り出して食べているのだろうか。

 …それにしても、野鳥の名前とその鳴き声をもっと知りたいと思うのだ。それは、もっともっと「自分を自然の一部に溶け込ませたい」からだ。
 ところで、「コガラ」は、俳句の世界で、季語としては「夏」の鳥である。私には「春」でもいいと思われるのだが、どうしてだろうか。