岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

ミズバショウ沼のすばらしさと今後の課題

2007-05-04 05:56:13 | Weblog
 ミズバショウ沼のすばらしさと今後の課題

 ミズバショウ沼のすばらしさは、他に…

1.植生が豊かであり、早春から秋まで花の観察ができること。
2.草本・木本の花が多様に見られること。
3.水性昆虫から草原、林間に住む昆虫まで他種多様であること。(ゴマシジミとワレモコウ、トンボと林、ゲンジボタルと林。ホタルと水、餌のカワニナ。)
4.ブルーギル、コクチバス、ブラックバスなどの外来魚は確認されていないこと。
5.岩木山麓から絶滅したセンフリ(千振)が張られた芝地には回復していること。(絶滅危惧種のオキナグサの回復も夢ではない。)

…なども挙げられる。

 一方で、ミズバショウ沼でこれまでに開催された主な観察会や講習会は、本会主催の自然観察会や日本自然保護協会自然観察指導員養成講習会など、おおよそ20回である。
  単なる「観光地」として使い捨てにされる場所ではないのである。

 ミズバショウ沼公園の今後の課題としては…

1.上流部を整備して沼の水源を確保すること。
2.隣接する畑地からの影響を最少にする工夫と方策をとること。
3.公園のお金をかけない整備と管理。地区住民とボランテア団体(個人)との連携。樹木名票等。
4.来園する人たちへの無理のない案内と自然公園内でのマナー向上教育。
5.岩木山の案内と教育施設である岩木山トレイルセンターとの連動的な活用法。
6.沼の北西から北東にかけて在来樹種を植栽して林をもう少し広げる。    
7.ランやオキナグサの回復を図る。
8.ミズバショウ沼農村公園に見られる特定外来生物・要注意外来生物(環境省制定)の取り扱い(調査と駆除)を早急に決定し実施に移る。

…などが挙げられるだろう。
 
 次に「岩木山を考える会」が調査・確認した「外来生物法に指定されているもの」を掲載する。

■特定外来生物■
・魚類のオオクチバス・コクチバス・ブルーギルは今のところ確認されていない。釣 り人5人からの口頭調査による。
・爬虫類のカメツキガメも確認されていない。
・甲殻類のアメリカザリガニはいるという。
・植物
 オオキンケイギク・オオハンゴンソウ

■要注意外来生物■
・植物
 セイタカアワダチソウ・キショウブ・ハルジオン・ヒメジョオン・キクイモ・オランダガラシ・メマツヨイグサ・コマツヨイグサ・ヘラオオバコ・アメリカオニアザミ・ブタナ・オオオナモミ・アメリカセンダングサ・ハリエンジュ(ニセアカシヤ)・オオアワガエリなどだ。
 おお、何と多いことか。
 
 本当の「美しい国、日本」とは…
 
 外来生物(植物)の侵攻は、まさに目を覆いたくなるほどの様相である。都市部の路傍や空き地にはじまり、高山まで、彼らの生命力は旺盛で、侵攻力は留まることを知らない。
 在来種(ずっと昔から日本に生えている植物)は、その住み場所をどんどん追いやられて、生息域を狭めているし、数も激減している。
 岩木山の山麓ではほぼ、在来種の「エゾタンポポ」は見られなくなってしまった。外来種の「西洋タンポポ」に駆逐されたのである。今や「エゾタンポポ」は山麓から山腹部に追いやられている。しかも、数が少ない。ある登山道ではわずかに「二株」しか確認されなかったのである。まさに、在来種「エゾタンポポ」は「風前の灯火」なのだ。
「外来植物」という分厚い図鑑がすでに数冊も発行されているほどなのである。私ですら2冊持っているくらいだ。
 早秋の植物から秋遅くまで、日本のいたるところで見られる。在来種は今や、日本の植物界にあっては「弱者」であり、「非正社員」であり、「ワーキングプア」なのである。

 ところが、政府や政治家たちは、「国を守る気概」とか「外国の脅威」といって、「外来勢力の侵攻」を防がねばならないという理屈で、憲法を変えて、軍備を増強しようという動きには活発になっているが、日本の「植物界」が「外国産」に侵略されてもまったく気にならないらしい。「外来種から在来種を守れ!」とはだれも言わない。
 日本民族の純粋性を主張する国粋的な右翼や日本の伝統的な良さを残して「美しい」国にしようとする保守本流の自民党や首相、「格差是正」を口にする民主党も、日本のこれまでどおりの植物界(在来種)を外来種の手から「守る」ことを真剣に考えてはいない。
 「日本在来の植物」すら外来種の侵攻・侵略から守れないものたちが、人々の生活や安全を守れるはずがないだろう。そういう者たちが「美しい国・日本」を主張しても白々しいだけである。「格差是正」と言っても、植物界の格差の広がりは気づくことさえないものたちに日本の舵取りを任せるわけにはいかない。


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